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異世界系における小説設定資料  作者: Twilight
幻想小説を創るための設計図
24/48

世界創生の四手目 ~過去を生きた者達~

今回は【7:生活水準】についてお送りいたします。


文字数(空白・改行含む):5441字

文字数(空白・改行含まない):5251字


 どうも、皆さん。

 今回はもっと世界の内面的な部分から世界を見て行こうと思います。

 特に小難しい話は無しで、箇条書きで書いていきますので流す感じで見て頂ければと思います。

 それではどうぞ。




【7:生活水準】

 皆さん大好き、中世。しかし、知っている事ってそんなに多くないのではないでしょうか?

 そもそも中世って何のことか分かりますか?


 ヨーロッパにおける中世とは、「5世紀から~15世紀」までのおよそ1000年間の事を総称して言ってます。

 一応、西暦で書いておくと、史実では大体430年から1500年くらいのことです(ここ重要!)


 そんな中世には、5世紀〜10世紀の「中世前期」、11世紀〜13世紀の「中世盛期」、14・15世紀の「中世後期」の三つに分けられています。

 そう、中世前期でさえ、500年もの長さがあるのです。


 500年ですよ? 考えて見てください。

 今が2000年代だからその500年前はおよそ1500年くらいの時だから……ちょうど中世後期やん!


 つまり何が言いたいのかと言うと、それだけ離れた時間なのに中世と一括りにしては、「あなたは中世と現代の違いも分からないんですか? プークスクス」ってな感じで笑われてしまいます。


 そんなことは私だったら絶対されたくないので、ざっくりとでも文化レベルを知っておきましょう!




【中世前期】

 ◆時代:5世紀~10世紀

 ◆食事:木製品の食器にナイフが標準装備されますが、あとは手で食べるのが一般的です。

 ◆技術:火薬なんて知りません。粗悪な鉄なら作れます。ガラスの初歩的な技術が手に入ったばかりな為、透明なガラスなんて知りません。武器は剣や槍、盾などが標準装備です。


 ◆庶民の服装:「シュミーズ」と呼ばれるワンピース型の下着の上に、膝丈くらいの貫頭衣の「ローブ」を着て、「ブレー」と呼ばれるゆったりとした長ズボンが男性庶民の一般的服装。中世初期から14世紀後半にかけてほとんど変化はありませんでした。


 女性庶民は男性と変わらない服を着ていました。中世の女性は髪を頭巾で隠すのが主流で、特に既婚者は夫のみが頭髪を見ることができました。庶民の服装はシュミーズの上からローブを着て腰はベルトで締めていましたが、これは労働の際に裾の長さを短くして動きやすくするためだったと考えられています。


 ◆貴族の服装:ローマの影響を強く受けて、「ダルマティカ」と呼ばれる短い袖のチュニックが流行していました。東ローマ帝国の時代になると高位の人は東方より流入した絹糸や宝石を使って豪華で厚みのある上着とズボンを履くようになります。


 中世前期に該当する10世紀ごろはギリシャやローマの影響がまだ残っていた時代であった頃から、当時の女性貴族のドレスもタイトでしっかりとしたスタイルでした。優美で繊細なデザインで手首付近もぴったりしたものが大半でしたが、首から上部分を完全に隠すデザインのものもあり、かかとまでの届く長い丈のチュニックをウエスト付近で調整するデザインもありました。

 中世初期に着用されていた肌着である「シュミーズ」の中でも、袖口がピッタリした踝丈のものを「シェーンズ」と呼ぶようになりました。貴族たちは亜麻性のシェーンズの上に、「シュールコー」というノースリーブのワンピースのような上着を着用し、高貴な人ほど床に引きずる程長いものを着て優美さを競いました。




【中世盛期】

 ◆時代:11世紀~13世紀

 ◆食事:ナイフ重点、木の皿重点とあまり進化しない。支配階級はこのくらいから金属製の食器が普及し始めました。

 ◆技術:火薬の存在を知りかけ始めました。しかし、騎兵こそを至上の兵科と考えています。高炉の発明により銑鉄が作れるようになり、鋳物製品も色々登場しました。食器やグラスなどは貴族が使い、ステンドグラスなんかも作れるようになりました。


 ◆庶民の服装:男女ともに「ブリオー」というゆったりした長い丈のチュニックが流行しましたが、長くは続かずに「コット」という身体にフィットした長い丈のチュニックに、「シュールコー」というノースリーブのワンピースのような上着を重ねるスタイルが流行しました。


