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異世界系における小説設定資料  作者: Twilight
幻想小説を創るための設計図
29/48

誤用しやすい日本語

【目次】

御の字

なし崩し

煮詰まると行き詰まる

ぞっとしない

おっとり刀

気の置けないと気の置ける

眉をしかめると眉をひそめる

佇まいと居住まい

二日に一回と一日おき

戦術と戦略

吹奏楽とオーケストラ

的を射ると的を得る

力不足と役不足と役者不足

足をすくうと足元をすくう

暫時と漸次

独壇場と独擅場

汎用と凡庸



【御の字】


例文:70点取れれば御の字だ。


誤解:一応、ひとまず納得する。

正当:大いにありがたい、非常に満足である。


 「御の字」というのは、御の字をつけたいほど非常に結構なことであり、それ以上になく有り難いものを示す言葉です。


 ここで大事なのが、70点という数値をどのように捉えたかによって誤解が生まれている可能性があります。

 本来の意味を知っていれば、「70点取れれば満足だ」と解釈するでしょうが、知らなければ「70点」を「満足ではないが、喜べる最低ラインの点数」と受け取って「70点取れればとりあえず納得できる」と解釈するかもしれません。

 その差によって誤解が生まれているのでしょう。



【なし崩し】


例文:借金をなし崩しにする。


誤解:借金をなかったことにする。うやむやにする。曖昧にする

正当:借金を少しずつ返す。


 なし崩しとは、物事が少しずつ進んでいくさまを表し、プラスかマイナスかは本質ではありません。

 文字通り、崩していくことを考えれば、なかったことにするのではなく、片付けていくという意味に気付けると思います。



【煮詰まると行き詰まる】


煮詰まる=完成しかけた、結論が出る状態になること。


行き詰まる=行き止まりになる、先に行けなくなること。



【ぞっとしない】


誤解:恐ろしくない。怖くない。

正当:面白くない。感心しない。つまらない。


「ぞっとしない」は、「面白くない、感心しない」という意味する。


「ぞっとする」という表現は、恐ろしい思いを表すため、その否定を意味する「しない」をつけた「ぞっとしない」が「恐ろしくない」と捉える人が多くなったと言われています。


 古くには「ぞっと」という言葉に、「美しいものに出会ったりして,強い感動が身内を走り抜けるさまを表す」という意味が込められているので、その否定系だと考えるとしっくりくると思います。



【おっとり刀】


例文:おっとり刀で駆けつける。


誤解:おっとり、ゆっくり

正当:急いで、あわてて


 おっとり刀は「緊急時に取るものを取らずに駆けつけること」を意味する。

 武士や侍が急な出来事が起きて、そこに向かわなければならない時、刀を腰に差す暇もなく手に持ったまま急いで向かうことを「おっとり刀」という言葉で表したと言われています。


 漢字で表すと「押っ取り刀」と書くので、分からなくなったら漢字を思い出すと疑問が解消できるでしょう。



【気の置けないと気の置ける】


誤解:気の置けない友達(親しくない・打ち解けられない)

正式:仲がいい友達。遠慮がいらず、気が許せる間柄。


誤解:気の置ける仲(仲がいい・親しい)

