第15話 編入生と人工神器【二】
俺とミルは校庭にやってきた。
なぜか俺はミルと戦うことになった。
ミルはこの学校で一番強い奴と戦いたかったようだ。
校庭にはクラスのみんなと理事長も来ていた。
理事長がこっちに来る。
「なあ、リース。一応だが、気をつけろよ。」
「なんでですか?」
「ミルは編入試験を経て編入してきたんだが、編入試験は難易度が高いんだ。この学校に入学した奴でもお前以外は編入試験には全員落ちる。それをミルはクリアしたんだ。つまり実力は相当ある。」
「なるほど、わざわざありがとうございます。でも、心配いらないですよ。」
俺は負けるのが嫌いだからな。たとえ美少女が相手でも手は抜かない。絶対に勝つ!
「準備は出来たか?」
「うん、いつでもいいよ。」
「なら、いくぞ!」
俺は牽制の『炎弾』を放つ。これで倒せればいいのだが。
「こんなのじゃ私は倒せないよ。」
ミルは腰の剣で『炎弾』を斬った。
「私の剣は神器『聖剣デウスグレイス』だよ。全てを浄化する不滅の剣。君に防げるかな!」
ミルは一気に距離を詰め、斬りかかってくる。俺はそれを止めるが、大分押されている。
それにしても神器を持っているとは。神器とは、この世に存在する20人の神がそれぞれ作ったとされる20本の武器である。
神器はそもそもスペックが高い。普通の武器とは比べものにならないくらいだ。さらに神器ごとに様々な能力がある。だから、持ってるだけで並大抵の敵は倒せる。
でも強い分、手に入れるのも難しい。神器は作った神が祀られている遺跡か迷宮の最深部にある。だが、迷宮には強い敵が出るし、遺跡は選ばれた者しか入れない。また、入れたとしても試練がある。それをクリアしなければ神器は手に入れられない。
それを持っているということは、彼女は理事長の言う通り相当な実力の持ち主だ。仕方がない。少々本気を出すとしよう。
「どうしたの?もう終わり?」
「そんな訳ないだろっ!!」
俺はひとまず距離を取る。
「ふふっ。じゃあ見せてよ、君の本気を。」
「ああ。いくぞ。」
こうして俺とミルの戦いは最終局面を迎える。