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ショタエルフの中身はオッサン  作者: ゴロタ
新しい生活の幕開け……か?
25/42

某有名アンパンヒーロー

投下……。誤字脱字に注意せよ!

僕はこの数日間死に物狂いで、幼児用補助便座の召喚に躍起になっていたのだが、遂に先ほど召喚が成功した。


トイレの穴にジャストフィットした、そのニクい補助便座は、某有名アンパンヒーローが空を飛んでいるポーズの物であった。何故かこれが召喚されたのだが、若干跨がるのが恥ずかしい。だが、これでイグーに抱えられて用を足す必要が無くなり、僕の頭髪の守りも盤石である。




「ずいぶんご機嫌だな?シャワは……」


「あっ!イグー!!見て見て~!ほらこりぇ」


僕は自分の召喚が成功した事に浮かれながら、ニコニコ顔で、イグーに召喚の成功を報告した。


「……………………………………………」


それなのにイグーは何故か無言で、補助便座を凝視して固まっている。


「どうしたにょ?」


僕が声を掛けると、ビクッと肩を震わせながら突然僕を抱き抱えてトイレから足早に出ていった。そして大変な物を見てしまったみたいな口調で、


「シャワ……お前はとんでもないモンスターを召喚してしまった……。あれは…あのモンスターは以前獣人族の村を火の海にし、村人全員を虐殺したパーマンというモンスターに瓜二つだ……。大きさはまだ子ども程度だったが、パーマンの獰猛せいは子どもであっても関係ないっ!後少し気付くのに遅れていたら、シャワは死んでいたぞっ!!」


はあっ?あれは某アンパンヒーローであって、モンスターでは無いし、そもそも生物ですらないし……。


「イグー大丈夫……ありぇは、僕の故郷にありゅ普通の物で、生きてはないにょ……」


「それは本当か?さっきのあれは生きてはいないのか?」


「う…うん……」


「そうか……良かった。だが、エルフの郷にはとんでもない物があるんだな……パーマン形の物体か……悪趣味だな……」


悪趣味とまで、言っちゃうんだ?あんなに優しく微笑んでいるアンパンヒーローに……。うん…まあ、そもそもアンパンが喋ること事態が悪趣味かも知れませんが…。

だいたい助けてくれたアンパンヒーローの頭部をもいで食すんだよ?しかも、時には味まで聞いて来る場合があるし…。食えるかっ!!

普通ちびっこが見たら、余りにもショッキングな光景に、トラウマになったりしないのだろうか?

そこら辺はちびっこの柔軟な脳で、何らかの処理が行われているのだろうが……。




ふと考え事から顔を上げると、イグーがどこにも居ない……。うん、嫌な予感しかしない。

僕は確信を持って、トイレの方に向かって走り出した。


トイレの扉が、開いている……イグーは多分ここに居る。

恐る恐る中を覗いて見ると、今にも魔法をぶっ放ちそうなイグーと、その眼前に鎮座しているアンパンヒーロー………何やってんだ?


「……くっ……。やはりシャワの言ったように、生きてはいないのか?これだけ魔力でプレッシャーを与えて居るのに、微動だにせんとは……ならばっ!!」


どうやらアンパンヒーロー形の補助便座を、相手取り生物じゃないかを、入念に確認している……らしい。

今度は素手でバシバシ叩き始めた。止めれっ!!イグーの腕力で叩いたら、流石のメイドインジャパン製のアンパンヒーローでも、壊れてしまうに違いない。僕はイグーを止める為、扉の影から飛び出して、イグーの足にしがみついた。



「イグー!止めちぇ!!そりぇを、召喚すりゅのに、僕がどれだけ苦労したか知ってりゅでしょっ!!」


「………シャワ………すまなかった。俺にはどうしてもパーマンに見えてしまい、確認せずにはいられなかったんだ……」


僕の制止が間に合ったのか、アンパンヒーローは今だ穴の上に鎮座して微笑んでいたのだが、心なしか一仕事終えて、くたびれている風であった。




***


一先ずイグーをトイレから、連れ出して椅子に座らせて、落ち着いてもらおうとすると、何故か僕も一緒に座らされた。もちろんイグーの膝の上に…だ。

対面式で座らされ、再度入念な確認をされた。


「本当に生きてないんだな?今は動かないが、後々動き出したりしないな?」


「しないにょっ!いい加減しつこいにょっ!!」


「なっ……。しつこい……だと?」


「そうなにょっ!大丈夫だって言ってるにょに、何回も……しつこいにょ~~~~~!!」


僕は余りのしつこさに、イグーの頭をペシペシと叩く。


「こにょ、こにょ~~~!!」


ハアハア……。どうだっ!僕の恐ろしさが骨身に染みたかっ!

僕が叩いてる間中イグーは、ずっどニコニコしていた。もしや……そういう性癖の人だったのか?お、お目覚めは自己責任でお願いしますっ!!


「ハアハア…ハアハア…どうだっ!参ったかっ!!」


うぐぅ…これしきの事で、息が上がる……なんたる脆弱さだっ!

僕が肩で息をしながら、イグーに降参するか問い掛けると、イグーは笑いながらこう言った。


「ふっ…。参った参った…降参だ。いっぱい動いて疲れただろ?昼飯の時間だし、何か買いに行くか?」


ぜっ…全然効いてない…だと?じゃあ何か?僕は疲れ損では、なかろうか?ちくせうっ!!

僕の悔しい気持ちとは裏腹に、お腹がイグーの話に返事をする。


グウギュルルルル~~~~!


「お?いい返事だな?なに食べたい?」


お腹の裏切り者~~~!僕は諦めてイグーに向かってポツリとこう言った。



「……こにょ間にょ……お肉がパンに挟んでありゅやつ………」


「ああ、あれか…分かった。じゃあ直ぐに行くぞ」


そう言うと、僕を抱えてイグーは歩き出したのであった。


たまには自分で歩きたいんですけどぉ~?




版権もとが怖い為、ぼかしてあるけど、分かりますよね?ちびっこが大好きな、喋るアンパンミュータントです。

何故喋るのか?何処へ行くのか?全てが謎のヴェールに包まれたミステリアスヒーローです。自身も餡をパン生地で包んでおりますし、正体不明です。


だが、正体が分からないからこそ、惹かれる…………かは、個人の自由です。



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