第13話 見習い魔法騎士の実力
とうとう俺の番がきた。
相手は向こうの実力ナンバーワンのライル=エルクレアだ。魔法騎士団の団長の息子らしい。どれくらいの実力なのか楽しみだ。
「さあ、最後の試合はリース=グレイアス対ライル=エルクレアだ!両者、さっそく準備してくたさい!」
ステージ上に上がると、ライルが話しかけてきた。
「おい、俺を今までの奴らと同じだと思うなよ。俺は格が違うんだ。見習いだが魔法騎士だってやってる。調子に乗れるのも、ここまでだ。」
別に調子に乗ってないんだがな。
こいつは見習い魔法騎士をやってるのか。じゃあ格が違うというのは本当かもな。
「ああ、頑張らせてもらうよ。」
「それでは始めます。よーい、スタート!!」
「炎よ、眼前の敵を焼き払え!バーンインフェルノ!」
俺は敢えてライルに魔法の発動を許した。
あいつの実力を図りたいからだ。
飛んできたのは巨大な炎の塊。それもさっきの『炎弾』や『炎轟弾』とは比べ物にならないくらい大きい。
たしかにライルは他の奴より強い。だが、比べる対象が貴族学園の奴らならの話だ。逆に言えば、俺が教えた奴らとは比べものにならないくらい弱い。
俺は逆属性で同等の出力の魔法をぶつけて相殺する。
「な、相殺された!?」
ライルは驚いているようだ。が、前世ではこのくらい当たり前だ。魔法の相殺は基本逆属性の魔法を同程度の出力で放てばできる。
まあ、俺は創生魔法で相殺魔法を作ればいいんだがな。
今はまだいいかな。
よし、じゃあそろそろ始めるか。
「次はこっちの番だ。」
俺は剣を構える。ライルも同じように剣を構える。
俺は今回剣を使って勝とうと思う。
この時代では武器に魔法を付与することがないらしい。だから、武器に魔法を付与することの重要性を伝えるために、それを使おうと思ったのだ。
俺は剣を横に構える。そして、
「エンチャント、ライトニング」
剣に雷が纏う。
なぜ、武器に魔法を付与するのが良いのか。それは単純に武器で攻撃した時の威力が段違いに上がるからだ。近接戦闘ではこれがないと魔物と戦えない。
「お前、何だそれは!」
「お前たちが知らない力だよ」
俺はそのままライルに斬りかかる。ライルは必死に止めようとするが、その剣は衝撃に耐えられず、真っ二つになる。そして、俺の剣は勢いを止めないまま、ライルを斬る。
「がはっっっ!!」
雷を纏った剣に斬られたライルはその場に倒れこむ。
こうして、俺たちは親善試合を全勝して終えたのだった。
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