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ラウンドリム0022

各々が気になる料理と飲み物を頼んだ後、親方が告げる。

「小難しいことは要らねぇ。

 今日雇うこととなったダリュートと楽しく飲もうじゃねぇか!

 乾杯(かんぱぁ~い)」っと告げると同時にゴブレットに注がれたライッヒ・ラガーを一気飲み。

「プッふぁ~っ、(うめ)ぇ酒じゃねぇか、コンチクショォ~っ、もう一杯っ!」っと言って、ダンっとゴブレットを叩き付けるように机へと置く。


まぁ、ゴブレットを乱暴に置きはしないがダリュートも一気にラガーを飲み干しているのだが。

それも当然で「乾杯」とは文字通りに「乾かす杯」にて一気に飲み干すこと。

乾杯にて杯内の飲み物を全て飲み干さないのは、本来は非礼とされる。


対策としては注がれる飲み物の量を1杯目のみ減らすことか、酒の場合は自分が下戸と断りを入れることだそうだ。

まぁ、そんな形式は瓦解して久しく知っている者も少ないのではあるが。

なにせ最近では乾杯なのに杯内の飲み物を飲み干すのは非礼と告げる阿呆が現れる始末なのだから…


そうは言っても、杯を飲み干したのは親方とダリュートのみ。

他の面々はチビチビと飲んでいた。

そんな連中をチラリと見た後、飲み干したダリュートを見て親方がニンマリと。


「遣るじゃねぇか、イケる口か?」っと。

「そこそこですかね、まぁ、乾杯ならば飲み干すのが礼儀でしょうし」っと告げ肩を竦める。

「ほぅ、礼儀も弁えてんなぁ~

 さぁ、飲むぞっ!」

そう親方が告げると同時に女将が次のラガーを。


2人は受け取ると水を飲むかの如くゴクゴクと。

「っカァ~っ!この喉越しが堪らんわいっ!

 エールもじゃが、特にぃっ!このラガーてぇのは喉で楽しむ代物(しろもん)よのっ!

 喉に稲穂が立ちやがる」

「乾いた喉には最高ですからなぁ」っとダリュートもご満悦である。


そんな2人に男鍛冶師が苦笑いして告げる。

「親方、取り敢えずは歓迎の宴で親睦を図るばなんですぜ。

 自己紹介くらいはしやしょうや」っと。


(うっせ)いぞっ、ま、一理はあるが…」

いや、一理所か目的では?


そんな親方では進行は無理と判断した男鍛冶師が告げる。

「先ずは俺からだな。

 俺はラルトと言い鍛冶師頭代行だな。

 本来は鍛冶師頭補助が役所だったんだが、トーラスの兄貴が領主様の要請で接収されちまったんで頭代行を遣ってる。


 役所は親方の補助と下の面々の統率、ライナの手伝いで経理関係も行ってるぞ。

 次はアマンダだな」


ラルトに告げられね女鍛冶師のアマンダが席を立ち告げる。

「アタイは鍛冶師のライナさね。

 簡単な錬金術も扱えるよ。


 仕事は鍛治と錬金にて素材集めなんかだねぇ。

 店の品は、親方とラルト、アタイで大半を造ってるのさ。


 前はトーラス兄さんが居たから楽だったんだけど…今は兄さんが抜けて人不足さね。

 重い物を運ぶのに親方かラルトが動くと効率が悪くてねぇ。

 アンタには期待してるよ」っと。


「次はミィにぁ~ん。

 ミィはケット・シーのライナにゃんね。

 店の売り子と店と工房の経理担当にゃんよ。

 これにぇも計算にゃ出来るにゃんかねにぇ」っと無い胸を張る。

因みにライナは雌…失礼、女性である。


「次は(せつ)だわん。

 拙はクー・シーのトルトだわん。

 ライナと同様に店の売り子をしてるわんね。


 品物の配達も行ってるわん。

 だから配達に出て店に居ないこともあるわんね」


一応念のためだが…彼は男性である。

確かにヨークシャー・テリアな容姿で非常に愛くるしくとも…である。

ウルウル・ピルピルなチワワに負けない程の庇護欲を非常にそそろうともだ。


「次は俺様…」

「ああ、お前たちは俺が纏めて紹介する」っと見習いキリレラを遮りラルトが言う。


唖然として固まる彼を放置してラルトが続け…

「右からキリレラ、ザーザルト、テムジルだな。

 親方が鍛治仲間の息子達を行事見習いで預かっているんだ。

 腕は…まだまだ、仕事は全く任せられないレベルでしかない。

 力仕事も無理なのでな、アンタを頼りにさせて貰いたい。

 まぁ、鍛治仕事に対して、アンタがどれほどできるかが未知数なんだがな」っと。


「おぅ、コイツなら小僧3人より腕は上だろうさね。

 元々武具手入れや補修は行えたみたいだが…今日、オメェ達が打ってた槍の穂先に対する目利き…

 アレが行えるなれば直ぐに戦力になるじゃろうて」

っと言いつつ杯を干す、って…何杯目?


「ほぅ、それは当てにして良いですかい?」っとラルトが。

「いやいや、俺は素人だからな」っと、困ったように告げるダリュートだった。


その後、ダリュートが自己紹介を行い、自分の経歴を明かす。

彼の経歴を聞き、親方とライナ、トルト以外が唖然と彼を見て固まってしまう。

っと言うか、店内が静まりかえったのはお愛嬌か?


ま、そんな事は我関せずとばかり親方は豪快に飲んでいるのが印象的であった。

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