女神のお願い
おっさんが去ってから数時間どうやら俺は詰んでる事を理解、したくないけどこの状況下、本当に全くどうすればいい?状況に陥っている。
取り敢えずやる事もないので、横になって打開策を考えてると、ふと何かに監視されてる様な視線を感じる。
起き上がりキョロキョロとあたりを見渡しても壁と鉄格子しかない、気のせいか...と再度横になり考え込むとキーーンと耳鳴りがしだした。
なんだ?頭が割れそうなくらい耳鳴りが大きくなっていく
「うぅ...何だよコレ...頭が......『よっしゃー!!コレでやっと贖罪出来るぜ!解放まで10カウントだバカ野郎!ハハハハハ』
あれ?治った?」
ん?頭に女の子だか男の子だかよく分からない高い声がするんだけど...よっしゃ?贖罪?何だコレ
『おい陸!よくも俺を見つけやがってくれてありがとう、あ、今はルイスって読んだ方がいいか??ハハハハハまぁどっちでもいいか!よっしゃ!じゃあささっと善行して糞バ...おっと、女神に解放してもらうか!!』
俺いつのまにか脳みそ改造されてるのかな、うんやっぱりこの状況も可笑しいしな、きっとコレは夢だ!!よし、夢なら覚めるな、ハハこりゃ起きたらもう夜だなぁ〜練習遅刻しちまうよ、結局掃除もまともにやってねーしなぁ〜...るいちゃんにしばかれる...(ぶるっ)
『夢じゃねーよこの頭クリームパン野郎、お、そうそう、確か鍵に触れたら一回だけあの糞バ...女神に謁見出来るとか言ってたな、よっしゃ陸、目つぶっとけ、ちょっと意識だけ飛ばすぞ』
え?え?ちょっと待って?思考がまとまんない、後頭クリームパン野郎ってどうゆう事?
女神?な『早く瞑れ!!潰すぞ?コラ?』
「はいぃぃ!!!」
言う通りに目を瞑ると、ゆらゆらと心地よい光に身体が包まれていく感覚がする。
「もういいぞー」
さっきの頭の中の声がダイレクトに聞こえる、目を開けると目の前には銀髪セミロングの6歳くらいの...女の子?男の子?まぁどっちでもいいか...と、白のワンピースに金髪の形容出来ないくらいとても綺麗な女の人がニコニコと立っていた。
「こんにちは?でいいかしら、陸さん、初めまして、あなたの世界の1柱女神のメルフィーと申します。この度は私達神の事情に巻き込んでしまい誠に申し訳ありません、今から説明させて頂きたいのですが宜しいでしょうか?」
ペコリと頭を下げる女神?のメルフィーさん?様?、あれ?この人結構偉い方だよね?
「あ、あの頭をあげて下さい!僕は大丈夫ですから、確かに状況は説明して欲しいですが、別に怒ったりとかはないので」
偉い人とかに頭下げられると焦るよね?でも、これでやっと今の状況が分かるな、
「ふふ...優しいんですね、先ずはこの者を紹介させて頂きます。この者は堕天使のファル、陸さんが触れた(封鍵)の中で反省していた者です」
えぇ〜...このチビ助、堕天使だったの?封じられてたって...どんだけだよ...て反省?...ファルと呼ばれたチビの堕天使をジト目で見つめる。
「んだコラァ〜やんのかこの小豆野郎?バ、女神様の前だからって調子に『ファル...?』
こいてたのは俺だデス、はい、俺があの鍵の中にいたファルだデス」
あれ?女神様...るいちゃんと同類?今一瞬空気がピリッとしたよ?後このチビ助後で〆る、誰が小豆だ、お前のが小豆だろう。
「コホン...すいません話しを戻しますね、先ず陸さんのその身体はルイス・レチュードという青年のものです。」
メルフィーは続けて説明する。
「彼が事切れる寸前で精神体のみ回収しました...ただ精神体がない肉体は、長時間維持する事が出来ないので、偶然陸さんの触れた封鍵の力を使いあなたを1つのエネルギーに変えこのルイスに憑依させたのです。」
...完全に巻き込み事故じゃねーか!!はぁ...頭痛くなってきた...じゃなんだ?このルイスって奴の身体に俺が丸々入ってるって事??着ぐるみ着てるみたいに??何それキモチワルイ...
「えっと、大体の事情は分かったんですけど...このルイス君って女神様が気にかけるくらいの何かがあるんですか?」
メルフィーさんは少し悲しそうな面持ちでこちらを見て話しを続けた。
「ルイスの世界には隷属の儀という成人になった者は必ず通る儀式があるのです。その際身体のどこか一部に12種類の内1種類だけ隷属紋が浮かび上が紋章を授かると紋章の種類によって特殊な力を使用する事が可能になりその力で生活し、時には私達がモンスターと呼称する、ゲームのような怪物に対抗しているのです」
おぉファンタジー来たよ、まぁ転移されてる時点でファンタジーなんだけど...
「えっと、それって魔法やスキルといった類の物ですか?」
「はい、ルイスの世界では(紋章術)と呼ばれている様ですが...概ね陸さんの考えている物と一緒です。...ここからが本題なのですが...これを使ってご自身をご覧になって下さい」
メルフィーさんは何処から取り出したのか、自身と同じくらいの姿見を俺の前に置いた。
おぉ!!ルイス君イケメン!!ん?何だこの首の黒い3本線、刺青?真ん中になんか鍵穴みたいな模様がある。
「その首の紋章がルイスが授かった紋章です、ルイスの世界にはその黒い種類の紋章はありませんし首に紋章が浮かび上がる事も稀だそうです」
ほへぇ〜...え?じゃあ世界で1つだけのオリジナル?凄いじゃん!!...いやいや、なんかきな臭くなって来たな
メルフィーさんはこちらの表情を伺い何かを悟ったのか俺の手を取り涙目で訴えて来た
「陸さん、お願いです...私の代わりにあの世界で私の兄であるスカイルノートを探してルイスの紋章を変えるよう説得して下さい」