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異世界成り上がり神話〜神への冒険〜  作者: ニコライ
第9章 束の間の平穏

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第6話 学術都市ステイド②




「で、こっちの通りがこう繋がってて……」

「ここは人が増えそうね。上手に回りましょう」

「じゃあ、こうやって裏から行く?」

「そうだな、それが良いだろう」

「んじゃ、ここはこう行った方が良いんじゃねぇか?」

「ですね。なら、そこはこういう風に……」

「じゃあ、ここはこうで……」

「なら、こうしたらどう?」

「あの、今さらかもしれませんけど……」


楽しそうというか、面白そうな顔をしながら地図を見ているソラ達に対し、ジュンは言葉を告げる。今さらではあるのだが……こんなことをしていて大丈夫なのか、という疑問もあるのだ。


「何で文化祭の警備なんてしてるんですか?」

「ちょうどギルドに依頼があったからだろ?」

「警備だけど、半分お客さんみたいなものだよ」

「入校審査が短いのが良いわね」

「ですけど……」

「楽しそうなんだから良いじゃねぇか」

「楽しみましょう」

「そんなに難しく考えないでよ」

「警備と言っても、実際の仕事はあまり無いそうだから、楽しんだ方が良いし」

「味方はいないのか……」

「ジュン、諦めちゃいましょ」

「……そうだね」


イジられるのに慣れてきたのか、ジュンもリーナも反応が薄くなっていた。それはそれで構わないのだが、ソラ達としては面白く無い。

なので、次のイタズラを行う。


「始まったら、この人数で進むのは難しそうだな……いくつかのグループに分かれるぞ」

「確かにそうだな」

「絶対無理そうです」

「俺はミリア、フリスと一緒だな。ジュンはリーナと一緒に回れ」

「え⁉︎」

「ちょ!」

「トオイチ達は4人で良いか?分かれても問題無いだろうが」

「いや、4人で行くぜ。なあ?」

「もちろんです」

「良いよー」

「はい」

「まあ、そういうことだ」


ある意味思いやりとも取れるが、当人達にそのつもりは無かったりする。さらに……


「ああそうだ、はぐれないように手を繋いでおけよ」

「はい⁉︎」

「えぇと……」

「じゃあ、頑張れ」


ついでとばかりにもう1つ、爆弾を落としていった。

何か言う前にソラ達もトオイチ達も去ってしまい、その場には呆然とした2人だけが残る。


「その……リーナ?」

「な、何……?」

「手、繋ぐ?」

「……ええ」


目線を合わせられずに聞いたジュンに対し、リーナは顔を赤くして俯きながらそう答える。そんな2人が……見逃してもらえるはずもない。


「ねえ、どうなるかな?」

「さあな。ただ、面白いことになってくれた方が良い」

「そんなに進むとは思えないわよ?」


分かれたフリをして、ソラ達はジュンとリーナの監視を行なっていた。立派なストーカーである。

ただし、共犯がいるとそういうことに思い至らないのかもしれない。


「トオイチ達も上手くやってるな」

「アレだと簡単に気づかれちゃいそうだけどね」

「いや、ジュンとリーナにそんな余裕は無い。問題無いだろ」

「そう?」

「ああ」


ソラ達の言う通り、トオイチ達は3人とは違う場所からジュンとリーナを追いかけている。ソラ達と比べてると雑というか、ソラと比べれば子どものような気配の消し方だが、上手くいっているのだから大丈夫だろう。


