第111話 国外追放?
翌日、俺は再び王城に向かった。いつも来ていて見慣れてしまったが、今日はなぜかいつもと違う気がする。なんというかとても静まり返っているみたいだ。
王室に行くと、いつもの場所に国王が腰掛けていた。その隣にはクレアもいる。ただ顔が少し俯いている気がした。
「それで話ってなんですか?」
まず俺が話を切り出す。国王はゆっくり話し始めた。
「リースよ。お主は今までよく働いてくれた。お主のおかげで助かったことが数々ある。その功績は讃えるべきものだ」
なぜか急に褒められたが、少し違和感を感じた。今まで?
「本当に、本当に身勝手ですまないが……私にはお主のことがよく分からないのだ。転生者?生まれ変わった?私には訳が分からんのだ……。昨日のヒューズとの一戦を見て確信した。お主の力は強大すぎる。もう……我々の手におえん。すまない……ここから出ていってはくれぬか?」
ここというのはレルフランド王国のことだろう。随分身勝手で理不尽な願いだな。まあ、そういうのには慣れてるけど。
「私には……そういうやり方しか出来ない。出来ないんだ……ッッ!」
国王のその言葉には力がこもっていた。だが、俺には響かない。
「お、お父様。やはり……」
「いや、別にいいですよ。ただ俺がどこかに行くだけでいい。簡単な話じゃないですか」
クレアが何か言いかけていたが、俺はそれを遮って話す。別に俺は何でもいい。ただあいつらさえ斃せれば。
「すまない……感謝する……」
「じゃあ俺は失礼します」
俺はそのまま王室を出て、王城を出た。そして冒険者学校はどうしようかと考えながら歩いていると、突然後ろで大きな音が聞こえた。
「なっ……!?」
俺は慌てて振り返る。すると先程まで立派にそびえ立っていた王城に大きな穴が開いていた。俺は急いで王城に戻る。
王城では兵士が慌てて中に入っていく様子を目にした。だから律儀に中から入っては時間がかかるので、俺は『身体能力強化』で壁を駆け上がる。
そして大きく空いた穴から中に入る。その穴は王室にできていたみたいで、俺は再びこの場所に戻ってきた。
「なんだ、ツカサか」
王室から聞き覚えのある声が聞こえた。そいつは少し前に会った、前世の俺を知る人物だ。
「真斗か……」
「よう、殺しにきたぞ」
「うるせえよ……」




