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朝から月光

作者: うそつき

 毎日皆様おつかれさまです。

 何時に起きて、何時に出勤するのが普通なのか知りませんが、朝に起きていることでしょう。

 大学生の時の私には朝も昼もなく、授業があれば起きて、休みの時間になれば寝るというなんとも体たらくな生活を送っていました。今日のような夏の暑い時期は朝食をビールで流し込むこともしましたね。そのほうが気合が入ると言い聞かせて。どうか責めることなく、ここにバカがいると嘲け笑ってください。


 昔はこんなでしたが今は一応大人で社会人です。「だるいなあ」と思いつつも、一度口にしたら腐ってしまいそうなので我慢して毎朝出勤しているただの社会人であります。

 でもどうしても朝起きたくないときもあって、目が覚めても立ち上がりたくない。健康な大人のくせに、食パンを噛むだけでやっとな日もあります。「あー最悪!こんな生活まっぴらだ!」と大声で叫べたらどんなに楽だろう。


 全部投げ出して二度寝したいとき、私はベートーヴェンを流すようにしています。

 なんでしょうね、すごく元気が湧いてくるんです。

 友人にこのことを話すと「朝はショパンのほうがいいんじゃない?」なんてよく言われるのですが、どうもベートーヴェンがいいんですよ。たしかに朝にしては重い。中でも「月光」と「熱情」が好きなんですけれど、まあきついです。外は月出てないし、寝起きで熱情もなし。むしろ出勤の朝に悲愴。月光の第一楽章なんて重力が五割増しくらいに感じます。ショパンのほうがリラックスできそうですし、バラードやノクターンなどは本当にきれいでBGMにして紅茶でも飲めば優雅な朝を過ごせそう。しかしベートーヴェンを聴いていると、なんか見せつけられているような気分になってくるのです。


――お前はくつろいでいるといい。いつまでもくつろいで、そのまま普通の人間のまま死ぬといい。その間に私は一つでもよい音色を見つけ出すぞ、と。


 この偉大な音楽家に関する細かい歴史は私にとってどうでもよく、一曲でも聴けば伝わるものがあるのです。耳が聞こえなくなっていこうが関係ない。妥協せず、思うことを音にして表現すること。悩もうがすらすらと進もうが、恐ろしいほどのエネルギーを注ぎ続けること。何かと向き合って創作するということは、きっとそういうことなのだと私は思います。

 

 月光の第一楽章は決してアグレッシブな曲ではありません。ずっと低い音がゆったりと、それもほとんど同じようなメロディーを続けていきます。一音一音を強すぎず、弱すぎず。音という「点」ではなく、旋律という「線」になるように。あらゆることに神経を使っているような気がしています。

 

 昔から私は普通でいるのがとても嫌でした。いつも変わったことがほしかったし、変人と呼ばれることに大きな憧れがありました。研究者など何かに極端に没頭し、結果を残すような人になりたいと願ってきました。現実はそうなりませんでしたけどね。

 それでも心持ちだけはそうでありたい。努力という言葉を意識しないほどに夢中になり、形にして結果を残したい。

 同じようなことの繰り返しで、担当がもしかすると自分である必要もないかもしれない。業務内容によっては当然きつい日もあったり楽な日もあったり。そんな毎日に埋もれて忘れそうになったとき、ベートーヴェンを聴くと思い出せるので朝からよく聴いています。


 ジャンル問わずなんでも音楽は聴きますが、私は今も昔も音楽家ならベートーヴェンが一番いいと思っています。

 私も一番いいと言われる人になりたい。「one of them」ではなく「only one」として、自立した人間でありたい。


 もう七月も終わりですね。明日もがんばりましょう!

 

 

 

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