第55話 体育祭とは?
王城での一戦も終わり、ゆっくり休養した俺は現在はふつうに学校に通っていた。
そんなある日、
「お前ら!ついに冒険者学校最大のイベントが明日行われるぞ!!」
「「「うぉーーー!!」」」
ん?何だ?この既視感。前にも見たことあるぞ。
「その名もーー、冒険者学校大体育祭だー!!!」
体育祭か、聞いたことないな。俺が転生するまでの間にできたのかもな。てか、この人行事があると妙にテンション高いな。
「この体育祭はクラス対抗だ。そして、優勝したクラスにはリゾート地への旅行券が賞品でもらえるぞー!!」
まじかよ!めちゃくちゃ気前がいいな。まあ、それだけ大きい行事なんだろうな。
「今年、このクラスにはリースがいる!優勝は俺たちのものだ!!」
「「「うぉーーー!!」」」
いや、盛り上がるのは勝手だが、詳しいルールとか説明しろよ。
◇
どうやら体育祭は原則攻撃魔法は禁止みたいだ。使っていいのは補助魔法で、自分を強化するものに限るそうだ。
種目は全部で10種目あり、1人2つまで出場できるそうだ。種目の内容は「100メートル走」「騎馬戦」「借り物競走」「綱引き」「玉入れ」「大縄跳び」「障害物競走」
「棒倒し」「二人三脚」「選抜リレー」だ。
話し合って決めた結果、俺は「棒倒し」と「選抜リレー」に出ることになった。理由はこの2種目の配点が高いからだ。この2種目で得点を稼ごうという作戦らしい。
「ということで、明日は頼んだぞ!リース!」
理事長はとても笑顔でこっちを見てきた。もう少し、こっちのことも考えてほしいんだけど。
「リースくん!明日は頑張ろうね!」
「絶対に優勝するわよ!」
「……旅行、楽しみ」
まあ、頑張るか。
◇
翌日、校庭には体育祭で使うものが用意されており、準備は万端のようだった。
続々と人が集まり、開始まで5分前となった。
「よーし、全員揃ってるな!今日は優勝するためにここに来た。絶対に勝って、旅行に行くぞ!!!」
「「「おぉーー!!!」」」
体育祭、最初の種目は「100メートル走」だ。
これにはミルが出場する。ミルはふつうに速いので、一位は確実だろう。
「ミルーー、頑張れー!」
「一位を獲りなさいよー!」
「頑張れ!ミル!」
「……任せて。絶対勝つ」
「それでは始めます。位置について、よーい、ドン!!」
始まると同時にミルは最高速度でゴールへ向かった。
結果、ぶっちぎりの一位だった。
「すごーい!!」
「やったわね!」
ミルはこっちを向いて、満面の笑みでピースサインを送ってきた。
他のクラスメイトも2位や3位と好成績だった。順調な滑り出しだな。
続いては「騎馬戦」だ。これにはメルトが出場する。
「メルト、頑張れよ」
「ああ、任せろ」
俺とメルトは拳を交わした。
騎馬戦は全クラスが同時に戦う形式だ。メルトは将軍なので、頭につけたハチマキを守りつつ、相手のハチマキを取ることになる。全方位に気を配らないといけないが、メルトなら大丈夫だろう。
思った通り、メルトは隙を見つけてハチマキを取り、逆に敵が手を伸ばしてきた時は冷静にかわしていた。
そして、最後のクラスとの対決。相手の動きもなかなか良い感じだ。普通の生徒なら負けてただろう。だが、メルトなら問題ない。
メルトは『感覚強化』の魔法で自身の感覚を最大限に拡張し、相手の動きを完全に制限していた。そして、ついにメルトはハチマキを取った。
「よっしゃぁぁ!!」
「さすがだぜ!!」
「いいぞぉー!!メルトー!!!」
クラスメイトも理事長も大興奮だった。メルトは歓声にガッツポーズで応えた。
続いては「棒倒し」。俺の出る種目だ。




