第6話 ゴブリン's
「じゃ、今日はDランクの依頼だな」
「やっぱり1つ上にするのね」
「でも、そっちの方が早いんだよね〜」
翌日、ソラ達はイーリアを出て、森の中を歩いている。なお、事前にギルドでDランク依頼をまた20個も受けてきた。
「それにしてもゴブリンってDランクなんだな」
「見た目は弱そうなのに、初心者には厳しい相手なのよね」
「ソラ君なら何体いけるかな?」
「殲滅するだけなら魔法を使えば簡単けどな。討伐証明部位を持って行かなきゃいけないだろ?残すのが大変だよ」
「それって贅沢な悩みよね」
「そうだね」
「さて、ゴブリンの集落を探しながら、適当に魔獣の相手でもするか」
そうしてソラ達は、昨日よりも森の奥深くへと歩いていった。
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「狼か」
「シャドウウルフね。数も多いわよ」
「でも、ソラ君だけでも余裕だよね」
「23匹か。まあ、数だけならな。けど、こんな風に……」
今、ソラ達はウェアウルフよりもひと回り大きく、真っ黒な毛皮の狼に囲まれていた。普段ならソラ1人で十分なのだが、今は……
「……森の中で囲まれたら、流石に無理だぞ」
「まあ、そうよね」
「探知魔法は使ってなかったの?」
「慣らす為に使ってはいたけどな、木が邪魔で直前まで分からなかった。今も完全に追えてる訳じゃないな」
「それで?どうするの?」
「ミリアとフリスは自衛だけで頼む。前には俺が出る」
「分かった〜」
「無茶はしないでよ」
「分かった。深追いはしないよ」
ソラが薄刃陽炎を抜き、1歩前に出ると同時に、シャドウウルフも警戒を強める。
「じゃあ、行くかっ!」
ソラは身体強化を使って加速し、目の前にいたシャドウウルフとすれ違うのと同時に、頸動脈を切り裂く。そのまま進み、木を使って方向転換をすると、その先のシャドウウルフの首を落とす。
「纏めて死ね!アイスボム!」
「はぁ!」
「止まって!エアロバレット!」
ソラはその場で2方向に氷球を放つ。それは地面に触れると炸裂し、シャドウウルフを計7匹を凍りつかせた。
ミリアも近付いてきたシャドウウルフを双剣で切り裂き、フリスは風で2匹を切り刻む。
しかし、その攻撃を掻い潜り、1匹のシャドウウルフがフリスに向かって駆ける。
「フリス!」
「大丈夫!」
フリスはシャドウウルフに対し、長杖を振って体勢を崩させ、そのまま頭に叩きつける。
「終わり!サンダーバレット!」
「やるな。俺も負けていられるか!」
「当然よ。ずっと2人でやってたんだからね!」
倒れたシャドウウルフにトドメを刺したフリスは、そのままの流れでもう4匹を葬る。
残りも、ソラが4匹、ミリアが2匹を倒した。
「ふぅ、終わりか。それにしてもフリスって、長杖での接近戦も出来たんだな」
「2人だけだったから囲まれると困るんだもん。冒険者の先輩や、ミリちゃんに手伝ってもらったの」
「結構上達が早かったわよ。お陰で私も楽だわ」
シャドウウルフの右耳を切り取りながら、3人は話を続ける。
「それにしても、何で群れの規模が多いのかな?」
「もしかしたら、俺が来たせいかも」
「ソラが強いからってこと?だったら向かって来る理由が無いわよ」
「俺が来た瞬間に起きた何かを察した、とかじゃ無 ないのか?」
「それが一番しっくりくるかも」
「魔力の波とかなのかな?」
「それはもう分からないな」
土魔法を使ってシャドウウルフを埋めた後、3人は更に奥地へと進んで行った。
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「ん?あそこに何か居るぞ?」
