お前…可哀想…。そして僕は残念なブタ。
想像よりも紗和の言葉づかい難しすぎ……。速くも投げ出したい。
変な所はスルーして下さい。
ブヒッ…?今、僕の下からかブタのような鳴き声が聞こえた…。
そおっと下に目線をやると……なな何とっ!あのブタ…?が僕の下に…。
何時から居たの?ああ…最初からですか?
フカフカでポカポカ暖かかったのは、どうやらこのブタ…?のお陰だったようです。
僕が生きているってことは、このブタ…?は良いブタ…?だったということだよね?
だって、ペロリされて無いし。
ブタ…?のお腹をゴロゴロしてみる…最高……。僕が至福の体験をしていると、イグーがビックリしている。
「シャワ…お前は凄いな。臆病なジャンピングピッグが、こんなになつくなんて…普通は怯えて触れさせてはくれないぞ?」
ジャンピングピッグ…直訳すると、跳ぶ豚…かな?
「臆病にゃの?かにゃり強しょうだけど?牙とかありゅし…大きいし!」
ん?跳ぶ豚……跳ねるのかな?飛ばないのかな?じゃあ、あの翼は?
「後、翼がありゅし!」
イグーは可哀想な者を見るような目で、ブタを見つめる。
「あの牙と翼は偽物というか…特に生きる中で威嚇以外には使わないんだ。ジャンピングピッグは巨体だろ?直ぐに外敵に見付かる…その上臆病だ。だから強者に見えるように自分を演出する。自分はこんな牙があって、翼もあるぞって。臆病だからな…外見を強く装ってるだけだ」
そうなの?こいつ…臆病で、可哀想なブタなんだなぁ…臆病なブタ……身につまされる…。さしずめ僕は残念なブタ…この身体になる前の僕が、オーバーラップして来る。 (自爆)
精神に50のダメージ!
じゃ…じゃあちょと跳ねる只のブタか…。
某アニメの主人公も言ってたしな……。
飛べないブタは只のブタだって……。
本当だな……。
ブヒブヒ~こんなに可愛いのに…ブヒブヒ~触れないなんて…ブヒブヒ~イグー残念だよな~ブヒブヒ~………。
僕の思考に鳴き声を被せて来るな……こいつ。
僕がブヒブヒ言っている見たいじゃないかぁ~。こいつめっ!
ゴロゴロ~ゴロゴロ~ゴロゴロ~。
ブタの上で地獄のローリングをしてやる。
ゴロゴロ~ゴロ…ゴロゴロ………ゴ…ロ…。
「うぇっぷ……気持ちわりゅい………」
ブタにダメージを与えるつもりが、また自爆だったようだ。無念…。
僕が真っ白になっていると、イグーが笑いなにがら手招きをしてくる。ブタの為に近寄らないんだな…。直ぐに察したが、気持ち悪くて動けない……。少々お待ち下さい。
時間を置くと気持ち悪さが、治まってきた。やっとイグーの元へ行くと、ヒョイッ…と抱き上げられた。
やはり抱っこですか…そうですね。僕の足…短いもんね。
「じゃ、そろそろ行くか?腹も空いてるんだろ?」
「おにゃかはもう、大丈夫にゃのっ」
イグーに向けて、お腹をつき出してみる。
「そうなのか?あんなに腹が空いてるアピールしてただろ?」
ツンツン…。イグーがつき出した僕のお腹を突っついてくる。
「ぎゃっ。くしゅぐったいにょ…止めれ~」
僕の弱点発覚。つ…突っつくの狡い~。って、止めてくれないぞ? ううっ酷い…。
イグーの腕の上でぐにゃぐにゃ身悶える。面白いがってるな?お返しだっ。
僕もイグーのお腹や、脇を突っついてみるが……ウンともスンとも言わない。ちくせう……。
「腹が空いてないのは、何でなんだ?」
ようやく突っつくのを止めてくれたので、質問に答えた。
「こにょこが、食べ物をくれたかりゃ~」
と、ブタを指差し教えてあげる。
イグーは「そうか…」と呟いた後に、僕の頭を撫でる。
「じゃあもう少しゆっくり戻っても大丈夫か」
「イグーは何処に行くにょ?僕もいっちょ?」
ここで置いてかれたら待つのは死である。それぐらいは僕の頭でも理解できます。だってここはかなり高い所なんだよ?僕みたいな鈍い奴なんて、足を滑らせたら……いや必ず滑らせる…。天に召されてしまう。
ギュッとイグーにしがみつく。
「ハハッ置いてったりしねえよ。じゃあ行くか?」
「うん。」
ブタに有り難う~って言いながらバイバイと、手を振った。
ブタの方も言葉かわかるの?と思うほど、ブヒブヒ鳴きながら別れを惜しんでくれていた。………多分。
イグーは断崖絶壁を僕を抱えたままスルスルと、降りていく。
地上に降りたイグーに何処に向かうのか聞いてみた。
「ああ、帰るんだ。俺の…家がある、赤竜の郷にな。」
「イグーの家~?僕がいっちょでいいにょ?」
「良い決まってんだろ!んじゃ行くか!!」
今度はゆっくり走り出してくれた。前回のことで学習したみたい。速く動く=僕気絶ってね。
楽チン楽チン~。いざ行かん!赤竜の郷!!
皆さんのスルースキルを鍛える話にしていきたいです。←おいっ。
ジャンピングピッグに関しては、某アニメの主人公のセリフを使いたかっただけで出したのですが…。
しゃしゃり出てくる。凄く…。このまま紗和のペット扱いでレギュラー化させるか悩んだのですが、ブタに話を乗っ取られかねないので、止めました。
その内ブタ視点を書いても面白いかもね?(主に作者が)
長々と失礼しました。