第47話 王国祭警備隊長
俺は理事長に呼ばれ、理事長室へ向かった。
理事長室に入ると、理事長は珍しく真面目な顔をしていた。
「理事長、話ってなんですか?」
「明日にレルフランド王国祭、通称レルフランド・フェスタが開催されるだろ?リースにはその警備隊長になってほしいんだ」
「警備隊長ですか……」
うーん、別にやってもいいんだけど、逆に俺でいいのかな。王城警備兵もいるわけだし。あいつらに任せた方がいい気もするが。
「ああ、そうだ。ちなみにこれは国王と王国警備兵から直々に指名されたんだ。これで断る理由はないだろ?」
理事長がニヤリと笑う。まるで俺の考えを読んでたみたいだ。でも、たしかに断る理由がなくなったーーこともないな。
「是非やらせていただきたいところなんですが、俺は明日すでに祭りを一緒に周る約束をしてるんです。それを断ることはできません」
「何だ、そんなことか。別に祭りを自由に周ってもらうのは構わん。しっかり見回っててくれれば、それでいい」
「そうですか。なら、引き受けます」
「おぉー、そうかそうか。国王にも伝えておくよ。ーーそれで当日は誰と周る予定なんだ?」
なんだ、この人。この話をし始めた瞬間、顔が妙に生き生きし出したんだが。
「いや、レイナですけど。それが何か?」
「いいや、なんでもないさ。ニヤニヤ」
なんでこんなにニヤニヤしてるんだろう。まあ、いいか。
ひとまず話は終わったので、俺は理事長室を後にした。
俺が一つ気になるのはサトゥルヌスのことだ。この前、王城に襲撃を仕掛けてきたくらいだ。人が大勢集まる王国祭を見過ごすはずがないという予想だ。まあ、何も起きないのが理想なんだがな。
俺がそんなことを考えながら、歩いているとステラに会った。
「あ、リースくん。理事長に呼ばれたんだって?何話してたの?」
「あー、明日の祭りの警備隊長を任されたんだ。見回るだけでいいらしいからな」
「そうなんだ。じゃあまたね!」
ステラは足早に帰ろうとする。俺はそれを引き止めた。
「なあ、ステラ。今度一緒にどこか行かないか?」
「どこかってどこ?」
「あー、えっと、ステラの行きたいところだ。どこかないか?」
「……じゃあ最近できたケーキ屋さんに行きたい」
「わ、分かった。ケーキ屋さんな。今度絶対行こう!」
「うん!ありがと!」
ステラはとてもいい笑顔で帰っていった。喜んでくれたみたいで良かった。
明日は何も起こらなければいいのだが。