第49話 ただいま尾行中
今回はステラとミル視点のお話です。
王国祭前夜のこと。
「え、じゃあミルもリースくんとお出かけするの?」
「うん、ステラもなんだね」
私、ステラはリースくんとお出かけする約束をした後、ミルに会った。
「でも、まさかレイナがあんなに早く言ってるとは。油断できないね」
「……明日が気になる」
「そうだね。……あ、じゃあ明日こっそり2人のことを尾けちゃおうよ。そしたら、何があってもすぐに分かるよ」
「それはいい案。じゃあ今日は私の部屋に泊まっていってよ。その方が明日待ち合わせなくて済む」
「うん!分かった!あ、でも2人が何時に行くとか、待ち合わせ場所とか知らないね」
「……ちょっと待ってて」
ミルはそう言うと、どこかへ行ってしまった。数分後、ミルは走って戻ってきた。
「明日の9時に寮の前で待ち合わせだって」
「よく分かったね。誰かに聞いたの?」
「レイナに聞いた」
「え!大丈夫だった?」
「……? 何が大丈夫かは分からないけど、嬉しそうに教えてくれた」
ミルも意外と大胆なんだ。直接本人に聞くって、なかなかしないよ。
「なら、それまでに準備しておかないと」
「じゃあ寮に向かおう」
私たちは寮に戻り、明日の作戦を練って早めに休んだ。
◇
翌日、私たちは30分前から寮の前を少し遠くから見張っていた。そしたらすでにレイナがいて、びっくりした。
その20分後ぐらいにリースくんが到着。2人でなにか会話をしてるみたい。すると、レイナの顔がだんだん赤くなってる。
「リースくん、なかなかやるね。乙女心を分かってる」
「ふむふむ、服のことを褒めてるのか」
「え、聞こえるの?」
「読唇術。練習して使えるようにした」
ミルの意外な特技を知った。それからはミルに会話の内容を教えてもらった。
2人は食べ物を買ったり、遊んだりしている。
リースくんって射的が得意なんだ。射的屋のおじさん、困ってるよ。
それから人も多くなり、2人の姿を見失ってしまった。
「あれ、どこに行ったんだろう。分かんなくなっちゃったね」
「……人が多い。少し路地裏に行こう」
ミルの提案で路地裏に避難した。すると、すぐ近くで誰かの話し声が聞こえた。
「おい、王女はどこへ行った。しっかり探せ!」
「す、すいません。すぐに探します!」
「しっかりしろよ。今回の暗殺計画は絶対に成功させないとダメだからな!!」
え?暗殺?これはまずいかもしれない。
「ミル、今の聞こえた?」
私はミルに小声で聞く。
「うん、まずいね」
「ひ、ひとまず王女様を探そう」
私たちは尾行作戦から王女捜索作戦へと移行した。