第10話 俺による発展のための授業
「えー、まず魔力の流れについて説明します」
俺は緊急授業を執り行うことになった。
それはあまりにも魔法について何も分かっていなかったからだ。
魔力の流れなんて基本も基本、魔法についての教科書があれば目次の次ぐらいに載っているレベルだ。
それを知らないなんて、前世ではあり得なかったぞ。
「まず魔力は体を循環しています。そのことを頭に入れておいてください。そしたら、目を閉じて体の中にある魔力を感じてください」
「え、ごめん。いまいち分かんない」
「うーん、じゃあ血液の流れをイメージしてください。魔力もそのイメージの通りに流れていると考えれば、魔力を感じることが出来ませんか?」
「お、これか!」
理事長が分かったようだ。確認のしようがないが、おそらく合ってるだろう。
その後も続々と理解する人が増えてきた。だが、
「うーん、分かんないなー」
レイナを始め、数人はまだ分かってないみたいだった。
だから俺は別の手段を取ることにした。
「レイナ、こっちに来てみ」
「う、うん」
レイナが俺の目の前に来る。
「手を出して」
レイナが差し出した手を俺は握る。
「ちょっ、何して...。 え?何これ?」
「俺の魔力を渡してるだけだよ。でも、これでイメージしやすくなったろ?」
「確かに!ありがとう!」
レイナは笑顔でそう言う。俺はその笑顔に少しドキッとした。
俺は他の人にも魔力を渡して、魔力の流れについて理解してもらった。これでようやく第一段階だ。
「次に魔法で大事なことはイメージです。イメージすることで、より強力な魔法を撃つことができます」
これには少し時間がいるので、その間俺は詠唱魔法について考察をまとめることにした。
「炎よ、我が手に集まり、全てを燃やせ!ファイアーボール!」
一度使ってみて分かった。これは詠唱を唱えるだけで勝手に魔力が調整されて、勝手に魔法が構成される。だから、術者がすることは詠唱を唱えるだけ。簡単に発動できるが、威力は出ない。そんな感じかな。
詠唱魔法について簡単に考察したところで、周りの様子を見る。
すると、色んなところで詠唱魔法より強い無詠唱魔法を放つ生徒がチラホラ見えた。順調に進んでいるようだ。このままいけば一週間ぐらいで自然に使えるようになるだろう。
そろそろ次のステップに進むか。
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