表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界成り上がり神話〜神への冒険〜  作者: ニコライ
第4章 絶望と希望と新星と

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/217

第1話 湖都レマン①

「明けまして」

「「「おめでとうございます」」」


紋付袴と留袖、和服で最上級の正装をしたソラ達。


「まあ、こっちは明けてからかなり経ってるが」

「ソラ、そういうこと言わないの」

「おめでたいことなんだし、良いんじゃない?」

「でも、なんで夜中にこんなこと言うのよ」

「なんでって……ああ、ベフィアに時計は無かったな」

「とけい?」

「……後で説明する」

「相変わらず変わらないな、ソラは」


そこへ来たのはバルク、後ろにはマリーもいる。


「よお、バルク。久しぶりだな」

「久しぶり、ソラ……だが何で俺とマリーまで出てるんだ?」

「俺達が2人だけの転生者だからだろ」

「他にいるかもしれないだろ」

「見つかってないんだから仕方ないじゃないか」

「まったく……ならメルとアルのお年玉寄越せ」

「良いぞ、ほら」

「サンキュ、って銀貨かよ!高えよ!」

「ああ、そうだな。じゃ、変えるか」

「鉄貨なら良いな……って、これ夢みたいなものか?」

「恐らくは。ついでに、起きた時には覚えてないと思うぞ。ベフィアの正月は大分前だしな」

「そんなことぶっちゃけるなよ……」


改めて、3人は姿勢を正し……


「さて、改めまして」

「今日は1時間ごとに10時まで連続投稿されるよ〜」

「本年も今作品を」

「「「よろしくお願いします」」」


作者からも、よろしくお願いいたします。





「寒いわね……」

「何でソラ君は平気なの?」

「まあ、これくらいなら毎年普通に経験してたからな」


今までの町とは異なり、この辺りは寒い。ベフィアの冬は大半が比較的暖かく、過ごしやすいのだが、一部は異なる。この辺りはその場所だった。

周りの森は木は針葉樹が多く氷柱(つらら)もあり、土の下には霜柱(しもばしら)がいくつもできていた。


「川って凍るんだね」

「多分湖も凍ってるぞ。乗れるくらいにはな」

「えっと……どういう状態なのよ?」

「まあ、見れば分かるか」


川も表層が完全に凍っていた。最初これを見た時はミリアもフリスもかなり驚いていた。真っ白い謎の線が続いていたのだから仕方が無いだろうが。

だが、何故か雪だけは見当たらない。


「雪が無いのが不思議だが……最近降ってないんだろうな」

「雪ね。ほとんど見たことは無いけど」

「雪遊びって楽しいのにね。なんでかな?

「いろいろと理由はあるだろうさ。魔法でだって簡単に作れるわけじゃ無いしな」

「へえ、こんなものまで作れるのね」


ソラは氷魔法を利用して雪を作り出す。氷の塊と比べれば難易度は高いが、これくらいのことも大分できるようになってきた。


「因みに、大きくするとこうなるぞ」

「わあ……」

「綺麗〜」

「ま、そうだな!」


そしてソラは雪を固めて大きな結晶を作り出す。資料で見た映像そのままなので少し間違っているかもしれないが、そう問題は無い。

そんな中でソラは振り返り、雪の結晶を投げる。結晶は真っ直ぐ速く飛んでいき……


「あ、当たったわよ。頭に直撃ね」

「あの魔獣、見たこと無いね」

「ああ、デカいトカゲだな」


全長2mほどのトカゲの頭に突き刺さり、脳まで到達したのかこれだけで動かなくなった。硬く凍りつかせた氷は鉄並の強度を持つと言われるが……ソラの加工のおかげ(せい)で、ナイフ並の切れ味を得たようだ。

見たことが無い種類の魔獣だったが3人は気にせず指輪に収納する。すると、少し離れた場所に壁らしきものが見えた。その近くには白い平原らしきものもある。


「あ、あれが町じゃないかな?」

「そうみたいね。それよりも……」

「反対側が見えないね」

「デカい湖だな。琵琶湖並か?」

「びわこ?」

「前の世界にあった湖の名前だ。こうなるなんて聞いたこと無いけどな」

「あれって、湖なのよね?」

「ああそうだ。凍ってるんだろうな」

「あんなに大きいのに凍るんだ……」

「寒いし、十分あり得る話ではあるか。それよりも、早く行くぞ」

「ええ」

「うん!」


寒い中ようやく見つけた町だからか、ミリアとフリスのテンションは高かった。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー









