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さよならは、出会いへのはじまり。

作者: 東京 澪音
掲載日:2016/06/02

会える訳なんかないのに・・・。


気が付いたら、僕はそこにいた。


神奈川県小田原市。

僕はこの街の駅前に一人佇んでいた。


なぜこの街に来たのか。

二ヵ月ほど前に、この場所でひとつの恋が終ったのだが、僕はまだそれを受け入れないでいたからだ。


久し振りにきたこの街は、どこか懐かしいようなそんな風が吹いていた。


一人の方が全然気が楽!

ちょっとお互いがすれ違うと、そんな事を彼女に言ってしまう事もあったが、あんなのは嘘っパチだ。

そんな強がりが言えていたのは、彼女がいつも側に居てくれたからなんだと、今頃になって気が付く。


どうしてだろう?


大切なものは、いつも失ってから気が付く。

だからって、決して大切にしていなかったわけじゃないんだ。


誰に言い訳するでもなく、心の中で自分で自分に問いかけていた。


夕暮れの国道には長く続く渋滞の列。

歩道橋から見渡した街は赤く染まっていた。


255号線から駅に続く道には、帰り道を歩く人達と、約束の誰かに会う為に急ぐ人達。


約束がないのはきっと僕だけなんじゃないだろうか?

そんな錯覚に陥るほど、駅は人で溢れていた。


そんな人ごみの中に、彼女に似た後ろ姿を見かけると、僕は自分でも気が付かないうちに、似てる誰かを目で追ってしまっていた。


彼女のすべてを今だ思い出にできない自分がいる。

ため息一つこぼしながら、歩道橋を後にする。


何となく春の匂いがするような道は、小田原城址公園に続いていた。

多分きっとここが春になると桜が綺麗だからなんだと思う。


僕は城址公園を通り過ぎ、74号線から135号線方面へ歩き、新早川橋を南に下ると、早川IC近くの海岸にたどり着いた。


ここは遮るものがなにもないため、とても心地のよい風が吹く。


誰もいない夜の海。


僕は二人で過ごした時を思い返していた。

楽しかった事・嬉しかった事・喧嘩した事・喜びや悲しみ。


それらを全て見えないビニール袋に詰めると海に投げ捨てた。


誰もいない場所だから。


ボロボロに泣いた。


いつまでもくよくよしてちゃいけない。


少しだけ前を向けるようになった気がする。

傷つく分だけ強くなれたのかな?


そんな事を思いながら、海伝いを歩き根府川駅から電車に乗った。


人も疎らな電車内から見えた海岸。僕はさっきまであそこにいて、全てを捨ててきた。

終わった恋にしがみつくんではなくて、いつか思い出した時、素敵な恋だったと思えるようにしたい。


さよならは出会いへの始まり。


だから僕は新しい恋を探そうと思う。






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― 新着の感想 ―
[良い点]  本当に好きだと、面影まで追うようになってしまうのでしょうか? [一言]  その可能性がある女性を一人だけ知っています。
2016/06/10 19:41 退会済み
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