表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/25

ラウンドリム0019

親方に連れられて工房の奥へと。

そちらでは鍛治仕事が行われており、金属を槌で打ち加工しているところだった。

驚いたことに相槌を打っている鍛冶師は女性である。


ナヨナヨした成りの娘ではなく、引き締まった体を駆使して槌を打ち振るう姿は中々に逞しい。

まぁ、相方の大男に比べたら劣ってしまうが、比べる相手が悪いと言えるであろう。

そうは言っても、その大男よりもダリュートの方が遥かに逞しいのだが…


そんな2人を眺めるように佇む少年が3人ほど。

見習いなのであろうか?

っと言っても1人は十分に鍛治仕事が行えそうな体格となっているように見受けられるのだが…


その少年が親方を見て「そいつが募集で来たてぇ奴ですか?」っと。

「おぅ、まぁ鍛治仕事は素人らしいが武術にぁ長けてるようだぞ。

 手入れや補修ていどは可能なんだとさ。

 さて、先ずは区切り良く中断した仕事を遣っ付けてからだ。


 キリレラ、向こう槌を打て」


親方に告げられた少年が、いそいそと槌を取り空いている金床へと。

そして切の良い形成まで終えていた金属を親方が炉へと()べ熱する。

ほど良い感じに熱せられたら炉から引き上げ金床へと。


空かさず親方が槌を振り下ろし、キリレラと呼ばれた少年が向こう槌を打つ。

テンポ良く振り下ろされる槌にて金属が整い、温度が下がると空かさず炉へと。

そうして整えられた金属が薬液が加えられた水へと。


「良し!

 後は研いだ後で柄と鍔を取り付けりぁ良かろうて」っと親方。

親方の向こう槌を勤めた少年は疲労困憊(ひろうこんぱい)っと言った有様である。


とは言え、その作業を羨ましそうに見ている少年2人に対して浮かべる優越感を湛えた顔は満足そうであるが。

「まぁ…半人前以下だがよ、(ほか)らずとも良い程度のできではあるわな。

 だが、まだまだだっ。

 暫くは屑鉄でも弄っておれ」

そう親方に告げられガッカリと。


そんな様子を鍛治仕事が一段落付いた男女鍛冶師が苦笑いして見ていた。

そんな彼らが打った品は槍の穂先と思われた。


「ううむぅ、中々のできだな。

 だが…これは鋼かね。

 噂のミスリルなどの希少金属ではないのだな」っとダリュートが2人が打ち終えた品を見て告げる。


「いやいや、ミスリルで刃物は打たんでしょ」っと女性鍛冶師が呆れる。

「それは何故だ?」

不思議そうにダリュートが尋ねる。


「あのねっ!ミスリルって言うのは魔素との親和性が高いけど柔らかい金属なのっ!

 そんな金属で刃物なんて造ったら簡単に曲がちゃって使い物にならないわよっ!

 ミスリルは魔導具の回路を造るのには適してるし、剣に魔術回路を仕込む魔剣造りに用いるけど…

 流石にミスリルだけでの剣なんて有り得ないわ。


 ウチでも魔剣を造ることはあるけどさ、大概は魔導具工房へ収めるミスリル()を造ってるわね。

 魔導具工房では、このミスリル糸を溶かし固めつつ魔導具回路を造ってるそうよ」


「そうじゃの、逆にアダマンタイトは硬いが脆いでのう。

 アダマンタイトのみで武具を造ることはないぞい。

 オリハルコンなれば単独で武具を造れるが…総オリハルコンとなると加工が厳ししくてのぅ。


 故にミスリルとアダマンタイトの合金であるカルナ鋼か、アダマンタイトとオリハルコンの合金であるダマスカス鋼で武具が造られておる。

 なにせオリハルコンの場合は高温で加工せねばならぬので、コチラの身が持たぬのよ。

 故に先程の炉内加工できる炉が必要となる訳じゃ。


 まぁ、プラティオンなんぞを扱うなれば、オリハルコンよりも高温でなければならん。

 ってもの、プラティオンなんぞ滅多に手にはいらんがの。

 ドゥーヤルなれば偶に入手できるが…あれも通常の炉では加工できん。

 やはり炉内加工できる炉が必須じゃてな」


そう親方が補足を。

「うむむむむ、ミスリルが実在したこと自体が驚きであったが、まさかミスリルが、そのような物であったとは…

 アダマンタイトが硬いとの伝承を聞いたこともあったが、硬過ぎて脆いなど聞いたこともなかったぞ。

 まぁ、オリハルコンは伝聞通りのようだが…


 それよりも気になるのは、ミスリル、アダマンタイト、オリハルコン。

 これらの鉱物入手難易度が低いように聞こえることだ。

 いずれもアチラ側では入手不可能っと言うより存在しないと言われている希少鉱物。

 何処から、どのようにして入手しておるのだ?」


一番の疑問を問い質すとだ、女性鍛冶師がなんでもないように…

「そこら辺の土に含まれてるわよ」っと爆弾発言を。


「はぁ?そんな訳あるまい。

 土塊(つちくれ)は土塊であろうに?」


意味が分からず問い返すダリュートへ親方が説明を。

「これこれアマンダよ、それでは分からぬでな。

 実はの、ドゥーヤ遺跡からの発掘品研究にて魔術が復活するまでは、お主が言うように希少鉱物であったのじゃ。

 じゃがの練成術の1つである錬金術が解明されて様相が変わっての。


 この錬金術と言う術がトンでもない代物でのぅ。

 土塊や鉱石から目的の金属を抽出できると言う術じゃったのじゃよ。


 大量の土が必要となるのじゃが、土塊には多少なりとも希少金属が含まれておるものじゃ。

 それを錬金術にて抽出して使用しておる。


 でな、者よっては唯の土塊を金属へ変換できる者もおる。

 まぁ…かなりの素質と魔素との融和性を備えた者でないと無理であるがのぅ。

 百年前に1人だけ居ったそうじゃが、今の時代には居らぬ。

 まぁ、そこのアマンダレベルの錬金術師なれば珍しくはなくなっておるがの」


どうやら錬金術が関係しているらしいが…

さまか、そこら辺の土から抽出しているとは考えてもみなかったダリュートであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