「綺麗ね」

「すごーい!」

「氷像か。凄いな」


見つけた町、レマンへ入ったソラ達。そこの大通りを歩いて行くと、たくさんの氷像がある広場に着いた。氷魔法で作られているのだろうこれらはとても緻密で、今にも動き出しそうな臨場感があった。


「魔獣と冒険者……ん?冒険者は全部同じか?」

「そういえば……そうね。同じ5人ばかりだわ」

「何でかな?この女の人がリーダーみたいだけど……」

「何かこっちに書いてあるな」

「えっと……勇者?」

「あ、そっか。冒険譚にあった場面だね」


全部で12ある氷像群は全て冒険者対魔獣、細かく言えば先代の勇者達を主人公としたものであり、冒険譚として有名な場面ばかりだ。

なお問題の勇者らしき女性、今のソラ達よりは年上のようなのだが……


「……召喚されても日本人とは限らないのか?やってることは日本人っぽいんだが」

「日本人って、ソラもなのよね?」

「そうなの?」

「ああ。なんだかんだ言って争いごとは嫌いだし、お人好しも多かったりするからな。人同士で戦っているなら止めようと思うさ」

「ふうん。ソラは?」

「俺か?無意味な殺し合いは無くなってほしいな。俺は戦いは好きだが、殺し合いが好きってわけじゃない。手を取り合って発展できるのなら、そっちの方が良いさ」

「結局、ソラもお人好しなのね」

「まあな。だが、自分で理解してるなら悪いことじゃない。2人とも似たようなものだしな」


顔は完全にヨーロッパ風である。ベフィアの言語が日本語であるため、てっきり日本人だと思っていたソラだが、もしかしたら違うのかもしれない。

なお、西洋人は個人主義が強いためお人好しは悪く言われることも多いが、人と人が互いを理解し合うためには重要なパーツとなる場合もある。その日本人の特徴が良い面で出されたのが250年前のベフィアであった。

もちろん戦略的にも重要なことなのだが。


「これが聖剣だね」

「ああ、多分そうだな。普通なら実用する剣にこんな余分な装飾はつけない」

「そういう判断の仕方なのね……ソラらしいか」

「そうだね〜」

「……微妙に(けな)してないか?」

「仕方ないでしょ?ソラは知らないことも多いもの」


ベフィアのみに存在する常識には(うと)いため、ソラがこういった判断をするのは仕方がないと言える。ミリアとフリスもこんなことでソラを本気で悪く言ったりはしない。

しばらく氷像を見て楽しんだ3人は広場を離れ、食事処を探す。露店がほとんど無いため、ソラ達は近くにあったロシア料理の店に入って食事をした。選択自体は適当だったが大当たりで……


「美味しかったね!」

「ああ、冬に食べるには良いな」

「それじゃあ、作れるようにならないといけないわね」

「ミリア自身気に入ってるんだろ。それに、冬以外でも俺は気にしないぞ」

「じゃあ、夏に作ろうかしら」

「良いぞ」

「良いの⁉︎」

「……本気、なのよね?」

「当然。暑い時に熱いものってのも中々良いからな。冷たいものばかりだと体力も落ちる」

「ああ、それもそうね」


ソラの言うことはもっともだが、夏に熱いボルシチを食べるのはどうなのだろうか?

