第42話 消えた学校と法術師【三】
俺は魔法の準備を終えた。
その直後、奴らも法術の準備が出来たみたいだった。
「よし!一斉に放て!!」
奴らから少し前とは比べものにならないくらい強力な魔法が飛んできた。
と、思われたがその魔法は放たれる寸前で消滅した。
「な!何っっ!?」
「消えた……?」
そう、俺が魔法で消したのだ。だが、これは相殺魔法とは少し違う。俺が発動したのは大気中の魔力を霧散させる『魔力霧散』という魔法だ。
この魔法は前世で俺が作った魔法で、対法術師用の魔法と言ってもいい。昔はもう少し早く発動できたのだがな。
ひとまずこの魔法を使えば、大気中の魔力は消えたと言っていいくらい薄くなる。こうなると、法術師は魔法を使えない。俺の勝ちだな。
「くっ、なぜ魔法が使えない!?」
「だめです!発動できません!!」
法術師も原因が分かってないみたいだな。法術師が魔法を使えないなんて、原因は一つしかないけどな。分かれよ、このくらい。
俺は呆れつつも、魔法を発動する。典型的な炎魔法だが、威力はとても強い。俺も迷宮に行ってレベルが上がったみたいだな。
「な、なあ。ちょっと待ってくれないか?は、話せば分かるから」
俺は返事をせず、ただ笑顔で魔法を放った。これで懲りてくれるといいんだがな。
死なない程度の威力にしたが、それなりのダメージは負ってるみたいだな。話も聞かなきゃいけないし、後で治すか。
俺はひとまず冒険者学校の生徒たちを治療していく。ステラたちが応急処置をしてくれたらしく、ほぼ治りかけだったので早く治療が終わった。
俺はメルトに話を聞いた。
「なあ、何があったんだ?」
「なんか急にこいつらが大所帯で来やがってな。俺たちと戦えって言うから、受けてやったんだ。そしたら前とは桁違いに強くなっててな。油断したぜ。すまねぇな、リース」
「いや、大丈夫だ。あいつらが使うのは魔術とは少し違うからな。初見ではなかなか厳しいよ」
「……ありがとな」
なるほど、当時の状況は把握できた。次はあいつらに話を聞くか。