フェンリルを蹴散らしに………。
イグー視点でつ。難しいでつ。誤字脱字は…以下略
俺が走り出して直ぐにガキ…シャワが気絶した。エルフはどれだけ身体が弱い生き物なのか…。
それにしても、シャワは面白い奴だ。あんなに笑わされたのは、初めてだ。後、あのしゃべり方も楽しい…。本人は不本意そうな顔をしていたな。直ぐに気にならなくなった様だったが……。ハハッ…。
その時、近くで遠吠えが聞こえた。チッ…あれはフェンリルの遠吠えだな。
この辺りにはフェンリルは、生息していない筈だが…。
いや、他大陸のエルフが居るくらいだ。フェンリルも生息範囲を拡げて来ていても、不思議ではない…か?
面倒だが、俺の進行方向に居るから…蹴散らして来るか。フェンリルに向かおうとしてふと、気づく……。
シャワは……フェンリルとの戦いには、巻き込めんな。少し速く動いただけで気絶する位の虚弱体質だ。ガキだからか?うぬ…分からん。郷に帰ったら、長老のじいさんに聞いてみるか。
何処か安全な場所を探していると、良い場所を見つけた。
断崖絶壁の山の山頂付近に、巣を作るジャンピングピッグの巣が目に飛び込んで来る。
ジャンピングピッグは臆病で、肉食では無いから少しの間ならばシャワを預けて置いても、問題は無いだろう。
片腕で、山頂を目指す。シャワ…軽いな。郷に着いたら飯をいっぱい食わせてやる…と心に誓った。
ジャンピングピッグは巣の中で、俺に対して一生懸命威嚇していた。俺はそれを無視して上着を脱いだ。
脱いだ上着の上にシャワを寝かせる。頭を少し撫でて、フェンリルを蹴散らしに向かう。
フェンリルは一匹のみだった。通常フェンリルは群れで行動する。
だから、先ほどの遠吠え…か?仲間の群れからはぐれたのだろうか?
「おい、そこのフェンリル…そのまま其処に居座るならば、蹴散らすが、何処かに行くのならば、追わん…好きにしろ」
フェンリルクラスの魔獣になると、こちらの言葉を理解し、また喋る。
「えっ?良いの?じゃあね~。バイバ~イ」
勢いよく、フェンリルは掛け去って行く。
軽いな。言動、声の高さからしてまだ子供なのだろうか?
少し考えていると、去ったはずのフェンリルが再度近寄って来る。
「ねぇねぇ、お兄さん…僕の群れが何処に居るか…知らない~?」
やはり迷子かっ!?俺は探索能力を全開にして、この辺りの気配を探してやる。
「…………ここから北の方に…複数のお前と似た気配がある。多分其処だろ?」
なんと世話の妬ける…シャワみたいな奴だな。
「ええっ?お兄さん良くわかるねぇ~凄い。どうも有り難うねぇ。またね~バイバ~イ」
今度こそ俺の前から完全に走り去った。
「またね~」とは?もう会う気は一切無いが……。
まあ、いいか。どうでも。さて、シャワの元に戻るか…。
目覚めて驚いているだろうか?
俺は急いでジャンピングピッグの巣へ戻ったのだか、そこで幸せそうにヨダレを垂らして眠るシャワを見付けて……何故か胸が温かくなった。
だが、コイツ……さっきから寝過ぎじゃないか?
後…何故ジャンピングピッグの上で寝ているのか?まあ、起こして聞けば良いか。
俺は寝ているシャワとジャンピングピッグに近寄って行くと、不思議に思う…ジャンピングピッグが全く俺に威嚇をしてこない。
先ほどは凄い威嚇して来たのに……。
怪訝に思いながらシャワを起こそうと軽く頬を叩いたのだった。
同じ迷子でも、シャワとフェンリルの扱いに差があることをイグーは分かってません。
後…フェンリルは実際は神の獣ですが、この世界では魔獣扱いです。深く考えるのは止めましょう。
矛盾は飲み込んで下さい。Orz