店を出た3人は適当に通りを歩いていたが、気になることを見つけた。


「ねえ、ソラ、フリス?」

「え?……あの人達、町の外に?」

「出ていってるな……行ってみるか?」

「ええ、気になるもの」


町の外へ向かう人の流れがあったのだ。その流れについていってみると、人がどんどん増えていく。更に、町の中では見なかった露店も出てきた。


「露店、こんな所にあったのね」

「何でかな?」

「この先で何かやってるからじゃないか?イベントとかそのあたりが」

「町の外なのに大変だね」

「兵士もいるみたいだけど……」

「警戒は少なくても大丈夫みたいだな」

「そうなの?」

「ここは見晴らしが良いし、吹きっ晒しだからな。下も岩場で浅いようだし、ほとんど近寄れないさ。もし来たとしても、すぐに分かる」

「ふーん」

「まあ、こういうことを俺達は気にしなくて良いだろ。それよりもこの先が気にならないか?」

「うん!」

「それは確かね。行きましょうか」


まるで通りのように並んだ露店群を抜けた先、そこでは大勢の人が氷の上を滑っていた。


「なるほど、スケートか」

「スケートって……これ?」

「刃をつけた靴を履いて、氷の上を滑るってスポーツだな。俺は結構好きだぞ」

「へえ、面白そうね」

「やってみるか?」

「うん!」

「ええ」


このリンクは湖の一部、そこの表面を削り、水をかけて綺麗にしたものらしい。大きな物の直径は100m以上あり、数百人もしくは千人以上が同時に滑れるだろう。

ソラ達はスケート靴を借りて履き、小さめの初心者用リンクに出たのだが……簡単に滑れるわけが無い。


「む、難しいわね」

「まあ、仕方が無いか。慣れればできるぞ」

「そう言っても、きゃあ⁉︎」

「おっと、大丈夫か?」

「え、ええ……」


いくら運動神経が良かったとしても、初心者がそう簡単に滑れることはできない。

ミリアは立つことすらままならず、時折ソラに支えられていた。フリスも似たようなもの、というかこちらの方が大変ともいえる。


「うわぁぁ〜」

「フリスったら……」

「よくあることとはいえ……何でアレで楽しんでるんだか」


フリスは背中で滑っていた。ソラが目を離した時に転んだのだろうが、むしろこちらの方が上手く滑れているのはどうなのだろうか?


「ほら、大丈夫か?」

「うん、ありがと」

「ちょっと、ソラ!そんなに離れないでよ!」

「まったく。フリス、このまま連れてくぞ?」

「うん、お願い」


そんな2人に教えるソラは、かなり自由に滑れている。流石にジャンプやスピンはできないが、転んだフリスを起こしてそのまま引っ張っていく程度は造作もなかった。


「上手だね」

「まあ、住んでいた家の近くにスケート場があったからな。友達も誘ってよくやってた」

「バルクさんも?」

「ああ。競争とかもやってたな」

「速いの?」

「まあまあだな」

「見たいな〜」

「いや、やめた方が良いだろ。他の人だっているんだし」

「避けなさい」

「無茶振りだな。まあ、やれなくもないが」

「じゃあやって!」

「まったく……当たらないように安全第一で行くからな」


この町の人もいるがここは初心者用リンクである。もとから高い身体能力と反射神経を持ち速かったソラが、身体強化という反則級の技法を得たのだ。滑っている人達をしっかりよけ、次々とゴボウ抜きにしていく。そして急ブレーキをかけ、ちょうど1周した所で止まった。


「とまあ、こんなものだ」

「……速すぎよ」

「俺自身ここまで出せるとは思ってなかったからな。結構驚いてる」

「今の、戦う時に使えない?」

「下を凍らせて滑ろってことか?力も入りづらいし連携もしづらくなるぞ?」

「結果は?」

「弱くなる」

「……それじゃあ駄目ね」


このスピードは魅力的かもしれないが、できるのは精々機動砲台程度だ。普通なら十分だが、ソラは弱くなってしまうのだから意味はない。

無茶振りをして気が済み、しばらく練習に専念する2人。両方とも運動神経が悪いわけでは無いので……


「ソラ、どう?」

「綺麗に滑れてるな」

「ソラ君!」

「ああ、フリスも上手いぞ」


ミリアもフリスもかなり上手く滑れるようになった。真っ直ぐ進むことなら簡単にできている。もっとも、ソラは後ろ向きに進んだり、2人の周りを回ったりしているため、比べてしまうとどうしても初心者となってしまうのだが。


「じゃあ、大きい方へ行くか」

「うん!」

「日が暮れるまで滑るわよ」

「はは。良いな、それ」


そしてその後はミリアの宣言通り、3人は日が暮れるまで大きなリンクの上で踊り続けた。






更新してない期間もPVが毎日1000前後あるのは何故なのだろう……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