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第二十話 心を灰色に染めるモノの話

「ぜー、はー……撒いたか」


 歩くの大嫌い系女子にはきつい距離だった……にしても、あれは何なんだ?

 灰色の砂みたいな粒子と透明な光の欠片が、ないまぜになって

 人型のようで人型でない曖昧なシルエットを成していた。

 そしてそいつは霧が風に流れていくかの如く、私達を追い始めたのだ。


 慌てて逃げ出した私達は、高く伸びた花々の陰に何とか身を隠すことが出来た。

 大変だったよ、一面、地平線(に見えたがここは異空間なので

 どこまで続いているか分からない)まで紫の花ばっかりで、

 あるのはさっきの森と滅茶苦茶遠くに小屋っぽいのがあるだけで、

 隠れ場所がなかなか見つからなかったし。


 少し落ち着いたところで、まああくまで推測だけど、

 あの白い空間から持ってきたガラスのような欠片が原因かも、と明日美とレイに

 私は話した。光ってた部分の色が似てたし。

 ちなみにせいらは疲れてすやすやと寝ている。お昼寝の時間か……


 あれは……自分でも何で持ってきちゃったのか分かんないし、

 失敗したなと思っている。それは私が悪い。

 にしても、にしてもだ……皆あのガラスをナイフにしようとしたり食料に

 しようとしやがって……警戒しなさすぎじゃあぁっ!!


「おいココロあんたっ、なんか言いたげにあたしたちを見てるけど、

 ココロが言ったようにあの変な欠片みたいなのが元凶ならココロのせいじゃん!」


「ああ、うん、それは悪かっ……いやだけどナイフにして遊んでたのはどうなの!?」


 武器にしようと思ったんだ、と反論する明日美。

 脳内に突きの美しいフォームが蘇る。

 

「二人とも大丈夫だよー、実はね、あの化け物のことはしばらく前から探しててさ。

 やっと見つかってよかった~。」


 「「探してた……?」」


 レイがほわほわとした微笑みを浮かべつつ、言い争う私と明日美を制する。

 首をかしげ、言い争う体制のまま固まる私達に、

 夢人は少し真剣な表情で話し始める。


「あの化け物はね、人間の負の感情を察知して寄ってくるんだ。

 人の負の感情を増幅し、精神を狂わせてしまう。夢宮さんが白い空間で見たのと

 同じやつだよ。そして、その正体は生き物じゃない。

 夢世界を構成する粒子が突然変異した結果生まれたものさ。」



 


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