「さて、あとはあの2人がどう動くか……」

「楽しみだね」

「少しは進んでくれると嬉しいんだけど」


そうして、楽しんでいる2組計7人。ただ、中心となっている当人達はそんなこといざ知らず、2人だけでの会話を続けていた。


「ねえ、リーナ」

「どうしたの?」

「こんなことをしていて、大丈夫なのかな?」

「え?」

「もう王国に入ったんだから、王都へ向けて急いだ方が……」

「考えすぎよ」

「え?」

「急いでほしいなら、父上が催促するわ。それが無いなら、問題無いってことよ」

「そっか……そうだね」


ジュンは気づいていないようだが、この会話の間にリーナは1回もジュンの顔を見ていなかった。だが意を決したのか、今度は顔を見て話しかける。


「ねえ、ジュン?」

「何?」

「もう少しで開場だから……もうちょっとくっついても良い?」

「……え?」

「その……ダメ?」

「いや、えっと、その、良い、よ」

「……ありがとう」


リーナは顔を赤くしながらも、ジュンの腕を抱きしめる。ジュンはそれに驚きつつも、嫌がることは無かった。

覗き見ていたソラ達も、この変化には驚く。


「お?」

「面白くなってきたね」

「積極的になったみたいね」

「かもしれない。けしかける前がどうだったかあまりよく知らないが……」

「ううん、凄く嬉しそうだよ」

「多分、間違いないわ」

「やっぱり、そういうのは2人の方が鋭いな」


こういうことは男より女の方がよく気付く。そういうものだった。

そうしているうちに開場し、来場客が増えていく。それによって、ジュン達の姿も確認しづらくなっていく。どうやらトオイチ達は見失ったようだが、ソラ達はちゃんと追跡を続けていた。


「ねえジュン」

「何?」

「あーん」

「え、え?」

「もうやったでしょ。あーん」

「あ、あーん……」

「うん、じゃあ私にも」

「え⁉︎」

「ほら、あーん」

「あ、あーん……」

「うん、美味しい」


もはや隠すつもりが無いのか、リーナは積極的に行動していた。こうなれば、ソラも間違えることは無い。積極的に楽しむだけだ。


「さて、少し引っ掻き回してみるか」

「何をするの?」

「危ないことはしちゃ駄目よ?」

「大丈夫だ。ちょっとしたトラブルでしかない」

「本当?」

「ああ」


そう言った時、ジュンとリーナの横を1台の馬車が通った。そしてその荷台にて、荷物を括っていた縄が、ゆっくりと(ほど)ける。


「あ⁉︎」

「危ない!」

「逃げて!」


それらの荷物は地面に落ち、ただ壊れるだけ……そのはずだった。


「え……?」


丁度真下に、リーナがいなければ。


「この……」

「リーナ!」


間一髪、ジュンがリーナを抱きかかえて跳び去り、被害者はゼロで済んだ。槍を出して迎撃しようとしていたリーナからすれば、気を削がれた事態ではあったが、助けてくれたのだから文句なんて言えない。

それよりも……


「ふぅ……大丈夫?」

「え、ええ……あ、ありがとう」

「良かった」

「それで、その……」

「ん?」

「この格好は恥ずかしいから……」

「ご、ごめん!」


両腕で抱きしめられていることの方が恥ずかしかったりする。ジュンはリーナに言われて慌てて離れるものの、その目はリーナから離れない。リーナも顔を赤くしているが、視線はジュンの顔に固定されていた。

