結局はそうなってしまうのであった……
先に謝っておきます。お食事中と、お食事後の方は読むのを控えてください。
イグーが美味しい店といって連れていってくれた肉団子のスープを売っているお店に到着した。
うん。ここのお店も食欲をそそる良い匂いが漂っている。僕のお腹は限界を迎えている様子で、グウギュル~~~と、大きな音を立てている。
「着いたぞシャワ…。オヤジ、肉団子のスープを二つくれ!後は…そうだな、パンとデザートにベリーベリーの果実があったろ?それを頼む」
イグーが声をかけると、店の奥から恰幅の良いおじさんが、顔を見せ威勢の良い返事をする。
「オッ?イグニスじゃねぇか!久しぶりだな!お前がデザートだと?甘いもんは嫌いじゃ無かったか?ベリーベリーはすげぇ甘いぜ?」
「ん?ああ、食うのは俺じゃない……このシャワだからな」
イグーに抱えられたまま紹介された僕だったが、おじさんが僕に視線を合わせて、驚いた顔になる。
あっ…また、このパターンですか?分かりますよ?分かりますけども。
「なっ……エ…エルフ…何でここに居るんだぁ?しかもこんな小せぇガキが……」
「どうみょ……初めまして…シャワでしゅ……」
おじさんは、僕が思った通りすっごいビックリしていらっしゃいますが、一応挨拶はしなきゃね?僕もいい歳した大人なんだから。
「あ…挨拶も出来るのか?…俺はビルドだ。んで、イグニス……お前、エルフの子供を拐ってくる様な悪さをしちまったのか?悪いことは言わねぇ…とっとと謝って親の元に帰してやれや、な?」
おうっ…イグーに予期せぬ濡れ衣が掛かってるぞ。いつも助けてもらってばかりじゃ男が廃るってね。ここは僕が助けてやらねばなるまい。
「違うにょっ!僕が迷子になってたかりゃ、イグーはたしゅけてくれたにょっ!」
僕がイグーにしがみつきながら、誤解を解くために説明するとおじさんは、しょうがねぇな?って顔で微笑むとイグーに向かってこういい放った。
「おう、イグニス!こんなになつかれやがって!拐って来たんじゃねぇって、事か?」
「……はあっ。当たり前だろ?良いからとっとと飯を出せよ……一応飯屋だろ?」
「ガッハッハッ…分かった分かった。直ぐに出してやっから、ちいっとばかし待ってろや」
豪快に笑いながらおじさんは、奥に戻っていったのであった。
誤解が直ぐに解けて良かった。それにしても、一々驚かれるのには困ったものだね。まぁ、しょうがないんだけどさ。何せこの大陸には居ない筈のエルフだしね?
イグーと大人しく椅子に座って待っていると、目の前に豪快に肉団子を盛ったスープの器が、勢いよく置かれた。
「うぎゃっ………」
アチッ!アチチッ!…顔に汁が飛んだっ!!ついでにおじさんの指もスープに入ってた……。熱くはないのだろうか?そして、衛生的にもアウトではなかろうか?
僕がイグーの腕の中で熱さに悶えていると、おじさんとイグーが不思議そうに僕に聞いて来る。
「どうした…ああ、汁が飛んで熱かったのか。額が少し赤くなってるな……」
「あん?おお、スープの汁が置くときに跳ねちまったみてぇだな?たが、これしきの温度の汁が跳ねた程度で悲鳴を上げるたぁ…エルフって奴は、ひ弱なんだな?」
「おい、オヤジッ!こいつは俺やあんたみたいな竜族じゃないんだから、気お付けて置けよな」
「済まねぇなっ!次からは気お付けるからよう!イグニス、これで冷してやんなっ!」
おじさんがイグーに、丸いものを投げて寄越したのであった。
「氷玉か……。ほら、シャワ…これを当ててれば赤みも直ぐに引くだろう」
「あうぅ~。、ひんやりしてて、とっても気持ちが良いにょ~」
ううう……ジンジンする痛みが引いてきた。原因はおじさんだったけれど、痛みが引いてきたのもおじさんが貸してくれた、氷玉ってやつのお陰……う~ん複雑だよ。
「ほら、シャワ?肉団子だ。熱いから気お付けて食べろよ?」
「ありがちょ……」
イグーがフォークに肉団子を突き刺して、僕に手渡してくれた。済まんね……何せ片腕は氷玉を持っていて、使えないからね。
「ハグハグ…モギュモギュ…ごっくん……。美味ちぃ~~!何なにょ?こにょジューシーさは?肉汁が溢れて来るにょっ!!ハグッモグモグ……ムチャムチャ……」
肉団子の肉汁が噛めば噛むほど溢れ出てくる。何という旨味のハーモニーだっ!僕は肉団子の余りの美味しさに我を忘れて貪り喰らってしまったのてあった。
後悔先に立たずと言いますが、あれは本当の事です。調子にのって食べ過ぎた僕は、まるでイカ飯の様なパンパンなお腹になってしまいました。物凄く苦しいですが、自業自得なのでしょうがないです。
「それにしても良く食べたな?まあ半分位は俺が食べたんだが……」
イグーがツンツンと僕のパンパンなお腹をつついて来ますが、止めれっ!僕のお腹が破裂しちゃったら大変でしょ?全く……。
「ふっ……。食休みをしたら、家に帰るぞ?」
「う?うん……………って、待っちぇっ!!帰る前にギムレーの家に寄ってくにょっ!!」
「チッ……覚えていたのか………」
イグーめ……僕の事を馬鹿にしてんな?見た目は子供!頭脳も子供!……じゃなくて、 頭脳は大人なんだからね?
「覚えてりゅよっ!イグーが行かなくちぇも、僕は行くかりゃね?」
「はあ……。まあ、一人では絶対に行かせないけどな?」
イグーが僕の頭をポンポン軽く叩いてくる。うげえ……その振動で結局僕の口からは、マーライオンが水を噴射させるみたいに、スープが迸ったのであった。その後の阿鼻叫喚は、僕の名誉の為に割愛させて頂く事にする。
残念な事に結局リバースしちゃったのであります。
後の肉団子スープの店から出禁を喰らったかは、定かではありませんが、店主も悪い奴じゃ無いので多分大丈夫でしょう。きっと。




