第101話 対峙する悪魔
俺はさっきの魔法(標的魔法と名付けた)を発動する。この魔法は魔力に付与する魔法で、一度付与すればその魔力を持つ者の位置を特定することが出来る。
俺はこれを使って悪魔の位置を特定した。奴は今王都にいる。俺は急いで王都に戻った。
◇
王都に着いた俺は学校に向かった。途中途中で深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。急がなければいけないが慌ててはいけない。奮い立つ気持ちを静めた。
学校着いた俺はA組の教室に入る。見慣れた場所だが、妙な緊張感があるため別の場所のように思える。教室内を見回すと誰かが席に座っていた。
「よう、そんなところで何してるんだ?」
俺はそいつに話しかける。
「ああ、リース。ちょっと本を読んでいたのよ」
そこにいたのはレイナだ。彼女は教室で一人本を読んでいる。
「それは何の本なんだ?」
「ただの歴史の本よ。少し歴史に興味があってね」
あくまでとぼけるつもりみたいだ。なら正直に話そう。
「下手な芝居はよせよ、レイナ。いや、ウェルグ」
「……やっぱり気づいてたみたいだね。アルフに会ったことが原因かな?」
「まあ、そうだ。投影魔法で昔の映像を見てな、それで分かったんだ。『暁の翼』の中に悪魔がいたことにな」
「それだけで僕と判断したのかい?」
「ちげーよ。お前、不死族の王たちに魔力流してただろ?あの時に魔法を仕掛けたんだよ。油断したな」
「へえ、まさかそんなに強くなってたなんて。びっくりだよ」
「それで本物のレイナはどうした?」
「ああ、彼女なら中でぐっすり眠ってるよ。この会話は聞いてない」
「でもある程度は知ってるんだろ」
「まあ、少し入れ知恵はしたよね。じゃないと動いてくれないし」
「なんでこんなことをしたんだ……!」
「うーん、それは答えにくいな。しいていうなら僕が悪魔だからかな。理由はそれで充分でしょ」
「そうか……。なら遠慮はいらないな」
「ああ、いつかの決着をつけようか、ツカサ」
途端、レイナの体から黒い何かが出てくる。やがてそれは形となり、禍々しい悪魔の姿となった。
「来い、グレイス」
そう言うと、何もない空間から真っ黒な剣が現れる。本気を出さないと勝てない。そう判断した結果だ。
「さあ、いくぞ!」
「ああ、負けないよ、ツカサ!!」
こうして俺と悪魔ウェルグの戦いは始まった。




