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第七話 彗星の魔術師
今回は大分短いです。
とうとう、こういう時期が来てしまったのね。
魔力により作り出した半透明の画面を眺めて、わたしは溜め息をついた。
モニターの役割をするそこには夢世界やその周辺の異世界、
また現実世界の一部が映っていた。
コマ分けされた画面の中の一つ一つに見えるいくつもの場所の映像は
一見バラバラだが、どの景色にも共通点がある。
それは、いずれの地点も空間が陽炎のように歪んでいたり、
別の空間などに繋がる穴が開いた箇所があること。
理由は、半分は分かるけれど、もう半分はまだ未確定。
全智を目指しているわたしとしてはあるまじきことだわ。
沢山の景色の中に、見慣れた花園を二人の少女が何か
――あるいは誰かを探しているような様子でさ迷い歩いているのを一瞥し、
見ていた画面を星屑のような光を残して消す。
そして、わたしは移動魔法の術式を組み立て始めた。