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私に勇気を  作者: 辰野
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1.ガンバレ私、ファイトだ私

 今日は幼なじみでお隣さんの一翔(かずと)と一緒に初詣に行くことになっている。

 着慣れない着物をお母さんに手伝ってもらいながらなんとか着て、あとは一翔を呼びに行くだけ。

 いつものように気軽に行けばいいのに、なんだか今日は行きづらい。

 理由は自分でも分かってる、今からしようとしてることに緊張してるんだ。


 今日、私は一翔に告白する


 出会いは私がまだ小学3年生だった頃、この町に引っ越したのがきっかけだった。

 引っ込み思案な私をクラスに馴染ませてくれたのが一翔だった。


 お隣さんだった分、友達になってからは頻繁に遊んでお泊まり会なんかもした。

 そんなことをしているうちにいつのまにか私の中では一翔の区分が友達から初恋の人に変わっていた。

 

 それから私が一翔を意識し始めてから8年。

 この気持ちは私の心の中でずっと眠っているだけで本人に伝えたことはない。

 いつか伝えなきゃと思いながらも全て失敗に終わってしまっていた。


 どうせ伝えられないならこの気持ちはずっと心の中で眠らせておいた方がいいと思っていた。

 今の関係を壊したくない。

 友達のままでもいいから一翔のそばにいたい。


 そう思っていたのにあと3ヶ月もしたらこの気持ちを伝えることもできなくなる。

 一翔がここから遠い大学に合格し一人暮らしをすることになったのだ。


 もう一翔の隣にいることはできない。

 友達としても一翔の隣に居ることはできない。


 そう思ったらもういてもたってもいられなくなった。

 長年、私の奥底にしまい続けていたこの思いを爆発させようと思う。


 「すいませーん、恵美(めぐみ)いません?まだこっちに来てないんですけど」

 「恵美?まだ部屋にいるのかしら。ちょっと恵美、一翔君来てるわよー」


 そんな大きな声で叫ばなくても聞こえてる。

 「ガンバレ私!ファイトだ私!」

 この機会を逃すわけにはいかない。


 「お、どうしたんだその格好。珍しいな」

 「う、うるさい。それよりも今日は冷えるねー。私、手がかじかんできちゃったなー……なんて」

 「…………俺のカイロはやらぬぞ」


 一翔はこういう人間である。

 絵に描いたような鈍感男、鈍感レベル100のエキスパート。

 これまでも幾度となくアピールしてきたけど全て気づかず失敗におわる。

 

 今だって、ホントは手を繋ぎたかったのに全然気づいてくれないし……

 もう一翔のバカ!!

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