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ショタエルフの中身はオッサン  作者: ゴロタ
新しい生活の幕開け……か?
27/42

ブクマ100件 お礼小話

小話と書いてありますが、少し長くなってしまいました。誤字脱字も…あります。


※本編では無いので、読み飛ばして頂いても結構です。

ここはメルネア大陸にある、静かな森林に囲まれたエルフの隠れ郷なんじゃ。


ワシはこのエルフの隠れ郷で、長老と呼ばれておるドルドルエモンと申す者ですじゃ。今年で………何歳になったのじゃっけ?ま…まあ、長~く生きておるのじゃ。

エルフは寿命が長いため、余り年齢とかに囚われず、自然と共にのんびりと暮らす種族なんじゃよ。

自分の歳が思い出せぬから、言い訳しているのでは決して無いのじゃ。


そ…そんなのんびりとした空気を引き裂く野太い男達の声がワシの耳に届いて来る。



「ちょっ…長老っ!!たっ…大変だっ!!」


「だだだ…大事件が発生しましたっ!!」


「なっ…なんじゃ?一体なんの騒ぎじゃ?レブロの古びたパンツが風に飛ばされたとか、ガルディンの部屋のベッドの下からいかがわしい絵の妖しい本が出てきたとかだったら、ワシにいちいち報告しなくても良いのじゃがのぅ………」


「そんな低レベルな話じゃ無いんだよっ!!」


「そうですよっ!!いつもそんな話ばかりしてるって、勘違いされたらどうするんですか?」


「いつもそんな低レベルな話ばかり聞かされとるがのぅ……。それに誰も勘違いなどせぬよ…皆、お主らがしょうもない話ばかりしとる事は知っとるからのぅ……」


「ハッハッハッ…世迷い言をおっしゃいますな…」


「おい、シャル……そこは突っ込むなよ。多分…きっとアレだよ…ほら、長老も歳だし…な?耄碌し始めたんじゃ………」


「しとらんわっ!!!全くお主らときたら…大事件じゃなかったのかのぅ……」


このボケコンビはシャルと、ギィという名前のまだ300歳程度の若僧であり、こやつらの相手をしていると、ワシの穏やかな生活が乱されるのじゃ。

比較的にマトモな方のギィが、あっ!ヤベッ…忘れてたっ!みたいな顔をした後に、やっと本題に入ってくれたのがせめてもの救いじゃな。


「…そ…そうでしたっ!デルフィーネさんの子供がっ!子供が消えましたっ!」


「なっ…なんじゃと………きっ…消えたとはどういうことじゃっ!」


「はい、子供のお昼寝の時間にデルフィーネさんが少し目を離した隙に、痕跡も残さず寝ていたベッドの上から消え去ったそうです……」


確かに、デルフィーネの所には小さな子供が居た筈じゃっ!自分の歳は忘れても、産まれてそんなに立ってない子供の年齢は忘れぬものじゃ。まだ30年程しか生きておらなんだ筈じゃから、ヨチヨチ歩きが出来るくらいの年齢じゃなって……。


「だっ…大事件ではないかっ!急ぎデルフィーネの元に行かねばならぬっ!何故もっと早く言わぬのじゃ、この馬鹿者共めぇ……」


「「俺達は最初から大事件だって言ってたし!」」


「声を揃えて威張るな!馬鹿者共!日頃の行いが仇となったのじゃっ!普段から真面目にしとれば、この様な時間の無駄を無くせたのじゃっ!」


ワシはそう怒鳴ると、二人を置いてデルフィーネの家に駆け出した。

エルフは長く生きるため、新しい子供が産まれることが他の種族に比べて極端に少ない。

そのため、新しい子供が産まれると郷全体でめでたき事と、喜び大切に育てて行くのじゃが、今回の事は一体どういう事なんじゃ?隠れ郷の入り口は魔法障壁で、エルフ以外は弾かれるじゃろうし……まっ…まさか内部に犯人が居るとでもいうのじゃろうか?ワシは前代未聞の大事件に、頭が大分混乱していたのであった。





