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異世界成り上がり神話〜神への冒険〜  作者: ニコライ
第1章 異世界放浪記

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第28話 襲来

「大群だって⁉︎どんな規模だよ⁈」

「そんな……」

「町の防備は⁈防衛兵器はどうなってるんだ⁉︎」

「あんたは何か知らないのかよ!」


騒然を通り越してパニックとなった冒険者ギルド内の面々。受付嬢や訪れていた依頼人はおろか冒険者達までもが混乱に陥っており、一部を除いてまともな状態では無い。伝えた兵士に当たっている者もいるほどだ。

だが周りが慌てる中、ソラ達は冷静に考えることができていた。ソラはこれが地球のライトノベルで良く有った展開だからであり、ミリアとフリスはソラが落ち着いているからである。夫婦は相手に振り回される者も多いが、逆も然りか。


「魔獣の襲撃……増えてた理由はこれだな……ミリアのフラグが回収されたか……」

「明らかに(けな)されてる感じなんだけど……まあ、良いわ。それよりも、どうする?」

「今すぐ出て行って、攻撃する?」

「それはまず不可能だろ。そんなこと「分かってるよ」……分かってるなら言うな。恐らく、都市の防衛は兵士や騎士達が中心に、冒険者は遊撃あたりになるだろうな。多分、ギルドマスターが出てきて……お、丁度だったか」


ギルドのカウンターの奥、2階に繋がる階段からギルドマスターらしき男性が下りてくる。白髪茶眼の人間で、優しいお年寄りといった感じなのだが……


『静まれ!』

「「「「「っ⁉︎」」」」」

「……耳が痛い……」

「……声大き過ぎよ……」

「うう……」

「あ、す、すまん……」


混乱状態だった冒険者達を鎮める為とはいえど、すぐそばで爆音を発せられれば、物理的に耳が痛くなるのは当然だ。カウンター近くのテーブルにいたソラ達は、想像以上の大声を出したギルドマスターの影響をもろに受け、耳を押さえて机に突っ伏していた。

だが、他の冒険者達は大人しくなったため、本来の目的は果たせている。


「そこの兵士、騎士団はどうしてる?」

「はっ、既にシャルロンテ様が軍を動員しております」

「やはり早いな……詳しい事は打ち合わせの後か。恐らく、冒険者は遊撃を行う事となるだろう。明日までに準備をしておけ。おい、儂が行くとシャルロンテの奴に伝えてこい!」

「り、了解!」

「良いな、もう慌てるんじゃないぞ」

「「「「はい!」」」」」

「凄いな……直ぐに纏めた」

「あの人なら当然だ」


すぐさま自分が行うべき事をし、冒険者達にも行動の指針を与えたギルドマスターの手腕に感心するソラ。そこへ1人の冒険者の男がやって来て、話しに乗った。


「何で?」

「ギルドマスターは元騎士だからな。冒険者から騎士の中隊長、大隊長になって、引退後にギルドマスターに就任したって形だ」

「成る程、引き抜かれるぐらい優秀だったんだな」

「お陰でこっちも楽だよ。君達はこの後とうするんだ?」

「まあ、とりあえずは買い物だな。薬とかを補充しないといけないし」

「それが妥当なところか。じゃ、頑張れよ」

「ああ、そっちもな」


少し会話をした後、冒険者の男は離れていった。他に4人の仲間らしき人達と合流し、外へ出て行く。

周りを見てみると、冒険者達は打ち合わせで残るか外へと出て行くかの2択の内、後者の方が多かった。打ち合わせがそんなに意味を持っていないというのもあるのだろうが……


「さて、行くか」

「でも、混んでそうね」

「それは仕方がないよな……」

「待つのは嫌だよ〜」

「文句を言わないの」


ソラ達も町へと出て行った。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー










「これは向こうだ!こっちじゃ無い!」

「それは南に持っていけ!」

「お前ら邪魔だ!家に引っ込んでろ!」

「ああ、終わりだ……」

「神よ、我らをお救いください……」

「年寄り共!絶望するなら家でやれ!」

「死にたいんだったら町から出ろ!」

「親父、これだけくれ」

「あいよ、待たせて済まないねぇ」

「ソラ君……」

「周りのこと気にしないのね……」

「気にしたって仕方がないだろ」


町の中は大騒動となっていた。物資を持った兵士や馬車を引き連れた商人、手押し車に荷物を満載して運ぶ人等が走り回り、勝って生き残るために働いているのに対し、お年寄りの中には通りの真ん中で祈りだし、他の人々の邪魔をするなど、相当雑多な状況となってしまっている。

こうなったのは都市の間の距離が長いので逃げ出すことができず、門から出る方はそこまで混んでいなかったのに対し、逆に村々から来て町へ入ってくる人は多かったからだ。急激な人口の増加に、衛士達の整理が追いついていないのである。

