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異世界成り上がり神話〜神への冒険〜  作者: ニコライ
第1章 異世界放浪記

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第19話 自治都市フリージア①

「ここも広いな」

「人は王都の方が多いらしいけど……活気はこっちの方が上ね」

「美味しそうなお店がいっぱいだ〜」

「それは後だ」

「ええ〜」

「文句を言わないの。初めて来たんだから、宿とかの場所を見てからよ」

「まあ、今は昼過ぎだし、後で食べる時間もあるだろ。我慢しとけ」

「はーい」

「私の時も聞いてくれれば良いのに……」


フリージアへと到着した3人。ソラの言う通り昼過ぎなのだが、簡単につまめる物を中心として、屋台や出店がある。フリスはいつも通り食べたそうにしているが、ソラとミリアに制されていた。


「聞いてた通り、亜人が多いんだな。……エルフや獣人だけじゃなくて、竜人や翼人、ダークエルフに……あれは半魚人か?」

「確かに、多いわね……ここまでとは予想してなかったわ」

「そのお陰で色んな食べ物があるんだよね!」

「フリス、食べ過ぎると太るぞ……あ」

「ソラ、女の子に太るって言うのは厳禁よ?」

「傷付くんだからね……」

「……はい、すみません」


食い意地を張るフリスに対してソラが禁句を発する。ある意味、通過儀礼とも言える出来事により、ソラは2人に奢る破目となった。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







「終わりだ!」

「あー、取られちゃったわね……」

「惜しかったのに〜」

「ま、勝負してたんだから仕方がないだろ?」

「そうよ。それにしても、オークがこんなに群れてるなんて珍しいわね」

「そうだね……30体は越えてたよ」

「正確には34体だな……何でここでも多いんだ?」

「さあ?私達が知るわけないわよ」

「まあ、そうだよな」


翌日、冒険者ギルドで依頼を受けたソラ達は、近くの森の中へと来ていた。依頼内容はオーク5体の討伐だったのだが、1番最初に遭遇した群れが大きかった……もっとも、3人には競争できるほどの余裕があったのだが。


「というか、イーリアの時からずっと多かったな」

「そうね」

「……何かあるのかな?」

「止めてくれよ、不吉だ」

「そうよ。まあ、この程度なら問題無いでしょうけどね」


(……ミリア、それはフラグだ……回収されないことを祈るか……)


「さて、この後はダンジョンの情報収集で良かったよな?」

「そのつもりだったでしょ?」

「フリージアには、確か2つあったよ〜」

「踏破済みと未踏破か……踏破済みの方にしないか?」

「私はどっちでも良いけど……どうしてよ?」

「ただ単に、情報を集めやすそうだと思っただけだ。その後で未踏破の方にも行けば良いだろ?」

「それで良いんじゃない?」

「そうね、そうしましょ」

「それじゃあ、ギルドに行くか」


早めに森から出たソラ達は、予定通りダンジョンへ挑む準備を始める事とした。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








「……っとまあ、こんな所だ」

「あそこは初心者用だし、さっき言った事に気をつけてれば問題ないでしょ」

「ありがとうございます。御礼はこちらで」


フリージアの冒険者ギルドの一角、そこでソラが相対しているのは、背中から紫の翼を生やした茶髪青眼の翼人の男性と、身長15cm程で背中から4枚の半透明な羽を生やした緑髪黄眼の妖精の女性だ。彼らは翼人4人妖精3人でパーティーを組んでいるそうで、ソラ達が挑もうとしているダンジョンーー林環に籠ることが多いらしい。

そして、林環の情報の話が終わったところだ。


「どれだけ……っておい!銀貨じゃねえか!」

「あたい達としては嬉しくけど……大丈夫なの?」

「これでもBランクですから。無理な金額じゃありません」

「B⁉︎俺達より上かよ」


ソラが提示した金額とランクに驚く2人。当人達からしてみれば、若いのにも関わらず、自分達以上というのだから、それも無理はないだろう。


「これだけくれるんだし、とっておきの情報を教えてあげる」

「あれか……まあ、こいつなら問題ないか」

「何ですか?」

「林環の5層目なんだけど……」

「……なるほど、今のタイミングで言う理由はありますね」

「知ってる奴は少ないからな。お前もあまり教えるなよ?」

「パーティーメンバー以外に話すつもりはありませんよ。では、これで」

「ああ、頑張れよ」

「死なないようにね〜」


別れたソラはそのまま、離れた所のテーブルへ行く。ギルド内はかなり広いため、先程の2人に気にされることは無いだろう。

テーブルに近付いていくと、相手側も気付き、声を掛けてきた。


「どうだった、ソラ?」

「上手く丸め込めた、特ダネまで貰えたぞ。そっちは?」

「残念ながら外れよ。浅い階層の話しか出なかった」

「わたしはミリちゃんよりマシだけど、似たようなものだったよ〜。でも、ボスの話はあったね」

「俺の当たった人達が親切だったって所か。まあ、特ダネ以外はそこまで重要じゃなかったが、深い所まで聞けたぞ。ボスには挑んでなかったらしいが、フリスのお陰で助かったな」

「じゃあ、対策とかしましょうか。今回も、ボスを狙うのよね?」

「そのつもりだ。寄り道もするがな」

「それって特ダネの事?」

「ああ、2つの意味(・・・・・)で良い稼ぎ場だ」

「へえ、楽しみね」

「本物見てみたいな〜」


楽しみな情報を持ちつつも、あくまでも安全第一な行動決定をする。それが基本的なソラの行動原則であり、ミリアとフリスにも共通する部分であった。

3人は時間をかけて情報を統合し、その上で出来うる限りの対策を立てていく。この時点で何らかの不確定要素が存在し、それが解決出来なさそうであればダンジョンへ潜るのを止める予定であったが、今回は存在しなかった。


「……と、こんなものか」

「ここも大丈夫そうね」

「大変な所もありそうだけど、わたし達なら問題無いよ!」

「油断はするなよ?それに、鬼の間には無かったアレ(・・)もあるからな」

それ(・・)なら私が何とか出来そうよ」

「本当か、ミリア?」

「ええ。イーリアにいた時に先輩に教えてもらったし、上手くいったから」

「凄かったんだよ。その先輩も驚いてたしね」

「じゃあ、頼むぞ」

「任せて」


ソラは行き当たりばったりを嫌っている訳では無いが、可能な限り想定外を無くそうと努力する。不良を狩っていた時に得た教訓は、ベフィアでも生かされていた。








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