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ラウンドリム0024

出来上がった料理の盛り付けなどは頼み席へと戻るダリュート。

店員へ後を任せ、ダリュートの後に続く店主である。


席へ着いたダリュートへ店主ガンツが再度告げる。

「旦那、頼みますよぉ~」っと。

「いや、だからな。

 俺は鍛治工房へ雇って貰うことに決まったばかりなのだよ。

 だから無理だ」

「そこをなんとか!」

「いや、あのな…」


困り切っているダリュートへ親方が問い掛ける。

「何を揉めておるのじゃ?」っと。


「いや、あのですね。

 ガンツ殿…この店の御主人なんですが…彼が俺を料理人としてスカウトしたいと言ってるんですよ。

 俺は親方に雇って貰ったばかりだから無理だと言ってるんですがね」


ダリュートが告げると親方がマジマジと彼の顔を見た後でガンツを見て尋ねる。

「コイツが作る料理は、そんなに美味いのかえ?」っと。


「美味いてぇもんじゃないですなっ!

 この辺りでは知られてない調理法で調理なさる。

 しかも味は絶品。

 それも短時間で複数の品を仕上げている手際…一流処の腕前といってよいでしょうや」


そうガンツが告げていると、店員が料理を盛り付けた皿をテーブルへと。

配膳された料理を面々が各々の手塩皿(てしょうざら)へと取り分けて(かぶ)り付く。


「美味いわんっ!美味過ぎるわんよっ!」っとトルトが吼える。

「にゃにゃにゃにゃにゃっ!

 にゃんにゃんかっ、この美味さにゃっ!

 初めて食べるにゃん、幸せにゃんよぉ~」

そうライナが騒ぐ。


他の面々も目を見張り次々に料理をガッツいて行く。

親方は何時もは料理を多く食べないのだが、フォークが止まらないようだ。

同時にラガーも次々と飲み干していくが、料理に促進されたが如くである。


怒涛の如く料理を貪った面々により皿が空に。

作ったダリュートは皆の様相に苦笑いである。


一息吐いた親方がダリュートへ

「お主…料理人が向いておるのでは?」っと。


「いやいや、料理は、あくまでも趣味で行っておるに過ぎぬ。

 船旅では食事が唯一の楽しみでな。


 それに護衛などどいう仕事は有事でなければ暇なのだ。

 鍛練も常に行えば良いと言うものではなく、適度な時間で行わねば意味が無いでな。


 そうなれば行うことがないから暇を持て余す訳だ。

 娯楽的な食事が気に入らず料理長と口論となってな、なれば貴様がっとなり少々作ったら料理長と意気投合してな。

 暇な時には料理長と色々と料理を考案したりはしておったぞ」


「それで、この味か…とても趣味の味とは思えぬのじゃがな」

親方が困惑顔で。


「みゅぅ~、この料理…もう食べれないにゃん?」っとライナが零す。

それにトルトが反応して

「ワゥッ!?もう食べられないわんかっ!

 (せつ)、また食べたいわんっ!」っと騒ぐ。


それを見たガンツがダリュートへ

「夜の2時間だけでも頼めんかね」っと。


「いやいや、下拵えとか色々仕事があるだろう?

 用意されて品を使って仕上げるだけっと言うのはどうなのだ?」

思わずダリュートが告げると、親方がダリュートへと言う。


「儂は工房を終えてからなら、コッチを手伝っても構わぬぞぃ。

 っと言うか…お主の料理でラガーが飲めるなら、むしろ歓迎じゃな」

そう告げニンマリと。


ライナとトルトだけでなく、工房の面々も期待するようにダリュートを見る。

「いやいや、工房で働いた後、此処でも働けと?」

困り顔で告げるダリュートへガンツが提案を。

「ならば週に3回、いや2回でも良い。

 夜に2時間だけ頼めないかね。

 なに、旦那の料理ならばプレミア物で客も呼べるし、俺も腕の良い料理人が入れば刺激になる。

 是非、頼みたいのだが」


困惑するダリュートだが、工房の面々、特にライナとトルトの圧に負け…

「ううむぅ…週に2回、だけ、だぞ…」

そう渋々と了承するのだった。


それが聞こえた船員達が落胆した様相に。

他の酔客が何事っと首を傾げていると、水夫の1人に呼び出されたトールが店へ入って来た。


「旦那が現れたって…何処だ?

 へっ?あの(わけ)ぇ衆が、旦那だと…

 旦那…髭落とすと若かったんでやすねぇ…」

トールがシミジミと言っていると、今迄の顛末を水夫がトールへと告げる。


「マジでやすかぁ~」っと言うと、ヘナヘナヘナっと崩れ落ちるトール。

その姿を見て

「まだ、諦めておらなんだか」っと苦笑するダリュート。


「船長に、どう言や()いんっすかぁ~」っと頭を抱えている。

「アヤツはどうしたんじゃい?」っとトールの姿を不思議そうに見る親方。


そんな親方へダリュートが困ったように

「いやね、船に残るように頼まれておったのだ。

 その説得係がヤツでな。

 俺が仕事を見付けたので船への残留が絶望となったと知って、ああなったのだろうよ」っと。


「ああああっ、昨日、今日でぇっ!なんでっ!仕事が決まってるんでやすかぁぁぁっ!」

絶望したように叫ぶトールであった。

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