そんな中ソラ達は薬屋へと入り、魔法薬などを買っていた。その前にも食料や水などを買い、万が一の時の為に行動する。周囲の喧騒はソラのみ完全に無視していた。


「そういえば魔獣の軍勢って、魔人が率いてるんだったよな?」

「そうらしいわね。本当かどうかは知らないけど」

「ハウルで読んだ本に書いてなかったっけ?」

「書いてあったと思うんだがな……魔人じゃなかったとしても、知恵のある高位の魔獣なのは間違いないか」

「どうして?」

「軍勢って呼ばれるくらいの規模だと、単一種族だけじゃ足りないだろ?複数種が混ざってるなら指揮してる奴は強いはずだ。もしかしたら魔人には何らかの特殊能力があるのかもしれないが……」

「特殊能力ね……魔獣を自由自在に操れるなんて考えたくも無いわ」

「だが、可能性は高くないか?ある程度の制限はあるとしてもな。まあ、これなら弱点が分かったな」

「弱点?」

「魔人が操ってるなら、魔人を殺せば軍勢は崩壊するんじゃないか?」

「あ」

「そういえばそうね」

「流石に被害が大きくなれば撤退するとは思うが……念のため覚えておいてくれ。万が一の時はな。……ん、何だ?」


地球での現代戦において情報が大きな価値を持っている事を知っているソラは、仮定だとしても馬鹿にしない。間違っていると実証出来ない限り有効性はゼロでは無く、活用できる可能性があると思っているからだ。

そんな中、通りの途中に何やら他とは異なる人の集まりが出来ていた。そこに集まっているのは大半が武装しており、1つの木の札に注目している。


「あれ?高札(たかふだ)?」

「えーと、なになに……魔獣の軍勢はゴブリン・コボルト・シャドウウルフが中心で、少数ながらオーク・オーガ・ブラウンウルフも確認、か。空を飛ぶ連中がいないのは良かったな」

「そうね。でも、問題は数よ」

「多過ぎたら無理だよ……」

「そんな時でも、俺は命を懸けて2人を守るさ。死ぬつもりは無いがな」


典型的な死亡フラグはきっちり回避するソラ。……回避できたのかは微妙だが、この2人はソラに賛同しなかった。


「ソラだけが守るんじゃないわよ。3人が一緒じゃないと意味ないでしょ?」

「わたし達だってソラ君を守るんだから」

「ミリア、フリス……ありがとな」


この後殺気立っている町の中でも、ソラの周りだけやけに殺気が強かったそうだ。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー










『軍が門前を固める!冒険者達は自由に動いてくれ!』

『だが無理はするな!休息は兵士同士の空いている隙間から下がってしろ!』

『良いか!魔獣共に町を指一本触れさせてはならん!ここで撃退するぞ!』

「「「「「おおー!!」」」」」


翌朝、魔獣の軍勢の迫るフリージアの南門。そのすぐ前には兵士達が陣取っている。5つの集団に分かれ、前半分が長槍を持ち、集団密集戦法(ファランクス)を取っている。後方には剣や持つ兵士がおり、その更に後ろには様々な武器を持った騎士達が最後の砦となっていた。

そして兵士達の前には冒険者達が散らばっており、遊撃として個々の判断で動くこととなっていた。……なぜか一部の騎士もここにいるのだが。彼らの役割は自分達が死なないようにしながら、周りの魔獣を狩ることである。

そんな集団の最も南、一番最初に魔獣と対峙すると予想されている場所にソラ達は陣取っていた。ソラ達が来るまで他の面々は中々前に出ようとしなかったが、彼らは一直線に前へと出て行った。狼系がいることを除けば鬼の間での大襲撃と同じであり、後ろがいる分まだ楽だと判断したのだ。


「士気は高いな」

「高い方が良いわよね。逃げ腰だと私達が危険だし」

「そうだな。ちなみに壁の上にあるのは……バリスタと大砲、あとあれは投石機か。他にも2つあるが……なんだ?」

「噂でしか聞いたことが無いけど、魔法矢と魔道砲ね」

「最近開発された物だよ。数は少ないみたいたけど、強いんだって」

「なるほど。まあ、ある程度期待はできそうだけど、最後はここでやらないとな」

「そうね。アレだけで全部抑えれる訳がないし」


町を囲む壁の上には弓矢を持った兵士や騎士、領主に仕える魔法使い達がいる他、防衛兵器が存在している。地球にも存在していて、このベフィアでも有名な物の他に、最近開発された2種類の物もあるようだ。それぞれバリスタと大砲に似ているのだが、バリスタには存在しないレールらしき物が有ったり、大砲の周りに幾つも魔水晶らしき物が付いていたりしている。

これだけの防衛兵器があれば人同士の(いくさ)ならば籠城という選択肢を選ぶこともできるのだが、魔獣相手では下策である。魔獣は怯えや恐れが人と比べてかなり少ない。更にゴブリンであろうと大の大人並みの力はあり、オークやオーガともなれば生半可な門は一撃で破られてしまう。数を減らしたとしても撤退する保証は無いし、門に取り付かれてしまえばかなりの被害が出ることが確定している。それ故に、このような布陣が取られるのだ。


「因みに、何で1番前にしたの?」

「ああ、ここならどれだけ前に魔法を撃っても問題ないだろ?」

「そうだね〜」

「……まあ、ソラだしね」

「なんだよ、その感想は」


実際、ソラとフリスの火力を最も活かせるのがこの場所であった。






連続更新はここで終了です。この後は出来次第投稿する形となります。

これからもこの作品をよろしくお願いします。

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