第36話 裏技を使う
光の洞窟を見に行った俺らは40階層まで進んでいた。
40階層の階層主はストームファルコンという鳥の魔物だ。
鳥の魔物なので当然空を飛ぶのだが、こいつの討伐にはとても苦労した。
なんとか魔法で足止めをしてもらいつつ、翼を斬って地上に落とし、討伐した。
(ここらが限界かな……)
今回の目的は神器の入手と迷宮について教えること(あまりに何も知らないので加えた)だからな。大体のことは教えたので、律儀に攻略する必要はないだろう。
だから、裏技を使うことにする。
「よし、みんな。ここで一旦待機しててくれ」
俺は41階層に下りて、すぐにそう言った。
「どうかしたの?」
「正直階層主のレベルも上がってきている。だから、裏技を使おうと思う」
「裏技ってどんなのかしら」
「俺一人で試そうと思ってたけど、まあいいか。こっち来て」
そう言って少しひらけた場所に行き、俺は造形魔法を発動する。すると、迷宮の地面が動き始めた。
俺がやろうとしているのは、迷宮の地面に穴を開けて最下層までの直通通路を作ることだ。
通常、迷宮の地面や壁は壊せない。だが、造形魔法を使えば壊さずとも穴を開けることが出来る。それなら一瞬で最下層へ行ける。
俺は地面に穴を開け、直通通路を作り終えた。
「……すごい。穴が開いた……これで下まで行くの?」
ミルがそう聞いてくる。
「ああ、一番下まで行くぞ」
「じゃあ神器を取って終わり?」
「いや、最後の階層主は倒さないといけない」
「そうよね。頑張りましょ」
「あ、そのことなんだが。最後の奴は俺一人で倒すよ。みんなは見ててくれ」
「え?なんでなの、リース」
「最後の階層主は強い。正直、みんなを守れるかは分からない。だから、みんなには防御に徹していてほしい」
「分かったよ。そのかわり、危なくなったら言ってね」
「ああ、そうさせてもらうよ」
こうして俺たちは穴の中へと飛び込んだ。