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私に勇気を  作者: 辰野
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2.私のお願い

 一翔と言い争いをしながら神社に行ってみると人で溢れていた。

 どこを見ても人、人、人。都会の満員電車みたいだ。


 「うわ、マジかよ。元日は昨日だったから少しはすいてると思ってたんだけどな。出直さね?」

 「なに言ってんの。せっかくここまで来たんだからお参りしていかなくちゃ。一翔の悪い癖だよ」

 「だってお賽銭入れるだけでも何時間も待たなくちゃいけないんだぜ。すいてるときのほうがいいだろ」

 「だーかーらー、さっきも言ったけど一翔のその考え方がいけないんだって。こういうのは並ぶことに意味があるんだよ」


 またどうでもいいことで言い争いになる。

 昔はこんなことですぐに喧嘩になっていたが今では冗談としてお互いこの喧嘩を楽しんでいる。

 私たちなりの言葉のキャッチボールと言ったところだろうか。


 「分かってないなあ一翔は。ラーメンと言ったら醤油に決まってるでしょ」

 「分かってないのはお前のほうだろ。醤油だぁ?そんな外道なものと一緒にするんじゃねぇよ、ラーメンと言ったら豚骨だろ」


 いつのまにか話がそれてなんの話をしていたのか分からなくなるのもいつものこと。

 それだから一翔と一緒にいると時間が早く感じてしまうのかも。

 いつのまにか私たちがお参りをする番になっていた。

 何時間、二人で言い争っていたのだろう。


 「いいか、2礼2拍手1礼だぞ。ここテスト出るからな」

 「そんなん子供じゃないんだから知っちょるわ!そもそもなんの教科で出るのよ」


 一翔に余計な茶々を入れられて噛み付いたが心の中ではナイスフォローと感謝していた。

 なんだかんだいって神社にお参りなんてそう頻繁にあるものではない。

 お参りするときの作法なんて記憶の片隅にも残っている訳がなかった。


 一翔は分かってやってるのか知らないがこんな風に私を助けてくれることがある。

 道を歩くときもさりげなく車道側を歩いてくれるし、急に雨降ってきて傘を借してくれたり。

 一本しかない傘を借してくれたから次の日に一翔は風邪で寝込んじゃったおバカさんだけどね。


 そんな自分のことをお構いなしに私を助ける一翔が大好き。


 だからお願い神様。一翔に告白する勇気をください。

 返事がもしノーでもいいから、告白する勇気だけもらえればそれでいいから。


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