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誤り  作者: ビタミン
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誤り②

誤り②


 暗い寝室で鳥の鳴き声でゆっくりと起き上がる。昨日は胸の高鳴りで眠れなかった。よく考えてみると不安など一つもなかった。今日の夕方にこっそりと町へ抜け出すが今まで夕方以降にエイミーとアレン以外と会ったことはない。いつも夜になり町が見えなくなるといつも自室で眠気がくるまで時間をつぶすような夜を過ごしてきたからだ。つまり警備員に見つかる以外でばれることはない。

 警備も問題ない。十六年間過ごしてきたこの屋敷の警備ルート位把握してるし夜になれば広い屋敷の至るところにある門やドアの鍵を閉められるが、裏道は知り尽くし進入ルートなど無限にある。

 微かに日の光が差し込む。今日はびっくりさせようかなと思いドアを思いっきり引き、甲高い声でドアの向こうに叫ぶ。

 「おはようセバス」

 ドアの向こうには驚く侍女とまるで幼い子に向けるような優しい笑みで待ち構えるセバスがいた。

笑みを崩さずゆくっりと話し出す。おはようございますアリスお嬢様。最近なにかよい事がありましたか。

 私は、はにかみながら別にと明るい口調で返しながら、まだ驚きの余韻が残る侍女達に言い放つ早く衣装を着替えましょう。そういって私は自らの足で衣裳部屋へ向かい我に返った侍女たちがお持ち下さいと言い後を追う。その姿を懐かしむようにセバスは見送っていた。



 広間に着くテーブルを見渡してみると誰もいない。私が一番乗りのようだ。いつもマイクの煙さや父の目線があり気にすることがなかったがよく見ると良い部屋だ。

 部屋の正面にある天使の絵は神々しさを感じるし、いつもは監視されてるような祖先たちの肖像画もよく見ると大好きだったおじいちゃんもいる。大きな机に掛けてある真っ白なしわ一つないテーブルクロスも礼儀正しく食べろと強制するのではなく、まるでめちゃくちゃにしてくださいと主張していように見える。今日は良い日だとそう思っていると、いつも不機嫌そうな顔の父と作り笑いのようなヘラヘラした顔のマイクが入ってきた。

 二人は席に着くと「アリス今日は珍しいね君が一番乗りなんて。」

あいかわらず鼻につくセリフだ。だけで今日は気分が良い。作り笑いで珍しい日もあるでしょと軽いジョークを返してあげた。

 

 

教育の時間中、ふと昨日交わしたエイミーとの約束を思い出す。

 明日は十八時にはお祭りに行きたいからいつものが終わったら、すぐにあなたの部屋に集合ね。時間の余裕はあまりないよ。そんな服装で行くわけにも行かないから私の貸してあげる。それとお金もないでしょ。今回は私がおごるからいつか埋め合わせよろしくね。それとここからは大事な約束ね。

 「自身の身分を明かさないこと」 

 当然よね。お金や爵位を持ってるだけで目の色変える人もいるし、それに何よりも身分がばれて抜け出たのがばれたらまずいしね。

 次の言葉に移る前に手をグーと伸ばし息を吐き出すとし真剣な顔になり。 

次に「抜け出すのはこれっきりね」

 あんまりこういうことは言いたくないけど、長年あなた達、一族に使えてきた侍女として言わせて貰うと自分の立場を分かって。アリスにとっては退屈な日常かもしれないけど、町の人達にとっては憧れの生活なの。あなたは恵まれた立場であなたが考えるべきことは普通の女の子になる方法じゃなくてこれからマイクさんと協力してどうやって地域を活性化させるかなの。庶民が苦しくなると支配階級にであるあなた達の生活もく苦しくなるよ。勉強してるから分かるでしょ。

 するとまた手をグーと伸ばし息を吐き出すと

 はい。じゃあ湿っぽい話はお終い。明日だけは普通の女子になろうね。

 時は過ぎ十七時。勉強が終わった。弓に弾じかれた弓のごとく自室に戻る。するとエイミーが待ち構えていた。お疲れじゃ早く準備しましょ。町で見慣れた服に着替え、あわてて部屋を出ようとすると人にぶつかり仰け反ってしまった。

 顔を見上げるとアレンが立っていた。青い瞳に怒りの表情を覗かせ。

 「アリスそしてエイミーそんな格好で急いでどこに向かうつもりかい」と冷たい声で言い放った。

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