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第101話 対峙する悪魔



 俺はさっきの魔法(標的魔法と名付けた)を発動する。この魔法は魔力に付与する魔法で、一度付与すればその魔力を持つ者の位置を特定することが出来る。


 俺はこれを使って悪魔の位置を特定した。奴は今王都にいる。俺は急いで王都に戻った。



 王都に着いた俺は学校に向かった。途中途中で深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。急がなければいけないが慌ててはいけない。奮い立つ気持ちを静めた。


 学校着いた俺はA組の教室に入る。見慣れた場所だが、妙な緊張感があるため別の場所のように思える。教室内を見回すと誰かが席に座っていた。


「よう、そんなところで何してるんだ?」


 俺はそいつに話しかける。


「ああ、リース。ちょっと本を読んでいたのよ」


 そこにいたのはレイナだ。彼女は教室で一人本を読んでいる。


「それは何の本なんだ?」


「ただの歴史の本よ。少し歴史に興味があってね」


 あくまでとぼけるつもりみたいだ。なら正直に話そう。


「下手な芝居はよせよ、レイナ。いや、ウェルグ」


「……やっぱり気づいてたみたいだね。アルフに会ったことが原因かな?」


「まあ、そうだ。投影魔法で昔の映像を見てな、それで分かったんだ。『暁の翼』の中に悪魔がいたことにな」


「それだけで僕と判断したのかい?」


「ちげーよ。お前、不死族の王(リッチ)たちに魔力流してただろ?あの時に魔法を仕掛けたんだよ。油断したな」


「へえ、まさかそんなに強くなってたなんて。びっくりだよ」


「それで本物のレイナはどうした?」


「ああ、彼女なら()でぐっすり眠ってるよ。この会話は聞いてない」


「でもある程度は知ってるんだろ」


「まあ、少し入れ知恵はしたよね。じゃないと動いてくれないし」


「なんでこんなことをしたんだ……!」


「うーん、それは答えにくいな。しいていうなら僕が悪魔だからかな。理由はそれで充分でしょ」


「そうか……。なら遠慮はいらないな」


「ああ、いつかの決着をつけようか、ツカサ」


 途端、レイナの体から黒い何かが出てくる。やがてそれは形となり、禍々しい悪魔の姿となった。


「来い、グレイス」


 そう言うと、何もない空間から真っ黒な剣が現れる。本気を出さないと勝てない。そう判断した結果だ。


「さあ、いくぞ!」


「ああ、負けないよ、ツカサ!!」


 こうして俺と悪魔ウェルグの戦いは始まった。


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