「あれは……スレッドキャタピラね。依頼、受けておいたでしょ?」
「ああ、有ったな。俺としては、さっさとゴブリンの集落を見つけたいんだが」
「集落は奥の方にあるから、見つけるのは大変なんだよ。こういう風に、先に他の魔獣と会っちゃうのは仕方がないの」
「そうか……ま、諦めるしか無いな。数は12匹か……さっさと片づけるよ」
「気を付けて。スレッドキャタピラは動きが遅いけど、Dランクになる理由がちゃんとあるんだから」
「大丈夫。聞いた事はちゃんと生かすよ」
ソラは戦闘態勢を取り、いつも通りの動きで10m先の木々の間に居たスレッドキャタピラを2匹切り裂いた。その時、スレッドキャタピラも反撃に出る。
「おっと、やっぱり面倒だな、この糸は。斬りづらいし」
スレッドキャタピラは口から糸を吐いて来る上、その糸は丈夫で斬りづらい。剣士には嫌われているが……
「魔法を使えば問題ないな。一気に終わらせてやる。アースランス!」
ソラは糸を避け続け、土の槍を10本放ってスレッドキャタピラを全滅させる。
「お疲れ様」
「お疲れ〜ソラ君、結構魔法が上手になったね!」
「まあ、慣れたのかな?まだまだ伸び代は有りそうだし、頑張るか」
スレッドキャタピラのアゴを回収し、シャドウウルフと同様に処理した後、3人はまた奥地へ向かって歩いて行った。
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「ん?あの木は……魔獣か?」
「え〜と……あれはトレントだよ」
「擬態してると分かりづらいはずなのに……ソラ、何で気付いたの?」
「何でって……気配と勘?」
「……本当に人なの?SSSランクの魔人ですって言われた方が納得できるんだけど……」
「正真正銘人間だ。元の世界じゃあ魔法は無かったからな、こういった技術とかも持ってないと強くなれないんだよ」
「戦う事は無いって言ってたじゃない……」
「試合って言ってたっけ?それだと戦うんだよね?」
「そうそう。まあ、技術だって俺はまだまだ未熟だったけどな」
普通に見たら唯の森だが、3人には見えている物がある。全高2.5mのおかしな形の木が何本もあり、時折変に揺れているのだ。
「トレントは……6体か。あいつらは鼻っ柱を叩き折れば良かったんだよな?」
「そうよ。まあ、それだけじゃあ死なないけどね」
「ちゃんと倒してね〜」
「了ー解っと、会話を聞かれたか」
おかしな形の木ーートレントーーが擬態を解き、人型となって向かって来た。首が無く、胴と頭が1つの幹で出来ており、そこから四肢と余分な枝葉が生えている。それが6体も。
トレント達も例に違わず、群れとなっているようだ。
「さて、どう料理してやろうかな?」
「木を料理するの?」
「それを言うなって……比喩だよ比喩。まあ良いや、付加使って全部斬るか」
ソラは薄刃陽炎に水の付加をし、加速していく。
付加の中でも水属性は、刃に水を纏わせて斬れ味を上げる事が出来るため、刀との相性が良い。
そのためか、ソラは簡単にトレントを両断していき、全滅させた。
「やっぱり、デカい分ノロいな」
「そういう魔獣だしね。まあ、斬るのに普通は苦労するんだけど」
「魔法使いにとっては簡単だよ。ソラ君は斬ってたけど」
「気にするな。それに、このランクでは珍しくても、もっと上なら出来る奴も多いだろ」
「知らないけど、確かにそうかも」
「だけど、俺もまだまだ扱いに慣れてないな。多分、無駄な魔力を使っちまっただろうし」
トレントの鼻のような形の枝を切り落としつつ、いつものように会話をする。
ミリアとフリスからしたら、これ以上強くなってどうする?という感じだが。
「それにしても、ゴブリンの集落ってどこにあるんだろうな?」