正当:気遣う・気にかかる・遠慮する。


「気の置けない人」:「気を遣う必要のない親しい人」という意味。

「気の置ける人」:「気を遣ってしまう人」という意味。



 「気の置けない」というのは、気を置かなくていい間柄(気遣わなくていい関係)なので、親しい仲という意味になる。


 「気の置ける」というのは、自分の気を置いてしまう(気持ちや気分を相手に向けてしまう)ことなので、気を遣うという意味になる。



【眉をしかめると眉をひそめる】


誤用表現:眉をしかめる。

正当表現:眉をひそめる。顔をしかめる。


 眉をしかめるは、眉をひそめるの誤用で、「しかめる」と「ひそめる」は漢字で表すと同じ"顰める"と表されるため、誤用に繋がったと思われる。


眉をひそめる=他人の嫌な行為に不快を感じて顔をしかめることを言う。眉根を寄せるとも。



【佇まいと居住まい】


たたずまい=人やものが立っているさまや、そこに存在するものの様子。また、人の生き方、暮らし方

「落ち着いた佇まい」「凛とした佇まい」「美しい佇まい」


居住いずまい=人が座っている姿勢。また、その態度。座り方。


 佇まいの語源は、立ち止まるという意味の「佇む」が変化して、「佇まふ」→「佇まい」になったと言われています。

 また、「居住まいを正す」「居住まいを直す」は正しい表現ですが、「佇まいを正す」や「佇まいを直す」等の表現は存在しないので誤用しないように気を付けてください。



【二日に一回と一日おき】


 1月1日を基準にして、お菓子を貰える日を〇、もらえない日を×と置き考えて見る。


二日に一回。二日という単位を一括りにするので、連続して貰っても貰わなくても良い。

三日に一回となると、三日間の内のどこか一回で良い。

1月1日〇

1月2日×

1月3日×

1月4日〇

1月5日〇

1月6日×

1月7日〇

1月8日×


一日おき。一日あいだを空けて考えるので、「貰った日、貰わない日、貰った日」という形になる。

一日おきは“置き”という字を書くので、一日あいだを置いて日数を数える。

人によっては、1/1の午前8時から24時間経ったから、1/2の午前8時を指す人もいる。

1月1日〇

1月2日×

1月3日〇

1月4日×

1月5日〇

1月6日×

1月7日〇

1月8日×



【戦術と戦略】


 戦略=特定の目的を達成するための長期的な計略。

戦争に勝つための総合的・長期的な計略。組織などを運営していくについて、将来を見通しての方策。

「経営戦略の欠陥」「戦略的人生論」「販売戦略を立てる」

 [補説]具体的・実際的な「戦術」に対して、より大局的・長期的なものを「戦略」という。


 戦術=作戦や戦闘における具体的な運用方法、すべ。具体性が求められる。

 戦いに勝つための個々の具体的な方法。ある目的を達成するための具体的な方法・手段。

「賃金闘争の戦術を練る」「人海戦術」



【吹奏楽とオーケストラ】


 管弦楽団とも呼ばれるオーケストラ。弦楽器、管楽器、打楽器で編成される、管弦楽曲を演奏する楽団のことを言う。

 日本で有名な楽団は「NHK交響楽団」、「東京フィルハーモニー交響楽団」など、数々の演奏会やコンクールなどで活躍されている。

 ちなみにオーケストラの呼称には「管弦楽団」「交響楽団」「フィルハーモニー」など複数あるが、構成等の違いではなく、単純に名前の付け方によるもの。


 管楽器と打楽器で編成される吹奏楽。オーケストラとの大きな違いは、コントラバス以外の弦楽器がなく、管楽器の本数も増える。

 オーケストラだと1パート1人の時もあるが、吹奏楽は1パートを複数人で演奏する。

 オーケストラではソロパートを演奏することの多いクラリネットだが、吹奏楽ではハーモニーを作ったりソロパートを演奏したりと大忙し。オーケストラでいうところのヴァイオリン的役割を果たしている。


 演奏する楽曲のジャンルも違い、オーケストラの場合はクラシックの割合の方が断然多めだが、吹奏楽はクラシックはもちろんのこと、ジャズやポップスなどさまざまなジャンルの楽曲を演奏する。



【的を射ると的を得る】


 的を射るとは、物事の要点を的確に捉えている・本質を突いている・理にかなった正しい見方である・まったくその通りである、といった意味で用いられることのある言い回し。


 ここでいう的とは弓道における“的”を指し、そこに突き刺さるさまを表した言葉が「的を射る」である。

 「的は射るものであり、得るものではない」というのがこれまでの風潮であったが、近年では、的を得るのも「捉える」という観点で見れば誤用では無いとしている。

 また、「正鵠を得る」という言葉があるように、「的を得る」も間違っていないのではという主張もあるらしい。



【力不足と役不足と役者不足】


力不足=能力が不足している様。


役不足=演技における役が物足りないこと。役目が簡単な時に用いる、ある意味傲慢な言葉。


役者不足=造語。役者の数が足りないことを指す場合があるが真偽は不明。



【足をすくうと足元をすくう】


足をすくう=敵の隙をついて失敗させること。すくうという字を書き、下から持ち上げ横に払う事から、転じて隙を突くことを指す。


足元をすくう=足をすくうの誤用。「足元を見る」や「足元にも及ばない」という慣用句が多いため、間違われたと思われる。



【暫時と漸次】


暫時=少しの間、しばらく、を意味する。


漸次=しだいに、だんだん、を意味する。



【独擅場と独壇場】


違い:てへんつちへん


独擅場どくせんじょう=その人だけが思うままに振る舞うことができる場所・場面。ひとり舞台。一番最初に使われていたのがこちらの言葉。


独壇場どくだんじょう=独擅場の言葉を書き損じて生まれた言葉。てへんつちへんの違いであり、意味は同じとして扱われる。現在はどちらを使用しても誤用ではないため、好きな方を選ぶとよいが、始まりは独擅場(手へんの方)と覚えるとなお良い。



【汎用と凡庸】


汎用はんよう=いろいろの方面に広く用いること。「汎用性が高い」


凡庸ぼんよう平凡へいぼんでとりえのないこと。また、その人や、そのさま。「凡庸な人間」


 読みが似ている点を注意。



◆引用文献◆

https://dictionary.goo.ne.jp/word/戦術/

https://dictionary.goo.ne.jp/word/戦略/


吹奏楽とオーケストラ

https://www.eys-musicschool.com/media/orchestra_windorchestra/?theme=wordpressify_2020_11_03


独壇場と独擅場

https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/gimon/121.html



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