第45話 魔道具講座 実践編
俺は木の板に魔法陣を刻む。
ここに刻んだのは火魔法の一つ『点火』である。これを使えば、蝋燭がなくても簡易的な灯りを得ることができる。
俺が魔法陣に魔力を流し込むと、木の板から魔法陣ぐらいの大きさの火が灯った。
ちなみに魔法陣から出る魔法は、魔法陣を書いたものには干渉しない。今を例にすると、『点火』の火は魔法陣を書いた木の板を燃やすことはない。
俺が簡単な魔道具を作ると、なんか教室がざわざわし始めた。
「おい、あれどういう原理なんだ?」
「俺に分かるわけないだろっ!」
「ただ魔法を使ってるだけじゃないのか?」
「じゃあなんで木の板は燃えないんだ??」
各方向から様々な声が聞こえる。まだ疑っている奴もいるな。
「別に魔法陣を書くものは何でもいいです。こういう木の板でも石でも。また、魔法陣を書く方法も様々です。ペンを使ってもいいし、直接刻んでもいい。では、実際にやってみましょう」
俺は収納魔法から木を取り出し、適当な大きさに切って配った。そして今やった『点火』の魔法陣を書いてもらい、魔道具を完成させた。
半信半疑の人も多かったが、実際に自分でやるというのが効いたのだろう。とても盛り上がっていた。
俺は最後に、前に作っておいた魔道具を収納魔法から取り出した。
「では、最後にこれを使ってみましょう」
この魔道具は手のひらサイズの石に魔法陣を刻み込んだタイプだ。
そして俺はさらに収納魔法から大きい岩も取り出した。この岩にはシーライト鉱石という非常に使える鉱石があるので拾って持ってたのだ。
「この魔道具に魔力を注いで、岩の上に置きます。これで準備は完了です。この魔道具は魔力を注いだ後に触ると動き出す仕掛けになってます。なので、今の状態で触ると……」
俺が魔道具に触れた瞬間、突如岩が削れ始めた。しかも、割と高速で。
周りの反応を見ると、全員言葉をなくしている。やはりこの世界では珍しいんだな。
この魔道具は掘削魔法を刻んだ魔道具だ。しかも、掘削の程度も調節してあるので、普通の岩しか削らない。削り終わった後は鉱石だけが残るという仕組みだ。
さっきも言ったが、この魔道具にはスイッチ機能もつけてるので、触るだけで動いたり止まったりする。とても便利なものになっている。
「次の授業でこれを全員が作れるようになってもらいます」
全員が(無理だろ……)という顔をしたが、関係ない。全員にやらせる。