「さあね。あ、一旦帰らない?今から戻れば日の入りまでには町に戻れると思うわよ」
「夜は面倒だし、帰ろうよ」
「そうだな、帰ろうか」
いつの間にかパーティーのリーダー枠となっていたソラの号令で、3人は森から町へと帰っていった。
言うまでも無いと思うが、今日の戦果にもルーチェは驚き、呆れていた。
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「お、居た居た」
「ゴブリンの集落ね。……50体は超えてない?」
「多分超えてるよ」
「魔法で壁を作って囲めば、逃げられはしないだろ」
「心配しているはそっちじゃないって……」
翌日、朝から森を奥へと進んでいたソラ達は、漸くゴブリンの集落を見つける事が出来た。
それは深さ7m、幅5mの谷の中にあり、ソラ達は今崖の上に居る。
「ミリア、この高さから降りて無事に着地出来るか?」
「身体強化をすれば何とかね……でも、暫くは動けないわよ?」
「それはフリスに援護してもらえば解決するんじゃないか?それに、呼んだ時で良いし」
「それはそうだけど……私達が無茶だと思ったらすぐに行くからね!」
「分かった。出来るだけ、心配をかけないようにするがな」
「ねえソラ君、ミリちゃん。あれって将軍と魔法使いと射手じゃないの?」
「あ、本当ね。しかもそれぞれ3体ずつ……」
「確かに聞いていた通り、他より一回り大きいな……あいつらはCランクだったか?普通のゴブリンが……74体とCランクが9体か…俺だけでも余裕だろ。まあ、2人も自分で見て介入してくれ。俺自身がピンチだと気付かない事もあるかもしれないからな」
「分かったわ。気を付けてね」
「頑張って〜」
「さあ行くか、アイスシールド!アクアボム!」
ソラは先ず集落の左右に高さ2mの氷の壁を、谷を塞ぐような形で作り出す。ついでに水球を放って爆発させ、ゴブリンの混乱を誘う。
そうした後、ソラは崖の上から飛び降りた。
「エアロボム!ふんっ!」
着地する寸前に風を起こし、身体強化も発動して、無事着地したソラ。
反応は遅れたが、ゴブリン達もソラへと振り向く。
「さあ、やってやろうじゃねえか!」
薄刃陽炎を振り抜き、ゴブリン射手の放った矢を切り落としたソラは、一箇所に集まっているゴブリン将軍3体へ向かって突っ込んで行く。
「邪魔すんな!」
「「「「ギギャ!」」」」
道中のゴブリンを刀で切り裂きつつ、エレメンタルビットを思考だけで使い、火球や雷矢、氷槍に光刃を、囲もうと集まって来たゴブリンへと放ち、殺していく。
「Cランクの実力、試させてもらうぜ!」
「ギャア」
「ギッギッ」
大きさ以外は他と同じの、少し錆びた剣と盾を持った将軍は、後ろの杖を持ったゴブリン魔法使いに援護を頼んだようで、盾を前にして突っ込んで来る。
射手も他の場所から将軍を援護するようだ。
しかし……
「後ろの奴から倒すのは、ゲームじゃ定番なんだよ!」
「「「ギギャ⁉︎」」」
先手を取って魔法使いと射手に魔法を打ち込み、倒したソラ。それを見て戸惑ってしまった将軍は、ただの的となるしか無かった。
魔法を周りに放ちながら、ソラは進む。
「ふっ!はぁっ!」
「ギィア!」
「「グギャ!」」
少し前に出ていた将軍は側面から刀を懐に入れられ、心臓を刺されて絶命する。
残りの2体はソラの回転斬りによって纏めて首を飛ばされた。
「凄いよね、ソラ君」
「一方的過ぎでしょ。ゴブリン、逃げ腰よ」
「でも、最初に壁を作られたせいで逃げれて無いね」
お気楽な観戦状態のミリアとフリス。下では掃討戦も終わろうとしている。
「なんだ、もう終わりか」
「お疲れ〜」
「お疲れ様。どうだった?」
