表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第3章

(なーにがBLの主人公だよ。オレと上野にしてみたら、全国に醜態晒されてるようなもんだ。いい加減に…)


「いい加減にしてくれよ?」


東屋から出ようとした時、背後から声がした。つーかエスパーかよ、おまえはっ!


「市川くん、心の声が洩れてるよん、背中から〜。でも、本当にいいのかなぁ?消しちゃったりしてさ」


と、オレの怒りなどお構いなしの白鳥は、持っていたスマホの画面をオレの顔に突き付けてきた。


「な、何が?てか、何なんだよ一体…」


遠慮を知らないお嬢様の勢いに押されて、思わず画面を覗き込んでしまったのがあとの祭り。


オレの正論など、一瞬にして吹き飛んだ。


「えっと何なに……最優秀ノミネート作品1位、真昼の薔薇、ブラックスワンさん……しょ、賞金100万円⁈」


驚異的な数字に、ゴクリと喉が震える。


(ぶ、ブラックスワンさんって…まさか)


恐る恐る顔を上げると、おそらくブラックスワンさんであろう人物が、フフンと形の良い鼻を鳴らして得意げに立っていた。


ブラックスワン。何も知らなければ、一見単純でダサいとさえ感じていたであろうそのペンネーム…だが、全てを意図して付けたってなら、やはり策士か。おそろしや。





「このブラックスワンって、し、白鳥なの?」


「そうよ?でもまだノミネートだから決定じゃないの。作品もまだ未完成だし。でも、受賞しちゃったら消せないから、今の内に消去した方がいいのよね?上野くんにも悪いもん。ねぇ、市川くん」


「うぐっ……」


やっぱりコイツはブラックスワンだ。上野に悪い(もちろんオレにも)なんて、絶対に思っちゃいない。そしてオレは今脅されている、確実に。


(けど、安心しろ上野…そんな卑劣な脅しに、オレは絶対に屈しないぜ!)


そうだ、男の友情とは、女のそれとは違うんだ。


(思い知れ白鳥!そして泣け!)


しかし、現実とは世知辛い。


「50万」


金の威力に、男の友情など砂塵のようなものだった。そしてオレは泣いた。



「…は?」


「市川くん、来年車の免許取るのにバイトしてるんでしょ?それだけあれば免許取ってもお釣りくるわよ?」


「それって、その小説が受賞したら半分くれるって…」


「そうゆうこと。…ダメぇ?」


「だっ…だからっ…」


「BLの主人公って言っても、小説なんだから顔が出る訳じゃないんだし。名前も変えてあるんだしぃ。それでもダメなの?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