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私に勇気を  作者: 辰野
3/3

3.私の気持ち

 「そんなに大学受験厳しそうなのか、すごい長いあいだお願いしてたみたいだけど」

 「バ、バカにしないでよね。一翔みたいに頭良くはないけどちゃんと頑張ってるんだから」


 ここであんたに告白する勇気をもらってたなんて答えられたら苦労しないんだけどなぁ。

 もう、私の意気地なし……


 「そっか、なんかあったら俺に言えよ。できることならなんでもしてやるから」

 「そ、そう。なんでも、なんでもねーー」


 ここで私が付き合ってください!!なんて言ったらどんな反応するのかな。

 喜んでくれるのかな……OKって言ってくれるのかな……それとも困った顔されるのかな………………

 あぁぁぁぁぁ、なんだか告白するのが怖くなってきた。


 告白するのは別に今日じゃなくても…………ダメダメダメ。

 それでこれまで先延ばしにしてきちゃったんじゃない。

 告白しようと思ったの体育祭の日だよ。それから4ヶ月も先延ばしにしてきたんだよ。


 …………それに、一翔はあと2ヶ月もしたら遠いところに行っちゃうんだよ。


 これ以上先延ばしにしたらもう日付がなくなっちゃう。


 「おい、急に立ち止まってどうしたんだ。腹でも壊したとか」


 言わなくちゃ、この気持ち。伝えられるときに伝えなくちゃ。


 「も、もしもだよ。もし私が…………その……一翔のことがす、好きだって言ったら付き合ってくれる?」


 ……………………言ったァァァァ。

 つ、ついに長年のこの気持ちを言ってしまったぁぁぁぁぁ。


 怖くて瞑っていた目を恐る恐る開けてみるとそこには涙を浮かべている一翔の顔があった。


 そうだよね、私なんかが告白しても迷惑だよね…………

 一翔は優しいから他の子達にも人気あるもん。

 ずっと一緒だった幼馴染に告白されたら誰だって困るよね…………


 「ご、ごめん。今のなし。冗談……だから」

 「…………冗談にしてはすごい泣いてんな」

 「バカ、違うもん泣いてないもん。これは緊張して出てきた汗だもん」


 なんで私泣いてるんだろう。この気持ちは一翔に届くことなんて最初からないのに。

 心のどこかでもしかしたらこの想いが届くんじゃないかって期待してたってこと?


 バッカじゃないの、私なんかが一翔の隣に居ていい訳ないじゃない。

 私よりもっと可愛い子の方が幸せに決まってるのに、なんで一翔の幸せを優先してあげられなかったかなあ。


 「はぁ、もうお前ってやつは。そのなにもかもマイナスに考える癖やめろ」

 「びゃ、びゃってかびゅとが……(だ、だって一翔が)」

 「あぁもうめんどくさい。俺が泣いてたのは……その…………う、嬉しかったからだっての」

 「…………う゛ぇ?」

 「俺も恵美のことが好きだ。ずっと前から。

 俺が帰ってくるまで待っててくれるか」


 一翔が……私のこと、好き?

 さっきの涙は嬉しくて泣いてくれてたの?

 そ、それってりょ、りょりょ両思い!?


 「グス、ずっと待ってるから。あんたが戻ってくるまで私、ずっと待ってるから」

 「待っててくれて俺も嬉しい。けど、辛くなったら待っていいから」

 「それでも私待ってるから。何があっても、絶対にここで待ち続けるから」

 「…………そっか、それなら俺も安心だ。好きだよ、恵美」

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