学習能力はほぼ0
書けましたので。
ビルドさんのお店で、肉団子スープを食べて帰る事になったのですが、非常に気まずいです。
だって僕は前回行った時に、食べ過ぎてリバースしてしまったのだから。
あの時は本当に迷惑をかけましたよ……ビルドさんもしかり、イグーにも吐瀉物を吐きかけてしまい……う~ん……ビルドさんの店に近付くにつれて、当時の騒ぎが思い出される。
「にぇ、イグー……。ビルドしゃん怒って無いよにぇ?」
「ん?ああ、前回のことか?エルフの子供には良くあることだと言っておいたから、特に怒らないだろ?」
「ふぇっ?」
イグーめ……適当な理由をビルドさんに話したのか。全世界のエルフの子供に謝れっ!間違ったことを教えちゃって、ビルドさんがエルフの子供は食事後にリバースするのが、当たり前だと思っちゃったらどうするんだよ!
「イグーだめなにょっ!あれは僕が食べ過ぎちゃったかりゃ、戻しちゃっただけで他にょエルフの子供と一緒にしちゃだめなにょっ!!」
イグーの頬っぺたを、ペチペチ叩きながら文句を言う僕と、そんな僕に保々頬っぺたを叩かれているのに、嬉しそうなイグー……。
ひぃっ!イグーは何で嬉しそうなんですかね?怖い……。
「ふっ……。シャワよ、そんな攻撃では俺は全然痛くないぞ?」
あっ…。ああ、なんだ。痛くなかったんだ。良かった……痛いのが良いって言われたら、もうイグーとは一緒に暮らせないからね。
…………………怖すぎて。
僕たちが喋っている間にビルドさんのお店に着いたみたいで、イグーが何も気にせず堂々と店内に入って行く。
「いらっしゃい…………っと!おう!イグニスとチビ……じゃねぇ、シャワ……だったか?ワッハッハッ~良く来たな~!」
あっ!大丈夫みたいだ。ビルドさんは怒ってないご様子。豪快に笑うと僕の頭をグシャグシャと撫で回した。
ビルドさんの普通の態度に僕は内心ホッとていた。
良かった……。何で来やがった?みたいな顔をされたら、立ち直れなかった。
むかし自宅警備員になる前に、同様の事をやってしまった時は、店員さんにメッチャ嫌な顔をされましたからね。軽くトラウマですよ。
「こにょ間はすみましぇんでした……」
「あん?ああ、あれか?まぁ他種族のガキならしょうがねぇだろ?それにエルフって種族は取り分けひ弱だしな!」
僕が小さく謝ると、ビルドさんはエルフならばしょうがないと、許してくれた。
若干その理由が腑に落ちませんが、ビルドさんが気にしていないでくれたので、僕も理由は気にしない事にした。
「それで?今日は何にする?もちろん俺の店は肉団子スープが売りだが、他のもんも普通に出せるぜ?メニューから選びなっ!」
ビルドさんはそう言うと、僕にメニューが書かれたお品書きを手渡してくれますが、残念ながら僕には読めません。まだ字を習ってませんからね?ミミズがのたくったような字にしか見えません。
こうなったら困っときのイグー頼みです。
僕はイグーにメニューを渡すと、上から順番にお品書きを読んでもらうことにします。
「イグー……こりぇ、読めにゃいから読んで?」
イグーは僕を膝に乗せながら、メニューをひとつひとつ読んでくれました。
「ミートソーススパゲティに、腸詰めバーガー……チキンソテーと、ポークチョップ」
うん……う~ん……見事に肉メインの料理ばかりですね。もちろん僕も肉は大好物ですが、たまにはお魚も食べたいです。
「魚系の料理は無いにょ~?」
僕がそう聞くとイグーが怪訝そうな表情でこう言った。
「あるわけ無いだろう?ここは肉料理の専門店だぞ。肉料理以外であるのはデザートぐらいだ」
ガビーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
そ、そうだったんだ。肉料理専門店だったのか。知らんかったな。 って、ん?あれっ?でも確か魚でも魚肉って言うよね?それってやっぱり肉料理に分類されても良いんじゃないの?
