第100話 おやすみ
自我を失ったアルフは何の躊躇いもなく魔法を放ってきた。完全に俺を殺しにきている。それが魔法から感じ取れた。
「ア、アァ……」
俺はロスト・イグニスで魔法を吸収しながら攻める。アルフがどんな魔法を撃ってこようとロスト・イグニスはその全てを吸収する。
アルフにダメージは通っているみたいだがすぐに治ってしまう。これも不死の大魔術師の力なのだろうか。やはり浄化するしかないのか。
と、ここでロスト・イグニスの魔力吸収がストップしてしまう。どうやら上限がきてしまったみたいだ。
俺は再び『浄化の光輪』をロスト・イグニスに付与する。その間にアルフの魔法が次々と飛んでくる。それを躱しながらアルフの懐に向かう。
途中、魔法を少しくらってしまうが止まってはいけないので気にせず前に突き進む。
「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ロスト・イグニスがアルフに突き刺さる。その瞬間、《浄化の光輪』が発動してアルフを包み込む。
「ア、アァァァァァ!!!!」
アルフがどんどん薄くなっていく。『浄化の光輪』はしっかり効いているみたいだ。これでアルフともお別れだ。
「ア、アァ……」
「静かに眠れ、友よ」
アルフは完全に消滅した。心なしか、最期の顔は笑っていたように見えた。
俺は深呼吸をして冷静を保とうとする。だが、昔の記憶がチラついて離れてくれない。そしてその記憶が俺の怒りを再燃させる。ここまで怒ったのは何年ぶりだろうか。
俺は今この時でも思う。アルフをこんな目に合わせた奴が『暁の翼』にいなければよかったのに。
俺は仕掛けた魔法を起動した。
◇
ここはどこなのだろうか。最後の記憶はツカサたちが王城から出て行った後、誰かと話したことなのだけど、それが誰なのかが分からない。
すると急に周りが光り始めて、よく見えるようになった。それと同時に出ていったはずのツカサが目の前にいることに気づいた。
何故かツカサは悲しい顔をしていた。せっかく笑顔が増えたのに。
「笑ってくれ」俺はそう伝えたいけど声が出ない。仕方がないので俺は笑うことにした。そうすればきっとツカサも笑顔になってくれる。
突然眠くなってきてしまった。見た感じ、ここは外だけど寝ることにしよう。ぐっすり眠れるといいな。
だが俺はすぐに眩しくなって目を覚ます。そこは花畑が広がっていた。そして遠くにみんなの姿が見えた。だけど人数が少ない。
ツカサはさっき別の場所にいたから分かるけど、もう一人はーーウェルグはどこに行ったのだろう?
おかげさまで100話を突破いたしました!
今まで応援ありがとうございました!そしてこれからも何卒よろしくお願いします!!




