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Tilt world(仮)  作者: tukasahirasawa
1/1

Hello tilt world

工事中。



しばしお待ちを。






短いお話。


「ゆめをみていたようだ」




それはうだるような暑さの、ある夏の朝のこと。寝ぼけ眼をこすりながら、カーテンの隙間から差し込む陽をぼんやりと見つめていました。汗でパジャマの感触が悪く、喉もからから。とても気分の良い目覚めとは言えず、移ろう季節を呪いたくなります。


しばらくぼーっとしていたのですが、不意に居心地の悪い感覚が身体を走りました。何か様子がおかしいような、そうでもないような、何だか不協和音になる手前のフレーズを聴かされているような……

寝ている間に奇っ怪な別世界に入り込んでしまったのかのかもしれません。


だけれども。


「……ぐぅ」

ばたり。

なぎがやることは変わりなく、人間の三大欲求の一つを欲望のまま貪るだけ。

「別世界線上の話なぞ知ったことか、なのです……ぐーすか……」

誰かに呟くようにして、なぎは微睡みの快楽をまた享受し始めたのでした。


それにしても、暑いなぁ……






主人公宅の二階、先ほどのシーンとは別の部屋、リビング。



「みずかおねえさん! おはようございますなのっ」

赤髪のツインテールを楽しげに揺らす少女が、元気に階段を駆け上がってきた。

「おはようございます、なつひさん」

メイド服に身を包んだ、少しウェーブのかかった栗色のロングヘアーと眼鏡が特徴的な女性が、優しい笑顔を見せる。

「なぎちゃんとみくちゃんはどうしているの? 」

リビングに、ほど良く焼けたトーストと淹れたてコーヒーの匂いが漂っている。

「なぎさんとみくさんは……まだ、お目覚めになっていませんね」

赤髪の少女は嬉々として答えた。

「なら、アタシが起こしに行ってくるのっ」

少女は元気にリビングを飛び出して行った。

眼鏡のメイドはそれを微笑ましく思いながら、自分のしていた作業に戻った。

「……あ、ホットじゃ皆さん飲めませんね」




主人公の部屋



「ぐーすか……ぐーすか……」

……。




どっどっどっどっどっどっどっどっ。




……何か騒々しい音が聞こえる。こんな、真夏の朝から工事だなんて、従事者の方々は大変ですね。


どっどっどっどっどっどっどっどっどっどっ。



……近づいている気がします。



どつどつどつどつどつどつどつどつどつどつどつ。



……まさか、なぎの惰眠を阻止しようなどという不届きな輩が。



なぎのお部屋のドアが勢いよく開けられました。


あぁ……この感じは。




「なぎちゃんっ、おっはようなの! 」


なぎの悪友……です。


……寝た振りをして、やり過ごせないでしょうか。


「……ぐーすか」



「もう朝なのっ、元気に起きるのっ」


どうして朝からそこまで元気でいられるのでしょう。


ベットに近づき、そのままなぎの身体を揺さぶるようにして声をかけ始めました。


「起きるのー! みずかさんが朝ごはんをもう用意しているのー! 冷める前に食べた方が良いと思うのー! 」


睡眠を前にして、なぎはどんなてこでも動きませんよ……!


「やーなのです……何があったとて、なぎはまだ起きないのです……」


不意に、なぎを揺さぶる手と大きな声が止まりました。起こすことを諦めたのでしょうか。


……!? なつひちゃんが、なぎのベットに入り込み……そして、となりで横になり始めたではありませんか!


この子ったら……!


「……そんなに起きるのが嫌なら、起きるまで、ずっとなぎちゃんの身体に色々なことしちゃうの」


この赤髪は、なぎの身体をぺたぺたと触り始めました。変なとこさわるなー!


「ひゃっ……ひゃうん! 」


そんなところを揉むなー! さわるなー! やめろー!


「なぎちゃんのちっちゃい悲鳴……かわいい」


ぺろっ。


「!? きゃあっ! 」


こやつ、今なぎの首すじを舐めましたね!? 前から言動がセクハラ地味ていると思っていましたがここまでとは……!


「……じゃあ、ちゅー行きまーす」



ばさりっ。


なぎは布団から這い出て、起き上がりました。



「なぎちゃん、おっはよー! 」

「おはようございます、なのです……」

ぜえぜえ。

起きてすぐに感じたあの奇妙な感覚というのは、このことを予知していたということだったのでしょうか。


「汗のにおいも味もするの、いっかいシャワーを浴びた方が良いの」

「……味という文言に少々引っかかるのですが……確かにそうなのです、朝ごはん食べたらシャワー浴びてくるのです」



清々しい朝ですね……まったく。




……おっぱい触られた、首すじなめられた、おなかまさぐられた、パンツの中に手を入れられそうになった。

あの変態、変態、変態、変態、変態、変態、変態、変態、変態、変態、変態……








「……そういえば、みくちゃんはどうしたのです? 」

「もう起こしてきたのっ」


部屋を出たら、廊下で我が妹が横たわっていました。


「おねえちゃん……なつひちゃんが、なつひちゃんがぁ……! 」

「……皆まで言うな、なのです」

たぶん、同じようなことをされたんでしょうね。

なぎと妹は行動様式が似ていますから。


「朝ごはん食べに行くのです」

「分かりましたー……おねえちゃん」

ちなみに、この娘も私と同じ黒のロングヘアーなのですが、なぎとは違って、なつひちゃんのようにツインテールに髪を結んでいるんですよね。


……誰に対して言っているのでしょうか。








常闇とも思える時間を夢で過ごし、熱気とともにやって来た朝。なにか突拍子もないことが多々起こりはするけれど、普段と変わらない日常。そんな、毎日がずっと続く。


ああ、なんと素晴らしき快楽。


絶えず流転する日々は全て夢の中での事象なのかもしれない。だけどそれはほんの些末な話。目の前に広がる景色がどうであろうと、それはなぎの見ている日常に変わりないのだから。






予告編おわり。

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