 13世紀に入り、ヘアスタイルに少しの変化と男女の服装に大きな差が生まれ、ヘアスタイルは未婚の女性は自然におろしていた髪を結いあげて麻製の布で覆うようになりました。服装は男性がプールポワンとブレーで脚を出すスタイルだったのに対し、女性の服はスカートが床に届く程長くなり「コタルディ」と呼ばれ区別されました。これはコットの変種として広まりました。


 庶民の生活は厳しいもので労働力は貴重でした。そのため、女性は14歳ごろから子供を産み育てる役割があったようです。母として、妻として、娘として、男性を支え共に生活していました。それでも生きていくだけで精一杯の庶民は服にかける金銭的な余裕もなく、経済が安定して庶民がその恩恵を受けるまでは男性と同じような服装をすることになったのです。


 ◆貴族の服装:中世盛期の貴族階級の男性は、きらびやかで豪華なスタイルが主流でした。ブリーチズと呼ばれる短い半ズボンにストッキング、靴、コート、サーコートと言った服装に、金銀や真珠、宝石などが贅沢に施されており、また大きな金のベルトも着用していました。


 13世紀後半にはシュールコーの袖ぐりが大きく開いたシュールコー・トゥベールというものが貴族の間で流行し、その下に着るローブに凝った装飾を見せることを競いました。パーティカラーという左右で色が違うデザインが流行り、それはシュールコーにも反映されました。既婚女性は家の紋章を刺繍することもあったようです。


 ◆騎士の服装:中世ヨーロッパの騎士は戦闘に特化した服を着ていました。「コット」の上に「チェインメイル」という鎖で編んだ鎧、その上に「シュールコー」を着用していました。シュールコーは十字軍の軍服が発祥とされ、やがて貴族や庶民にも着られるようになりました。

 初期のシュールコーは機能性を重視して、鎧の上から着て敵と味方を見分けやすくしたり、雨などで鉄の鎧が錆びるのを防いだようです。




【中世後期】

 ◆時代:14・15世紀

 ◆食事:庶民金属製の食器が手に入りますが、ただしそれも15世紀の末期ごろにようやく。格式高いヨーロッパの卓上マナーが開花するのは近代に入ってからになるので、この中世後期以降に登場します。

 ちなみに、陶器はありますが磁器はありません。すなわち真っ白なディッシュ皿なんて存在はありえないのです。ヨーロッパで磁器が普及するのは16世紀以降で真っ白な磁器は18世紀頃……なので中世には関係ない事柄なんですね。


 ◆技術:火薬の存在が知られており、「中国の雪」あるいは「中国の塩」と呼ばれました。14世紀の初めには銃だけでなく、既に大砲が使用されていました。そのため、マスケット銃などの初期の銃がヨーロッパに登場してもおかしくないでしょう。


 鋼と言えば、ダマスカス鋼やウーツ鋼が良く知られていますが鋼自体は作れませんでした。正確には中世時代通して鋼を作れましたが普及はしなかったのです。

 一般的には、ヨーロッパの鉄の殆どは高品質な鉄鉱石を原料としていた為、不純物が少なく銑鉄とその加工品でもそれなりの品質であり、鋼への技術的進歩を急ぐ必要が無かったと考えられます。とはいえ、中世盛期には錬鉄技術はあったので鋼に近いものは職人が作れました。


 無色透明なガラスが作れるようになり、貴族の家に窓ガラスがついてます。しかし、ガラス自体はローマ時代に普及はしたんですが貴重な上に高価だったのです。そのため、中世時代通して庶民がガラス製品の食器や製品に触れることはありえません。


 ◆庶民の服装:「コタルディ」というコットの変形服が広まりました。男性はお尻くらいの丈、女性は床に引きずる程の丈という風に男女でデザインに差がありました。14世紀半ばには男性のコタルディは「プールポワン」という服に取って代わられ、プールポワンは時代を通じ多様な形態が見られますが、詰め物・キルティングが施されたこと、袖つきであることが共通しています。


 同時に、ブレーよりも「ショース」と呼ばれる身体にフィットする長い靴下のようなものが人気を増していきました。これは現在で言うタイツのようなもので、靴下兼ズボンとして男子の間で流行りました。

