第102話 宝杖ケイオン
俺は右手にグレイス、左手にロスト・イグニスを持ち、ウェルグに斬りかかる。
「雷霆の斬撃ッッ!!」
ロスト・イグニスに雷を纏わせ、ウェルグを斬る。
「魔法障壁 斬撃」
ウェルグは斬撃専用の障壁で俺の攻撃を防ぐ。俺の攻撃の主体は剣なのでだいぶ不利になってしまう。早急に対策をしなくては。
「ここじゃ少し狭いね。外に出ようか」
ウェルグは魔法を発動して自分と俺を外に出す。転移系の魔法だろう。
「激龍槍 水龍」
龍の形をした水の槍を作り、ウェルグに放つ。だが、いつのまにか奴の手には『宝杖ケイオン』が握られており、すかさず魔法を発動する。
「土流壁 烈空」
大きな土の壁が水の槍を防いで完全に相殺する。これが相殺魔法を使わない、魔法の相殺の仕方だ。やはり上手いな。
「暴嵐の連撃!!」
多方向から風の刃がウェルグを襲う。が、既にそこにはウェルグの姿はなかった。さっきの転移魔法を使ったようだ。
「降り注ぐ閃光」
空から無数の光が降り注ぐ。俺はそれを時に躱し、時に斬り、時に盾を張って防ぐ。
だが完全に俺が劣勢にある。この状況をひっくり返すには全力でいくしかないか。
俺はグレイスに魔力を込める。あの時、悪魔を葬った一撃をもう一度放てば倒せないにしても突破口にはなるかもしれない。
「絶剣 骸」
全てを喰らう漆黒の斬撃が何もかもを飲み込みながら進んでいく。このままウェルグに直撃すると思われたその時、
「神器解放」
ケイオンの神器解放は魔法の超絶連射だ。魔法を撃つときはクールタイムが存在する。クールタイムなしに魔法を撃つことは基本できない。だが、ケイオンの神器解放はそのクールタイムをゼロにできる。これにより魔法を連射することができるのだ。
ウェルグは漆黒の斬撃に向かって何度も何度も魔法を撃ち込む。そしてそのまま消滅させてしまった。ちなみに俺はクールタイム中で魔法が撃てない。
これはだいぶ厳しくなりそうだな。もっと作戦を考えないと……




