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ショタエルフの中身はオッサン  作者: ゴロタ
新しい生活の幕開け……か?
20/42

若い頃は分からんのですっ!

誤字脱字…に注意。

皆にダメ出しをされましたが、何がダメなのか全然分からない僕は、イグーに何故パックさんに髪を上げちゃダメなのか、聞いてみる事にした。


「イグー、あにょね?何でパックしゃんに、僕の髪をあげちゃ、ダメにゃの?」


僕がそう聞くとイグーは、えっ?マジか?って、表情をして来る。知らんがな……。知らんから、聞いたんですけど?


「教えて下しゃい……」


上目遣いにイグーを仰ぎ見ると、何故だかイグーの顔が赤く染まっている。風邪かな?


「ゴホッ…。シャワは知らないのか……。エルフは魔力を髪に蓄えるんだ。まあ、お前位の子供の髪にはそんなに大量の魔力は、蓄えられて無い筈だから、妖精が欲しがるのは…………」


イグーが何かに気付いた様に、僕の銀色の髪の毛を撫でて来る。

頭を撫でられるのは、好きだな~。気持ち良い…。


プチンッ……。


痛てっ!イグーよ、何をした?


「痛ちゃいっ!何しゅるの?」


「おっと、すまん。シャワの髪の毛を1本抜かしてもらっただけだ」


何ですと?許せんっ!僕の大事な髪の毛を……。若い頃は分からんのです、髪の毛の大事さ、偉大さを……。

脱色してみたり、奇抜なヘアースタイルにしてみたり……20年後の想像が出来なかったんです……あんな、落武者ヘアーになるなんて……。しくしく。


どうすんの?以前の僕のヘアースタイル、落武者になったら?エルフの落武者ヘアー………うん、誰得だよっ!


僕が以前の肉体のヘアースタイルに、思いを馳せて切ない思いに胸を一杯にしている頃、その横では、


「長老……シャワのこの髪……子供にしたら、魔力が蓄えられ過ぎじゃないか?」


「フム…そうさのぅ…。確かに多いのじゃが、これがエルフだからかもしれんのぅ…。竜としては多いが、エルフとしてはどうなのかのぅ?何せエルフなぞ、数百年ぶりに見たからのぅ……」


「シャワは、エルフの中でも魔力量が多いよっ☆オイラが言うんだ、間違い無いよっ★」


イグーと長老の会話に、パックさんが割り込んで来る。


「パックの意見は無視出来ない。妖精の魔力を見る目は確かだ……性格はともかく、な」


「キャハハ~ねぇねぇ、そのシャワの髪で良いよ~頂戴~☆」


「1本だけならな」


「良いよぉ~。だって、1本でこの量だよ~?お腹一杯になりそうだよ~★」


パックのこの発言で、その場はザワついた。


ええっ?皆が僕の頭の方を見て来る……何なの?

もしや、落武者の兆候でも現れたのかっ?ひいっ。

まだ小さいのに……森をさ迷ったり、何かしちゃったりして、苦労したから……もしや…。


僕はドキドキしながら、自分の頭を触ってみるが、フサフサしていた。寧ろ、モッサリしている。

僕が自分の頭頂部に安堵していると、パックさんがイグーが摘まんでいる僕の髪の毛に、食い付いて居た。


「ハグ…モグ…うん~★美味しい~☆一言で言うと、ジューシー?」


げっ?パックさん…マジですか?僕…覚えている限り、お風呂に入った記憶が無いんだけど?

その髪、バッチイよ?それが美味しいって事は……これが、変態ってやつですか?


カルネラさんも変態だし、この世界変態多いなぁ……。ファンタジーの世界にも居るんだな。

ファンタジーに、夢を見過ぎんなって事かな?だとすると、世知辛い世の中だな……。


「ジューシーなのか?その表現って事は、相当な魔力量だな……。だが、召喚魔法は全然出来て無かったぞ?」


「ほう、召喚魔法とな?まあ、しょうがあるまいのう、まだ小さいんじゃから……」


「あれ~?オイラ、シャワが召喚した食べ物食べたけど~?」


「なっなんじゃとっ?」

「羨まし……いや、何でも無い」


パックさんの発言でまたもや、場がザワついた。


「シャワ!頼む!俺にも食べ物を召喚してみてくれっ!」


ええっ?無茶ぶり過ぎるっ!嫌だよ~。さっき見たいに、召喚され無いんじゃないの?あんな赤っ恥を、イグーだけじゃ無い、この場でやらなきゃならないの?絶対嫌なんですけど?

成功したら良いけど、失敗した時のあの静まり返る感じが、嫌。

だから、召喚なんてしないっ!僕は断固たる意思で、懇願してくるイグーに向かってこう叫んだのであった。


「だが、断りゅっ!」




若い頃は何でも出来ると、思いがちですが、現実は違う。何にも出来ませんし、風邪も治りませんし、火傷も治りません。

若いって偉大ですよ……大切なものって、失ってみて分かるもんです。ハア……。

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