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第43話 消えた学校と法術師【四】



 俺は貴族学園の生徒に法術を教えたであろう奴を治療し、話を聞くことにした。


「おい、お前の名前は何だ?」


「……フォード」


「お前は法術師だな?」


「ああ、そうだ」


「聞きたいことが二つある。まず一つ目。なぜ貴族学園の生徒に法術を教えた?」


「……」


 フォードは何も答えない。


「……なら、二つ目。どうして冒険者学校に戦いを挑んだ?」


「……二つの質問の答えは同じだ。それは無詠唱魔法ではなく、法術を世界中に広めるためだ」


 ほう、意外な答えだな。

 たしかに詠唱魔法よりかは法術の方が有能だろう。だが、今は俺が無詠唱魔法を広めようとしている。法術と無詠唱魔法では、無詠唱魔法の方が断然勝手がいい。


 なぜ今広めようとしてるんだ?聞いてみるか。


「なるほどな。悪いが、質問が増えた。なぜ、今なんだ?

この世界ではもっと前から詠唱魔法が普及していた。その時から広めれば効率は良かったんじゃないのか?」


「これは師匠から聞いた話だが、法術師は昔、魔術師と派遣を争っていた。法術師はその争いに負け、勢力が減っていった」


 俺の記憶と同じだな。まあ、争いといっても別に戦ったわけではない。魔物の討伐数で競っただけだ。その結果、俺たち魔術師側が勝った。その後、法術師の一部の奴らも魔術師となったらしい。


「法術師は逃げるように別の土地へ行き、そこで静かに暮らしてたんだ。後継者を見つけて法術を無くさないために。また法術を広めるために」


 別の土地か。こいつらも苦労してるんだな。


「それから代が替わって今は僕たちの代だ。そしてある日、王都では詠唱魔法が主流で誰かが無詠唱魔法を復活させようとしているという噂を耳にした。法術が詠唱魔法より優れていることは知っている。なら、今が法術を広めるチャンスではないかと思ったんだ」


 てか、大分知らなかったんだな。今は詠唱魔法の方が主流であることに。まあ、別の土地にいたなら仕方がないか。


「それで僕はまず王城へ行った。法術のすごさを見せるために。だが、王城の警備兵は既に無詠唱魔法を使っていた。しかも、とても高性能だった。突き返された僕は貴族学園と呼ばれる学校へ向かった」


 あいつら、鍛錬を続けてるんだな。ここで警備兵の特訓が役に立つとは。


「貴族学園の生徒は詠唱魔法を使っていた。これはチャンスだと思って法術を見せたら、とても食いついてきた。これが僕が貴族学園に法術を教えた経緯だ。冒険者学校に勝負を挑んだのは、そいつらの意思だ。僕は関係ない」


「敵意はないんだな?」


「少なくとも僕にはないよ。あくまで目的は法術を広めることだからね」


「分かった、これからどうするんだ?」


「ひとまず帰るとするよ。でも、君がいたらすぐに無詠唱魔法が広まっちゃうかもしれないけどね」


「それは分からんが、善処はするさ」


「じゃあまたね、リースくん」


 こうして法術師と貴族学園との戦いは幕を閉じた。


 迷宮の疲れもあるし、今日はすぐ休もう。


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