 この頃はプールポワンで肩や胸板を強調した逆三角の上半身に、「ショース」で引き締まった脚を見せることが男性の魅力だと考えられるようになっていました。プールポワンとショースはリボンで結ばれ、このリボンを選定することが若者たちの間で流行しました。やや高価なプールポワンよりもリボンで個性を出そうとしたようです。


 ◆貴族の服装:当時の男性貴族は美と権力を象徴する服を着ていました。14世紀に流行した「プールポワン」も上質な麻糸やビロードで仕立てられたり、貴重な染料で染めたり、金銀糸で美しい刺繍が施されたりしておしゃれを楽しむ生活をしていました。


 14世紀半ばになると、「プールポワン」に「ホーズ」という半ズボンと「ショース」、先のとがった靴を履き、マントを羽織るスタイルが流行して貴族男性の正装として生活に根付きました。長めの金属製の尖った靴がポピュラーで、つま先が長いことは「労働をしない階級」の証として男性のみならず、女性の貴族たちの間でも大流行しました。


 15世紀後半にイタリアで流行していた袖の膨らんだ上着や短いマントが流行しましたが、ホーズとショースは15世紀末になるまで男性の必需品でした。

 美しさ・エレガントさを重視していた貴族たちは、各々に贅沢品を身に着け着こなしにもこだわっていました。帽子をかぶったり、マントを肩からさげたり、長いショースを履いて美脚をアピールしたりと楽しんでいました。この時代の贅沢品といえば毛皮で、マントの裏地やガウンなどに使用され豪華さを演出していました。


 15世紀後半には女性のヘアスタイルが大きく変わりました。「エナン」という円錐状の帽子を被り、エナンの先端から床まで届く長さのベールを垂らしていました。当時の女性はエナンと末広がりのスカートで二等辺三角形のシルエットをしていて、横から見て緩やかなS字を描く体型が美人の条件として考えられていました。

 貴族階級の女性のドレスは贅沢を極めた物へと変化していくと、女性達は引き裾が長めのドレスを着用していましたがだんだんと短くなっていき、テンの毛皮などを使った贅沢な飾りつけが主流となっていきました。


 ◆騎士の服装:チェインメイルは動きやすく剣からの攻撃に強い防御力を発揮しましたが、槍などの突きの攻撃には弱く、武器の性能が上がるにつれて防具も強化され、次第に全身を包む鉄板の鎧(プレートメイル)に移行していきました。

 ただ重さが数10キロにも及ぶ重装備であったことから俊敏性に欠けるという欠点もあったため、銃の誕生に伴いプレートアーマーは使用されなくなりました。


 また、マントは騎士の身だしなみの必需品で、特に「マントル」という半円形の毛皮を使ったものは上流階級しか身に付けられませんでした。騎士は他人の館に訪問するときや晩餐会の席でさえマントルを脱ぐことはありませんでしたが、開戦前や決闘を申し込むときにはマントルを相手へ放り投げることもあったようです。


 このマントルというもの、イメージしにくいと思いますが、【進撃の巨人】で出て来た調査兵団がつけている緑色の小さなマントのような物をイメージして頂ければ分かりやすいと思います。

 もしくは「とんびマント」のびろびろした部分って言えば、何となく伝わるんじゃないかと思います。(笑)




◆引用文献◆


https://ja.wikipedia.org/wiki/火薬

https://ja.wikipedia.org/wiki/西洋史

https://ja.wikipedia.org/wiki/中世

https://ja.wikipedia.org/wiki/中世前期

https://ja.wikipedia.org/wiki/中世盛期

https://ja.wikipedia.org/wiki/中世後期


ノマドクリエイター 様より 一部抜粋・転載

https://xn--eckhu0e2b3a6i6dsh.net/how-to-make-novel-worldview/#i-8


日本式ファンタジー=中世ヨーロッパ?

https://ch.nicovideo.jp/suspend/blomaga/ar518601


中世ヨーロッパの服装を徹底解説!貴族・騎士・庶民・子供【男女別】

https://cherish-media.jp/posts/7317


中世ヨーロッパの男性・女性の服装!庶民・貴族・騎士のファッションは?

https://cuty.jp/64899


西洋服飾史

https://www.amazon.co.jp/dp/4490203675?tag=n43henra3a-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1


マールカラー文庫18 中世ヨーロッパの服装

https://www.amazon.co.jp/dp/4837320171?tag=n43henra3a-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1


「調査兵団 マント」、もしくは「とんびマント」、「インバネスコート」などで検索してみてください。

ついでに面白かったら感想に書いてみてください(笑)



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