2人の体が少しずつ近づいていく……のだが、


「あのー?」

「「っ⁉︎」」


ここは荷運びの馬車が通るように、人通りは比較的少ない場所だ。だが当然ながら、荷が崩れた馬車の御者はいる。


「大丈夫ですか?」

「は、はい!大丈夫です!」

「そ、そうよ!大丈夫だったわ!」

「そ、そうですか?」

「はいそうです!」

「そうよ!」

「わ、分かりました……」


2人は勢いで押し切り、再び歩き出した。なお、リーナが腕に込めている力は、先ほどまでより若干増えているように見える。

だがその一方、ソラはミリアとフリスに詰め寄られていた。


「全然安心できなかったよ!」

「どこが安全なのよ?かなり危険じゃない」

「アレは空箱だ。あの場に他の人物が入って来たとしても、簡単に対象できる。それに、箱は1つも壊れてないだろ?」

「あ、本当だ」

「全て守っていた。元から解けかけていたとはいえ、気づかれないように魔力を使うのは、予想以上に疲れるな」

「でも、やった甲斐があったわね」

「今日中に告白まで行かないかな?」

「というか、今日を取り逃がしたらしばらくタイミングが無さそうだ」


旅をしていて2人きりになれるタイミングなどそう無いので、今日を逃せばハウルまで無理かもしれない。


「問題はジュンか」

「え?」

「あいつがどういう風に覚悟を決めたのか分からないからな」

「確かにそうね。何かこぼしてたりはしないのよね?」

「ああ、トオイチとカズマにも確認を取ってる。あの後から、1人でずっと悩んでいるみたいだ」

「言い過ぎたのよ。リーナはあの通りじゃない」

「リーナは気づかせれば良いだけだっただろ。だが、ああ言わないとあいつは決断できなかった」

「そうかもしれないけど……」

「どのみち、決めるのはジュンだ。多少のお膳立ては関係無いだろう」


ソラ達はそう判断する。どっちにしろ、賽は投げられているのだ。もう見守ることしかできない。

そんなこととはつゆ知らず、2人だけで楽しんでいる監視対象。そんなリーナの目に、1つの展示がとまった。


「ねえジュン、アレって何?」

「あれは……的当て、かな、多分。あの的に当てたボールの数を競うとか」

「やりましょう」

「いや、俺野球とか苦手で……」

「よく分からないこと言わないで、ほら」

「引っ張るなって!」


興味を惹かれたのか、リーナの引きはとても強い。実は戦闘時レベルの身体強化を使っていたりする。

そして、その様子を見て苦笑いの係員(学生)へ、リーナは話を聞きに行った。


「ねえ、どうやるの?」

「これは10個のボールを。向こうにある5つの的に当てるゲームです。その的ですが、中心の円に近いほど特典が高くなっています。1つの的に何回当てたとしても、最も高い得点しか計算されません。そして、合計得点に応じて景品を贈呈します」


