「いろは歌」と「とりな順」
「いろは歌」と「とりな順」
いろは歌とは、仮名を重複させずに使って作られた47字の誦文を指す。
とりな順とは、いろは歌の47文字に「ん」を加えた48文字から成り立っている。
ギリシア語で「すべての文字」という意味がある言葉をパングラム(Pangram)と呼ぶ。そのため、いろは歌やとりな順は日本語版のパングラムと言える。
「いろは歌」
色は匂へど いろはにほへと
散りぬるを ちりぬるを
我が世誰ぞ わかよたれそ
常ならん つねならむ
有為の奥山 うゐのおくや
今日越えて けふこえて
浅き夢見じ あさきゆめみし
酔ひもせず ゑひもせす
――いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす――
「とりな順」とは「鳥啼歌」の意。
鳥啼く声す とりなくこゑす
夢覚ませ ゆめさませ
見よ 明け渡る東を みよあけわたる ひんかしを
空色映えて そらいろはえて
沖つ辺に おきつへに
帆船群れいる ほふねむれゐぬ
靄のうち もやのうち
――とりなくこゑす ゆめさませ みよあけわたる ひんかしを そらいろはえて おきつへに ほふねむれゐぬ もやのうち――
「東」は「ひんがし」と読み、「ん」を含んだ 49 文字となっている。