「確かに他よりは強くはなってたみたいだけど、頭が悪いよな。単純過ぎだ」
「それを言えるのはソラだけよ」
「わたし達2人じゃあ、今のは無理だもん」
「崖の上から魔法を打ちまくってもか?」
「全部は無理!少なくても半分位には逃げられちゃうと思うの」
次々とゴブリンの右耳を回収していくソラ。大分慣れて来たようだ。
「よっと」
「うわ〜」
「空も飛べるの?」
「今のは風で押し上げただけだよ。自由に飛ぶのは当分無理だろうな。
あーと……結構返り血を浴びたか……」
ソラは風魔法を使い、崖の上へと上がって来た。ミリアもフリスも気付いていないが、今のには土と闇の複合魔法である重力操作も使われていた。まだ重力の大きさを3分の1にまで減らす事しか出来ていないが。
また、崖の上に上がってきたソラの服は、半分近くが血で汚れていた。何十体ものゴブリンの首を斬り飛ばしていたのだから、当然だろう。
「まあ、数は多かったしね」
「その服はもう駄目かな〜」
「それは勿体無いし……そうだな……クリーン」
ソラがそう唱えると、服に付いた血が剥がれ落ちていく。これは汚れと判断した物を分離させる魔法であり、洗剤の仕組みからヒントを得た物だ。
「こんな事も出来るのね」
「……便利だね……」
「フリス、そう落ち込むなって。それにしても、弱いくせに数だけは多かったな」
「集落だしね。そのせいで、処理も大変だけど」
「この崖ごと崩しちゃう?」
「それをやると、何かマズイ気がするな……普通に燃やすか。壁は氷だし、そのうち溶けるだろ」
「またフレイムストームでも使うの?」
「いや、違うのを使うよ。強い奴と戦うことになったら、手札は多いに越したことは無いからな。」
「それはそうだけど、ソラより強い敵なんて居るのかな?」
「普通に居るだろ。今、その話はおいといて、フレイムサンダー!」
そう唱えると同時に、ソラ達の目の前に赤い球が浮かび、そこから赤い雷が落ちる。
赤い雷は谷の底で触れた物を消し飛ばし、燃やしていった。
「これも中々壮観ね」
「名前と見た目からして、火と雷の複合魔法みたいだけど……合ってる?」
「正解。簡単に言えば、こいつは雷の性質が混じった炎なんだよ。それにしても結構な威力だな、これ……」
熱を与えて空気をプラズマへと相転移させ、道中の空気の導電率を弄り、地面の電化を負とし、陽イオンを電子の様に操る事によって実現したフレイムサンダー。これは手間が掛かる分高威力であり、ソラの予想を超える程であった。
話している間も落ち続けた炎雷によってゴブリンの集落は跡形も無く消え去り、周りに有った氷の壁も半分近くが溶けていた。
「ねえ、地面が赤くなってるよ?」
「アレ直撃したら、人なんか簡単に消えちゃわない?」
「複合は結構威力の調整が難しいんだよ……人を捕まえるんだったら、雷系で痺れさせれば良いんじゃないか?」
「ウィップとかネットだったら、ちゃんと出来ると思うよ」
「まあ、そんな事が起こるかは分からないけどな」
「それもそうね。それで、これからどうする?まだ午前中だけど?」
「そうだな……適当に寄り道しながらイーリアに帰ろうか。依頼は全部終わったんだし」
「そうしよう!」
「そうね。私もそれで良いわ」
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「ふぅ、ただいまルーチェ」
「あ、おかえりなさい。早かったですね」
昼過ぎに町へと到着したソラ達。そのまま直接ギルドへと来たが、時間のせいかギルド内はかなり閑散としている。
「今日は、ゴブリンの集落が早く見つかったからね」
「ソラ君が1人でやっちゃったんだよ」
「……ソラさんって、本当に人ですか?」
「それ昨日ミリアとフリスにも言われたよ……何でかな……」
