傍観者…
投稿遅くなり申し訳ありません。
実は、就職したのでかなり忙しかったり…
では、お楽しみください。
(えーと、現状がどうなっているか把握しきれねぇ…確か足元から…たぶん呪縛系の魔法陣が姫愛の下に発現したから姫愛を守るために突き飛ばした瞬間に俺が捕まった…。なるほど、把握したわここは術式の中だ。)
「ってことは、何かしらの精神支配もしくは肉体捕縛のどちらかが行使されるはずなんだが…何も起こってないよな?」
京紫の言う通り。ここは、呪縛系の魔法陣の中である、そして厄介なことがこの魔法陣の本質である。それは…”違和感しかないからだ”。呪縛系の魔法は言うなれば”支配”するためのもの、ならば当然として精神汚染もしくは肉体捕縛を行使してくる。そのどちらもない…それに、気配がない。
「そこで俺を見ているのは誰だ?」
と、口からでまかせを発する京紫。そうしないと、”ナニカ”に押しつぶされそうになる。
「…さすがだな。俺の気配遮断でも気づかれたか…。」
「何者だ?そして、何が目的だ?」
目の前の”ナニカ”が実体化していく…していき……京紫は驚異を目の当たりにした………そこに居たのは、
「よぉ、”俺”。魔王様からの贈り物を持ってきてやったぜ?つっても、ほんとうはあのお嬢さんに渡す予定だったんだが…」
目の前の事態を把握しきれない…普通なら変化系統の魔法を使っている。と判断できるが…今コイツなんて言った?魔王様?だと…贈り物?訳がわからない。
「まぁ、いいか。今のあの子ではこの力は掌握しきるどころか自我崩壊しちまうかもだし…?って、おーい?聞いてるか?」
ペラペラと喋ってくれる京紫の偽物…だが、京紫の変化に気づき声をかけてきた。魔王の手下と言えば街の一つや二つ一瞬で消滅させられる。だから、京紫は守ろうとした。湖畔の街を…ラーフの宿を…そして、名も知らなかったのに意思疎通を測り仲良くなった…”友達”を。
「湖畔の街を破壊はさせないぞ。」
「はぁ?湖畔の街?」
言うより早く京紫は纏う…部分武装を。せめて、腕の1本くらい持って逝こう…という気持ちで。だが、京紫の意に反して纏は胡散していく…
「な、なぜだッ!?」
「ばーか、ここが何処か把握してる?それでも、一瞬でも武装出来たのは褒めてやるよ?だから、大人しく話を聞け。あと、街を壊す気は無い。」
「信用できるとッ!!」
「今は思え。うちの魔王さんは気まぐれでな?お前らに力を与えるつもりだ。…来るべき聖戦のために」
聖戦という単語に反応してしまう。なぜなら、文献でしか読んだことがないが…伝承では文明の終着点。全てを無に帰す事をも辞さない戦い…そんなものが起こったら生きていられる確証はない。
「聖戦だと?文明が終わるのか?」
「そのための力だ。受け取るか?受け取らないか?」
…考え込む京紫。それもそうだ、最近自分が急激に強くなったとはいえまだまだ未熟。そんなやつに力を貸そうと言うのが魔王だ、裏があるを通り越し裏しかない。表なんて無いのだ、ハッキリしてしまえば魔王の呪法を受けると人間でいられなくなる。
「俺に死ねと?」
「要らないならいいぜ?この力は俺でも手に余るだが、もうすぐ来るであろう禍の素をくだすなら…受け取っておいた方がいい。」
もうすぐ何かが起こると言われた…これは、未来予知の力を持ったものが予言していることになる。
「わかった、甘んじて受け入れよう。」
「OK!ほれ、やるよ。」
なにかが流れ込んできた…だが、きつくはない。むしろ心地いいくらいだった。京紫が苦しむことを予想していた紛い物からしてみれば称賛値した。
「ほへー?凄いな、馴染みやがった。まぁ、魔王さまのオモチャになるようなやつだからそのぐらい当然か…」
「…」
「説明しておいてやる。今の力は”毒”だ。使い方を誤れば自分を壊す…更に言うと戻れなくなるぞ?その力を使った者は皆人間をやめてバケモノになってしまった。お前は違うことを祈るぜ?」
「…毒……」
「んじゃ、達者でな?またすぐ会える気がするぜ。」
呪縛系の魔法が…闇に染まっていた空間が溶けだしていく…崩壊していく…そして、そこに居た者は居らず京紫1人になった。ボロボロと崩行く世界を見ながら京紫は思った。
(俺の中に寝るむドラゴンなら聖戦の事を知ってるのでは?)
と…。
そんなことを思っていたのだが…目の前に現れた新たな光景に度肝を抜かれることとなる…そこに居たはずのティナが居らず姫愛だけが立っていたのだ…
「どういう事だよ…」
「…」
読んでくださりありがとうございます。
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