第40話 消えた学校と法術師【一】
俺たちは約十日間に渡る迷宮探索を終え、学校へと戻ることにした。
オリアス大迷宮の最下層に転移魔法の指針となる魔法陣を設置しておいたので、これから行きたい時はいつでも行くことができる。
帰りは校庭に転移する。校庭はそこそこ広いので、少しぐらい位置がずれても特に支障はない。
迷宮の外に出た俺たちはさっそく転移魔法を発動し、校庭へと戻る。
転移魔法は成功し、俺たちは無事に校庭へと戻ってきた。
が、そこにはあるはずの学校が跡形もなく無くなっていた。
転移先を間違えた?いや、そんなはずはない。転生先は座標で決めるから、間違えようがない。だとしたら、学校が消えた?
その疑問はすぐに解消された。魔力の痕跡を調べてみたら、やはり魔力反応が見つかった。要するに、魔法が使われているということだ。
だが、普通の魔法とは少し違うな。これは法術だな。
法術とは前世で一度流行った魔法の使い方だ。魔術と相反するものとされていた。
魔術は自身の魔力を媒介として魔法を放つが、法術は大気中の魔力を媒介として魔法を放つ。配位魔法みたいなものだ。
法術のいいところは配位魔法と同じく高火力の魔法を放つことができるところだ。
だが、配位魔法と違うのは反動があるところだ。通常、大気中の魔力は自身の魔力とは違うため、体に負担がかかるものだ。配位魔法は魔力を一旦自身の魔力に変換して使うので反動はない。
この反動のせいで法術は魔術以上に浸透することはなかった。それでも使う人はいたので、その人が継承していったのだろう。
ここには法術で設置された結界魔法がある。法術を使ってるだけあって、なかなか強力なものになっている。が、所詮はこの世界で強力なだけだ。俺なら問題なく壊すことができる。
本当の問題はその先だ。この中で何が行われてるのか、場合によってはすぐに戦闘になるだろう。準備はしておかないとな。
「みんな、気づいたか?」
「うん、結界魔法が設置されてるね」
「しかも結構強力ね。私たちでもまだこれだけ強力なのは使えないかも」
「……私の神器なら斬れると思う」
「いや、ミルは温存しててくれ。もしかしたら中の状況によっては、すぐに戦闘になるかもしれない。準備しててくれ」
「「「はい!」」」
俺は結界魔法に触れ、相殺魔法を使って壊す。そして中の状況が見えるようになった。
「なっ!?」
そこにはボロボロになった冒険者学校の生徒や教師と、貴族学園の生徒がいた。