***




やっとワシがデルフィーネの家に辿り着く頃には、後から走ってきたシャルと、ギィに追い抜かされてしまっていたのじゃ。若い者の身体能力を甘く見ていた。ワシがゼイゼイ言いながら息を整えておると、ギィが水袋を差し出してくれた。ウム…馬鹿者じゃが、悪い子じゃ無いのぅ…。ワシはギィにお礼を言って有り難く水を飲んだのじゃが、ギィの横に居るシャルは、ワシの疲れた顔を見て笑い転げておる…。なにがそんなに面白いのかのぅ?こやつは…間違いなくアホの中のアホ。キングオブアホじゃな。



ワシは一息つかせてもらい、やっと呼吸が落ち着いた所でデルフィーネの家のドアを数回叩く。すると、勢い良くドアが開いたのじゃが、その開いたドアがワシの額にぶつかった件は、この際割愛しておくのじゃよ…。


「して、デルフィーネよ…お主の子供が消えたと、こやつらから聞いたが、誠かのぅ?」


そうワシがデルフィーネに尋ねると、アホ二人が騒ぎ出す。


「その聞き方…俺らが嘘をついてるとでも言いたいのかよっ!」


「酷いです…傷付きました。なので責任者を呼んでください……って、責任者は長老だったっ!?」


「あ~お主ら…そういうの…今、ワシら求めて無いのじゃ。黙っておってもらって良いかのぉ?」


「「………………………………うぃっす…」」


ふざけて良い空気じゃない事を、流石に察知したアホ二人は素直に返事をしたのじゃった。


「デルフィーネよ、すまぬな…。アホ二人が話を遮ってしもうて……」


「……いえ、この二人がアホな事は周知の事実ですから……。それよりも私の息子が…アルヴィスが…少し目を離した隙に消えたのです……。魔力の追跡を行ってもまだ子供ですし、近くには居ないのか、探し当てられませんでした…もう、どうすれば良いのか…」


そう言うと、デルフィーネは泣き崩れてしまったのじゃった。そして、デルフィーネにもアホと言われたシャルとギィは、肩を落として項垂れておった。自業自得じゃな。


それにしても魔力の追跡が出来ぬとは、それは不味いのぅ…。ワシの追跡能力をもってしても、この大陸の半分程度しか分からぬし、ワシも探ってはみるが、デルフィーネの子供の魔力反応は確認できぬのぅ…。

基本的にエルフはこのメルネア大陸から、外の大陸に出たりはせんし、たまに変わり者が他大陸へ渡り冒険者などになったりするぐらいなのじゃが。



「子供の捜索を諦めはせぬが、覚悟は必要かもしれぬぞ、デルフィーネ……」


「……っ…そんなっ……ああ…アルヴィス……っ………」


その場にはデルフィーネの悲しい鳴き声が響いていたのじゃが、例によって例の如くアホ二人が、要らんことを喋りはじめおった。


「ヤベッ…これ解決したら俺ら凄くねぇか?」


「そうだな。これは俺たちの活躍が求められてるんじゃないか?子供を見付けて、英雄とかになれるんじゃないか?」


「英雄~?ハッハッハッ…良いな、それっ!!」



不謹慎な事を言い合い、笑っているアホ二人に鉄拳制裁する為に、腕を振り上げたワシじゃったが、それよりも早く二人の頬に渾身の一撃を放った者がおった。デルフィーネじゃな。(まあ、デルフィーネしかおらんが……)


「ぐえっ…………」

「うぎゃっ………」


アホ二人は、後ろに倒れ込んでピクリともしなくなった。多分気絶でもしたんじゃろうが、またもや自業自得じゃな。



ワシは怒りで興奮して、顔の赤くなったデルフィーネを宥めながら、子供の……アルヴィスの無事を精霊王に祈ったのじゃった。







エルフは精霊王を信仰してます。



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