「実力がおかしいからです。
そう言えば、今日の朝にソラさん達が行っていた森で、他の冒険者から魔人が出たかもしれないと言う報告がありましたが、あの森で何か気付いた事はありませんか?」
「魔人?そんなのがあの森に居たのか?」
この世界で魔人は、人型の魔獣の中で高い知能を持ち、集落を作る特性を持つ種族の事を差している。人型魔獣でも知能が低かったり、単独行動を好む者は含まない。
上記の特徴を持つ魔獣は他にも何種類かいるのだが、魔人には姿形がバラバラで、能力もそれぞれで違うという特徴もあり、ある程度の系統立ては出来ると言っても、対策が立てづらくなっている。
ランクは最低でもCからであり、身体能力は同ランクの魔獣と変わらない程で、知能が高い分より強い。
尤も、ドラゴン等の高位の魔獣も同じ位高い知能を持っているらしいが。
「姿は見ていないそうです。ですが、森の奥の辺りで大きな音を聞いたそうで、その音の方向に向かったら、谷の底で大きな氷の塊と焦げた地面を見付けた、との事です。聞いたことはありませんが、もしかしたら魔人同士で争っていたのかも……」
「……ねえ……」
「……それって……」
「……間違いないな……」
「何か知っているのですか?」
「それやったの俺だから」
「はい⁉︎」
「丁度そこにゴブリンの集落が有ったんだ。氷の壁は逃さないように囲んでいたやつだし、焦げた跡はゴブリンを燃やした魔法の余波だ。魔人じゃないから安心して良いぞ」
「そうなんですか……人外認定しても良いですか?」
「俺なんかよりもSSSランクの冒険者の方が人外だろ」
「さあ?私、会ったことが無いので」
「だったら俺を人外にするな。
そんな事はいいから、早く鑑定をしてくれ。……これだから」
「今日も多いですね……お待ち下さい」
カウンターの上に山程乗せられた魔獣の一部。血が残っている物もあるが、下は樹脂で覆われている為問題無い。
「……ソラさん……」
「Cランクに上げるのか?」
「当然です!普通のゴブリンだけでも134体も居るのに、上位が16体って多すぎです!潰した集落絶対1ヶ所じゃ無いですよね!」
「2ヶ所だな。もう1ヶ所、偶然帰りに見つけたから俺だけで潰したぞ」
「他にも倒した数が多すぎますよ……今日は……
ゴブリンは依頼7つで8000G、余剰分は97体で19400G。
上位ゴブリンは16体で32000G。
トレントは依頼1つで1000G、余剰分は6体で1320G。
ポイズンスネークは依頼2つで1800G、余剰分は9体で2070G。
シャドウウルフは27体で6750G。
ソードラビットは依頼1つで900G、余剰分は16体で2080G。
ハンティングビーは16体で2880G。
スレッドキャタピラは9体で1800G。
合計は8万Gです。
……昨日は3万Gでしたし、稼ぎすぎじゃ無いですか?」
「囲まれた時はミリアとフリスも倒してるけどな。それに、進んで行く先に大量の魔獣が居るだけだ。俺のせいじゃない」
「全て倒しているのはソラさんでしょ……
もう良いです、早くギルドカードを下さい。Cランクに書き換えます」
「分かった……これだ。因みに、Cランクになると何か変わるのか?FからEじゃ殆ど変わらなかったが」
「DランクとCランクは表が鉄になりますね」
「銅を取るのか……いや、追加するのか?」
「銅を取った後に、表面用の鉄を追加します。裏よりは綺麗ですよ」
「そうか。まあ良いや、早くやってくれるか?待っているから」
「人使いが荒いですね……では、しばらくお待ちください」
「……ルーチェ、大丈夫かな?」
「……ソラ君のせいで病気にならなければ良いんだけど……」
割と自己中なソラであった。