「あにょ………魚もそにょ、魚肉って言うし肉料理に入りゅんじゃないにょ?」
「………………魚は魚料理であって肉料理じゃない。よって肉料理と言ったら、牛、豚、鶏、羊………動物肉の料理の事を指すんだ。分かったか?」
えっ?う~ん………分かった様な分からない様な…………ま、まぁ異世界だし良いか、その辺の事はどうでも。別にそこを細かくイグーと議論してもしょうがないしね。
「………………ふーん、しょっか!分かった!」
若干モヤッとしたが、適当に相槌を打って僕はその疑問をスルーした。
「じゃあイグーのお薦めはにゃに?」
「もちろん肉団子スープだが、前回あんなことになったから、今回はサラミとスパムのサンドウィッチにするか?これなら少しずつ腹と相談して食べれるだろ?」
「うっ……うん!そうだにぇっ!僕はそりぇにすりゅっ!イグーありがと!」
ナイスな判断だ。ちょっとずつ食べれば、前回の悪夢を引き起こさないで済みます。
「じゃあオヤジ、オーダーだ。サラミとスパムのサンドウィッチと肉団子スープだ。それからシャワの腹の具合で最後に甘いものを適当に………」
「おうよ!分かったぜぇ!」
ビルドさんはオーダーを聞くと、料理をするために厨房に引っ込んで行った。
それにしても………イグーはまた肉団子スープにするんだ。
確かにとても美味しかったけど、前回僕にされたことは気にならないのだろうか?
肉団子スープ=リバースって僕の中では申し訳ない図式が出来上がってしまっているけれど、どうやらイグーは全く気にしていないみたい。
凄い精神力ですね。少し羨ましいです。
しばらくイグーと他愛もない話をしながら待っていると、料理が運ばれて来る。
「ほらよっ!お待ちっ!」
テーブルに置かれたサンドウィッチは凄く美味しそうです。
チラリと横目で見た肉団子スープは、前回よりも真っ赤に染まっていました。
えっ!?どういうこと?スープの色が毒々しいまでの赤ですけど!?
僕が言葉も無く、肉団子スープを凝視していると気付いたイグーが教えてくれた。
「どうしたシャワ………このスープの色が気になるのか?これは通常のスープの50倍の辛さにしてある。俺は毎回普通の味と交互に食べることにしているんだ。前回が普通だったから、今回は激辛の番だ。因みに今回のスープは子供には無理だな」
いやいやいや……別に一口欲しくて見てたとかじゃないからね?むしろ今は肉団子スープ無理だから。
色に驚いてただけだからね?
それにしても50倍って凄いな。そんなに辛いと味が分からなくなっちゃわないのかな?僕は辛さは程々が良いよ。食べれなくは無い……筈。
「別に……イグーのは食べないにょ!僕はこっちを食べりゅから良いにょ」
パクりとかぶりついたサンドウィッチは、スパムの味とフワフワパンが絶妙で、一緒に挟んであった野菜がシャキシャキで美味しかった。
サラミの方にはタルタルソールが一緒に挟んであって、これがまた絶妙なハーモニーを口の中で奏でてくれた。
お腹もすいていたのも手伝って、僕はサンドウィッチをペロリと平らげた。
うん。美味しかった~!ごちそうさま!!
パンチクリンになったお腹でご満悦に微笑む僕に、悪魔の囁きが。
「シャワ……この腹じゃ、デザートは無理だな?」
イグーにそう言われた僕は、反射的にこう言ってしまった。
「デザートは別腹だけじょっ!?」
そして運ばれてきたデザートに舌鼓を打ちながらも、食べ過ぎの苦しさに悶え苦しむ僕であった。
タイトル通りですね。
佐和………学習能力はほぼ0です。
ほぼって事は若干は学習したのです。
なので、今回はリバースしてません。満腹で苦しんでるだけとなっております。
後は、字を覚えさせにゃならん。




