第48話 悪い予感
翌朝、俺は待ち合わせの時間である9時の10分前に待ち合わせ場所に行った。
そこにはすでにレイナがいた。俺は遅れたかと思って時計を確認するが、やはり10分前だった。
「悪い、待ったか?」
「あ、リース。いえ、私もさっき来たところよ」
「そっか、なら行くか」
俺が早速行こうとした瞬間、
「ね、ねえリース」
「ん?どうした?」
レイナは顔を赤くしてもじもじしている。
(ああ、なるほどな)
流石に俺でも分かる。今日は休みだから、制服は着ていない。完全な私服だ。せっかく女の子がおしゃれをしてきたんだ。褒めるのが男の役目だろう。
「レイナ、その服似合ってるぞ」
「ほんと?ありがとう!!」
レイナは笑顔で俺の隣に来た。どうやら合ってたみたいだな。
今回の警備隊長の件についてはレイナには言わないでおく。変に気を遣わせても嫌だしな。もう、聞いてたんだったら仕方ないけど。
俺たちは祭りの会場へと向かった。
◇
祭りの会場は王城の周りとなっている。色々な場所に屋台などが出ていて、すでにとても盛り上がっている。
「うわーー、すごい人ね」
「ああ、想像以上だ」
俺たちは屋台周りをした。屋台には食べ物が売ってる場所もあれば、射的や輪投げ、型抜きなどの遊んで景品がもらえる屋台もあった。
俺は射撃が得意なので、射的で景品を取りまくっていたら経営しているおじさんにやめてくれ、と頼まれた。なんか申し訳なかったので、3分の2くらいの景品を取るだけで我慢してあげた。
祭りに2時間ぐらいいるが、特に何も起きていない。まあ、少し前からよく知る魔力の2人が跡をつけてきてるみたいだが、放っておこう。
考えながら歩いていると、誰かとぶつかった。俺は大丈夫だったが、相手がこけてしまったので手を差し伸べる。
「すいません、大丈夫ですか?」
「あ、はい。ありがとうございます」
彼女は俺と同い年ぐらいなのだろうが、フード付きの服を羽織っていて、顔がよく見えない。
「ちょっとリース。大丈夫?」
「ああ、俺は大丈夫だ」
俺がレイナにそう答えると、
「あなたがリース=グレイアスさんですか!?」
彼女はすごい勢いで確認してきた。
「ええ、そうですけど」
「よかった。やっと会えた……。すみませんが、こっちに来てください」
そう言って路地裏の方に連れてかれた。
「あの、どうしたんですか?」
この人はどうやら俺を探していたみたいだ。
「いきなりすみません。でも、時間がないんです。早くしなければ父が……」
そう言って彼女はフードを外した。
「申し遅れました。私はレルフランド王国の第一王女クレア=レルフランドです。リースさん、どうかこの国を、父をお助けください」