表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/25

ラウンドリム0013

ダリュートは服屋の店員がくれた地図を元にスーツの仕立て屋へと。

途中で見掛けた雑貨屋を冷やかしついでに少々買い物を。

(このような雑貨屋で簡易ではあるが魔導具が売られていようとはな。

 それにしても…簡単な造りと言ってはおったが、安過ぎぬか?)っと。


そう、無造作に置かれていた明かりを灯すだけの魔導具。

棒のような手に持つタイプの品で、棒の先から光が照射されるという代物だ。

子供でも数ヶ月ほど小遣いを貯めれば買える程度の値段とでも言えば良いか…

まさに雑貨感覚で販売されていたのである。


(まったく…俺の常識が崩れ去るような気分になるぞ。

 いったい、どうなってんのかねぇ?)

そう戸惑いつつも歩みを進め、紹介された店舗へと。


開け放たれた店舗には見本のスーツが路上から伺えるように置かれている。

なかなかの品だと思われるが、あくまでも見本っといった感じではある。


店を除いていると店員がカウンター内の椅子に座りつつ何やら作業をしているようだ。

そんな店内へとダリュートが分け入るが店員は作業に熱中しているようで気付かない。

そんな彼を放っておき、ダリュートは見付けた価格表の確認へと。


(ううむぅ…流石にスーツとやらは既製品とは違い高値となるようだな。

 買えぬ額ではないが…流石に手持ちが少なくなり過ぎる。

 これは見送りとした方がよかろう)


そう考えたダリュートは未だに気付かぬ店員を放置したまま店を後に。

そして店近くの靴屋へと足を向ける。


靴は現在履いている戦闘用の具足のみである。

嵩張る荷を増やすつもりは無いのだが、流石に購入した衣服に具足は合わないであろう。

そう考えると、靴を購入するのは悪いと思えない。


そう考え靴屋へと入ると様々な靴が飾れていた。

女性物も有るが男性物も多い。

まぁ、具足系の武具は置いてはいないようではあるが…


ダリュートが店内へと入ると店員が直ぐに出迎える。

「いりゃっしゃいませ…って、お武家さんかい、あんた?」っと、おばさまが。

「そう言う部類らしいが、此処ら辺の者ではない。

 なので此処ら辺の武家者とやらとは違うと考えてくれ。

 なにせ昨日、船でこの町へ着いたばかりでな、この辺りのことには不案内なのだよ」


そのように告げるダリュートに

「そうなのかい」っと。

そしてニコヤカに「でもさ、此処には武具はないよ?」っと困惑気味に。


「いやいや、先ほど服屋で庶民的な作業着を買ってな。

 それへ具足は流石に合わぬと思い靴を探しに来たのだ」


「御武家さんが庶民服をねぇ…

 まぁ、良御座んしょ。

 ってもねぇ…流石に大きな御武家さんの足に合う品となると…


 そうさねぇ、やはり鬼人族の若者が誂えるような品なら合うかも…

 うん、此処ら辺の品を合わせてみて貰いましょうかね」


そう告げた店員が棚から靴をチョイスしてダリュートへと。

「ほぅ、内側は柔らかい皮を張って履き心地を良くしあるのか…

 外側には丈夫な…ぬっ?複数枚の革を合わせておるのか?

 ううむぅ、少しキツくはあるが…履き心地は良いな」っと。


「それでキツいですか…

 そうなると、此処ら辺の靴ですかねぇ」

そう告げて木箱へ収めている靴を取り出しダリュートへと薦める。


「おお、これは…まるで誂えたかのようではないか!

 これは良い!

 うむ、この靴を頂きたい、幾らかね?」

気に入ったダリュートが値を聞き…溜息を。


(たこ)う御座いましたかねぇ?」っと店員が心配そうに。

「いや、逆だ。

 この町で物を買うと、値の安さに感嘆するやら呆れるやら…

 逆に慣れると、他所での買い物に不満を覚えそうで恐いくらいだな」っと。


「おや、そうなのですかい?

 あたしゃぁ、この町から出たこともないですからねぇ。

 まぁ、他所から来た人達には住み易い町と評判らしいですから」


「確かにな。

 だが俺は、ラウンドリム地方を旅して巡るつもりなのだよ。

 そうなると、他の町へ行った時、不満に思ってしまいそうでな」


「あははははっ、なら、そうなりなすったらさ、この町へ戻って来なすったら良いですよぉ」っと楽しそうに。

己が住まう、嫌、生まれ育った町を褒められ嬉しかったようである。


そんな上機嫌となった店員へ勘定を支払い靴を受け取るのだが…

「ぬっ?これは頼んだ品ではないが?」

戸惑ったダリュートが店員に確認を。


「それはサービス品ですよぉ。

 この町を気に入って頂いた御武家さんにねぇ。

 それに…良い男なのに鼻にも掛けず接して頂けたのは嬉しいですしねぇ」っと。


それを聞きダリュートがキョトンと。

「良い男…かね?」っと。


本人に自覚が無いと知り、呆れたように店員が告げる。

「旦那さんさぁ、自分の顔がイケてるって気付いて無いんですかい?

 それで自然に笑顔を振りまいてねぇ…

 天然ジゴロって言うか…困った、いや、罪作りな男さね」などと。


困惑しつつダリュートが

「何やら分からぬが、良い買い物をさせて貰った。

 また機会があれば寄らせて貰おう」

そう言いおいて外へと。


そんなダリュートを溜息を吐きつつ見送るおばちゃん店員であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