いじめっ子現れる!?
「ふぅ………。はい、それでは今日はここまで。後は各自今日の復習をしておく様に」
女教師の冷たい声音で、本日の授業は終了を告げられた。
僕は自分で描いた大量の絵を、後ろの方で暇そうにしていたイグーへと、見せびらかすために持って行った。
「イグー!こえっ!こえを見てっ!」
「ん?おお、シャワは独創的な絵が上手いな!」
イグーには連邦の白い悪魔は、独創的な絵としてしか理解されなかった。しかし褒められている事には違い無いので、僕の気分は上々であった。
………………………………この時までは。
「ふふ………。あの暴れん坊のイグニスが、静かに部屋に居るのも異常だけど、それよりももっと異常なのがその子ね」
ひぃっ。
いつの間にか僕の背後に静かに佇んでいた…………女教師。未だに名前が思い出せない。
彼女の名前は一旦置いておく事にする。
それにしても怖い………凄く怖いよこの人。何ですかね……そう、実験動物を見る様な目付きです。カルネラさんとはまた違った意味で怖いです。
「お?フィアー……お前、こんなに愛らしいシャワが異常だと?そんな風に思うお前の方が異常じゃないか?」
「言ってくれるわね?でもただ単に異常だって言ってるんじゃ無いわよ。この子はこの幼さで静かに部屋に居るだけじゃない、この子が描いた絵を良く見て………とっても斬新だわ………ふふふ……この子の頭を切り裂いてて、中が見たいくらいだわ」
ぎょっへぇーーー。
悪いコワコワ……コワイヨー!気のせいかもしれないけど、この人の目が妖しくギラリッて光って見えたよ~ブエーン!!!
「フィアー……お前、何をとち狂った事を言ってんだ?」
怯える僕の背中をイグーは優しく押し出し、「この部屋から逃げろ」と言って来た。
あっ。そんなに危険な状況なんだ。
僕は瞬時に理解すると、小さくイグーに頷きながら「イグー!負けるにゃよ?」と、言いながらこの危険な部屋から脱出したのであった。
僕が部屋から出て僅か数秒後に、ドカッバキバキバキバキドガッ………という、何かが破壊される音が聴こえてきたが、外見はエルフだが、内面は平和主義者な日本人である僕は聴こえない振りをしながら足早に離れたのであった。
そして僕が必死にトタトタと走って居ると、突然視界が反転した。
ズッシャァァァァァ………。
「あうっ……痛いにょ…………」
どうやら僕は転んでしまったらしい。
膝が焼けつくように痛い。
「ぷはっ!はははははっ!!」
僕の頭上から大きな笑い声が聴こえてくる。
チッ!誰だよ?こんなパッと見はいたいけな幼児が転んでいたら、普通は「大丈夫?」とか「立てる?」とか、声を掛けて来るのが当たり前じゃね?
それなのに笑うとか………こいつは頭がイカれてやがるに違いない。
怨みのこもった涙目で、笑った相手をギロリと睨み付けたが、幼児の僕の睨みでは余り恐くないみたいで、そいつはニヤニヤと笑ってこちらを見ていやがった。
間違いないっ!こいつぁ典型的ないじめっ子タイプや!
僕を前世でいじめていた奴もこんな嫌な笑みを浮かべていたからね。もう、慣れっこですよ。こんな状況は。だからテンプレートな台詞も自然に口に出てきてしまう訳で。
「なっ………何で笑ってりゅの?」
「はっ!何でだって?そりゃあマヌケにもお前が何もない場所でずっ転けるからだよ」
「………………」
そりゃそうだね。確かに何にも無かった。何にも無かったけど………それ、本人に向かって言うか?しかも何度も言いますが、僕のようないたいけな幼児に。
「ふんっ!いい気味だ!お前のせいでフィアー先生に、ラギが怒られたんだからなっ!!」
うん?ラギって確か………さっき僕の隣の席に座ってた、幸薄そうな少年の事だよね?
じゃあ何か!?そのラギくんが僕のせいで怒られたから、この少年は怒っているのか?
やれやれ……さっきの事は僕らの間で話がついているんだから、部外者が首を突っ込んで来るのはお門違いだろ?
「ふぅっ………。やりぇやりぇ……」
「…………っ……何だよ、その態度………。ガキだからって容赦しないぞっ!!」
あっ、ヤベッ………。口に出ちゃってたや。
この場合は逃げるが勝ちだ。
僕は再びトタトタと走り出したのだが、そんな僕の後をゆっくりと追い詰める様にいじめっ子は、追い掛けて来たのであった。
まだ続く。
そしてフィアーとイグーの戦い。
イグーにとってカルネラはおもちゃ感覚、フィアーとは喧嘩相手………といった感じでしょうか。
両者共に仲は良くも悪くもなくって所でしょうか?




