第12話 力の差
一週間後、親善試合の日がやってきた。
親善試合は各学校から代表を五人選出し、戦う順番を決めて一人ずつ戦っていく。そして最終的に勝ち数が多い方の勝利となる。
俺たちの学校からは俺、レイナ、あと成長が早かったメルト、ミーシャ、ステラの五人だ。
順番はステラ、メルト、ミーシャ、レイナ、俺だ。
まあ、おそらく最初の三人で勝利は決まるだろうがな。
「大変お待たせしました。これより冒険者学校対聖十字学園の親善試合を始めます。両者、最初の選手は前に出てください」
この試合のルールとしては相手を殺しては失格、相手を場外にやるか、戦闘不能にしたら勝利。これだけだ。
使えるのは魔法と一種類の武器のみ。まあ大体剣だろうがな。
「それでは、まずは一回戦。ステラ=ルクオール対グレガ=シードンの試合だ!両者ステージへ上がってください」
会場から歓声が上がる。ここが勝負所でもある。
「ステラ!頑張れよ!」
「うん!」
「はっ!冒険者学校の奴らが俺たちに勝てるわけないだろう。無様に負けるだけだぞ」
「そうなるかどうかは、やってみなきゃ分からないよ。それにバカにされたままってのも嫌だしね」
「雑魚が!力の差を見せてやるよ」
「それでは参ります。よーい、スタート!」
「炎よ、わが」
「はあああ!」
グレガに炎の弾が飛んでいく。
「なっ、ぐはっ!!!!」
炎の弾はグレガに当たり、そのまま場外へと飛んでいく。
「「「うぉぉぉぉぉぉ!!」」」
冒険者学校側の応援席から歓声が上がる。
完璧な幕開けだな。
「な、何だよあいつ!?」
「無詠唱で魔法を発動したぞ!?」
「威力も強すぎだろ!!」
期待通りの反応だ。これで無詠唱魔法について少なからず興味を持っただろう。これからどんどん使いたくなるようにしてやる。
そして次の二回戦、三回戦共に相手を瞬殺。これで無詠唱魔法が詠唱魔法より優れていることを証明出来ただろう。
これでこちらの勝ちは決まったが、手は抜かない。というか、さっきよりも全力で潰すつもりだ。
続いてのレイナは先程までの三人が使っていた『炎弾』という魔法ではなく、威力が段違いな『炎轟弾』という魔法を使ってもらった。
なぜなら後の二人は、自分に結界魔法を使っていたからだ。あれを使われたら、『炎弾』では倒せない。それが分かったから上位互換の魔法を使ってもらったのだ。
そして、とうとう俺の番となった。