無意識
俺の名前は黒崎直哉。いろんな事を考えながらも教室に入って行った。去年と同じクラスの人もいるがあまり話したことが無い。今日のHRでは自己紹介をしたが誰も興味なさそうに見えた。
放課後、帰ろうとして廊下にでると今朝出会った少女が重そうな物を持っていた。その少女は俺と目があって声をかけてきた。
「あ、今朝の」俺はとっさのことで緊張した。
「あ...」
「その荷物持とうか?」
「うん。ありがとう」その少女はとても嬉しそうだった。
「そういえば名前まだ聞いてなかったよね」
俺は女子に名前を聞かれたのが初めてだったからテンパってしまった。
「お、俺は5組の黒崎直哉」
「私は2組の榎本千春よろしくね」
「よろしく」
「じゃあこれを2組まで持って行くの手
伝って」
「わかった」
2組まで持って来て俺は帰ろうとした。
「ありがとう」
「うん。じゃあ俺はこれで」
「あ、ちょっと待って直哉君。一緒に帰らない?」
「え!?」
(女子と二人きりで帰るのって、でも断ったらかわいそうだし)
「う、うん。いいよ」
「ありがとう。じゃあちょっと待ってて、すぐ支度するから」
「お待たせ。じゃあ行こうか」
「うん」
「ねぇ直哉君って好きな子とかいるの?」
「え!?何をいきなり」
「べ、別に今はいないけど...」
「ねぇ榎本さんって」
「な、直哉君。私のこと下の名前で読んで
もらってもだめでしょうか?」
「え!?い、いやまだ会ったばっかだし、
それはそれでちょっと...」
「お願い」
(じゃ、じゃあ)
「千春ってさ部活とか入ってないの?」
(うわー結構恥ずかしい)
「うん。入ってないよ。バイトとかしてる
し」
「直哉君は?俺もバイトとかあるから部活
は入ってないんだ」
「ねぇ直哉君LINE交換しよ」
「うん。いいよ。」
「はい。送ったよ」
「ありがとう」
「じゃあ俺家こっちだからじゃあね」
「うん。じゃあまた明日だね」
「また明日」
(なんだろうこのときの千春がすごく可愛く見えた)
(心臓がすごくばくばくしてる。これは一体なんだろう)
俺はおそらくこのときから千春に恋してしまったのだろう。