的は輪が円を形取るようにいくつも並べられており、どうやらボールが当たった部分の外側にある場所は全て倒れるようになっているらしい。


「景品ってどんなものがあるんですか?」

「秘密です」

「ふーん、やってみるわ」

「はい、ではこちらをどうぞ」

「リーナ、頑張れ」


勢いそのままに、勇んで挑戦するリーナ。だが、その結果は散々なもので……


「はい、こちら残念賞のハンカチです」

「難しい……」

「そんなに落ち込まないで……」

「ジュン」

「はい?」

「一等を取りなさい」

「はい⁉︎」


無茶振りなのだが、悔しがったリーナを見て断ることはできなかったようだ。ジュンは何とか、というか何度も頑張り、もう少しというところまでたどり着いた。


「ジュン、あと1つよ。頑張って」

「よ、よし……」

「ボールもあと1つですが……」

「行け!」


係員の言葉は無視し、高めた集中を乗せる。そして投げたボールは……的にクリーンヒットした。


「おめでとうございます!」

「やったー!」

「うわっ、ちょっとリーナ⁉︎」

「良いでしょ。嬉しいのよ」

「さあさあ、お待ちかねの景品は……」


そう言って係員が出したのは、手のひらに収まるほどの小さな箱だ。そして、その中から出てきた物には、学園祭らしからぬ緻密な装飾がされており……


「カップル専用、ペアリングです!」

「へ?」

「え?」

「ほら、彼女さんにプレゼントしてあげてください」

「え、えっと、その……」

「こ、ここは人が多いから!」

「はい、ありがとうございました〜」


景品を受け取ってすぐに、2人は逃げ出す。しばらく止まることなく、人気の少ない物陰に隠れることで、ジュンもリーナもようやく落ち着くことができた。


「何よ、あんな所で。しかも、か、か、かの……」

「えっと、その……」

「……さっきもそれ言ったわね?」

「え、リーナ?」

「何よ!折角応援してあげたのに!」

「ちょっと待って、落ち着いて」

「ふん!こ、こんな指輪、つけても恥ずかしくないわよ!」

「そ、そっか……と、取り敢えず人差し指で試さない?」

「そ、そうね。順番に試すべきよね」


パニックとなったリーナを何とか宥めようとし、自分もパニックに陥ったジュン。もう何言ってるか分からないが、観察しているソラ達は大いに面白がっていた。

そして2人は互いに左手の人差し指へ指輪を通し……そこでぴったりはまってしまった。


「……」

「えっと……」

「うん、偶然、偶然よ。偶然人差し指にぴったりだったのよ」

「そ、そうだね、偶然……」

「「あはははは……」」

「はぁ……」

「何で……」


最後に呟いたセリフは、幸か不幸かソラ達には聞こえなかった。それ以外は聞こえていたのだが……観察者というのは勝手だ。


「運まで味方し始めたわね」

「最後の最後に裏切られたけどな」

「貰えたんだから良かったんだよ。でも、あれって高くないの?」

「恐らく、学生が趣味か授業で作ったものなんだろう。パッと見は綺麗だが、所々にほころびがある。職人見習いとかが作ったものなのかもしれない」

「よく分かるわね。この距離だと分かりづらいんだけど」

「感覚器官に関しては俺の方が上だからな。それで、最後の笑い声は……」

「薬指にはまって欲しかったんじゃないかな?」

「多分そうね。あのパニック状態でマトモに考えれてたか分からないけど」

「……無いかもな」

「無いんじゃないかな?」

「無いわよ」


割と酷いが、妥当な判断である。というか、煽った後のあの2人を見ればそうとしか考えられない。

一方、通りへ戻った2人は……若干周囲の目を集めていた。


「……えへへ」

「リーナ、どうしたの?」

「な、何でもない!」


リーナは自分の左手を見て笑みを浮かべ、ジュンはそれを見て苦笑しつつも何もないかのように聞いている。まあ、これで気付くなという方が難しいのだから当然か。

その先に進まない理由が何なのかは不明だが。


「ねえ、ジュン。次はあれに行きましょう」

「劇?」

「ええ。学生のサークル活動みたいよ」

「そうなんだ。面白そうだね」

「実は、ここよ劇団サークルって結構有名なのよ」

「そうなの?」

「王国内の大手の劇団に、毎年数十人は入ってるのよ。サークル卒業生の半分が入った年もあるみたいだし」

「よく知ってるね、リーナ」

「私は王女よ?これくらいなら知らないと恥ずかしいわ」

「それもそっか」


そういった話をしながら、ジュンとリーナは劇場の中へ入っていく。そこはかなり本格的で、200人以上が余裕で入れるだろう。

だがその場所は、追跡している者にとっては問題だ。


「ねえソラ、ついて行くつもり?」

「流石にバレそうだが……ミリア、興味はあるんだろ?」

「ええ。上手く潜り込みたいんだけど……」

「ねえソラ君。覗ける場所、あるよね?」

「ん?そんな場所……確かにあるな」

「え?」

「屋根裏部屋だ。ちょうど開いてる」

「そこに入るつもり?」

「できるもんね」

「見学料なんて取ってないんだから良いだろ」


屋根裏と言っても倉庫として使われているらしく、掃除が行き届いている。そしてそこにある窓のいくつかから、舞台を覗くことができた。


「お、予想以上に良い場所だな」

「結構ちゃんと見れるのね」

「ジュン君とリーナちゃんはどこだっけ?」

「確か前の方の……ああ、あそこだ」

「あんな所を取れるなんて、運が良いわ」

「コネを使った風には見えなかったしな……周りが気を利かせた可能性もあるが」

「そうなの?」

「分からない。ただ、あいつらは楽しんでるな」

「まだ始まって無いのに、楽しそうね」

「ミリアもフリスも同じだろ。見る前の方が楽しそうな時が多いぞ」

「そう?」

「そうかな?」

「そうだ。っと、始まるな」


注目されにくい場所なので声を殺したりはしないが、騒げば目立つ場所なので自重する。何気に珍しいかもしれない。

演目は今代勇者、つまりジュンが題材だった。顔を真っ赤にしつつ、ジュンとリーナは羞恥に耐えている。そしてソラ達は声を押し殺して大笑いしている。

ちなみに、ソラ達は出ていない。どうやら噂レベルのことは使わないようだ。

そんな公開処刑のような劇を見終えたジュンとリーナは、学園で最も高い校舎の屋上へやってきた。警備者権限で、ここへの立ち入りも許可されている。


「恥ずかしかったけど……面白かったね」

「ええ。でもあれは、いえ……話には聞いていたけど、予想以上だったわ」

「でも、リーナも流石だよ。さっきも言ったけど、良く知ってるから」

「王族として当然のことよ……そ、それにしてもここ、良い場所ね」

「でしょ。学校の屋上って例に負けてない」

「それも、ニホンって場所のこと?」

「そうそう。結構良い場所だったよ」

「そう……」

「でも、ベフィアも良い。この世界にだって、良い場所はたくさんあるから」

「……そう」


1度沈んだ雰囲気を見せたリーナも、その次の言葉ですぐに浮かび上がった。分かりやすい移り変わりに、ジュンも少し笑っている。

そして、それを見ているソラ達は……


「良し今だ、チャンスだぞ」

「その勢いのまま……」

「いっちゃえいっちゃえ」


野次馬根性丸出しだった。最初から娯楽として見ていたので当然だろうが、予想以上にノリノリだった。


「それで、その……今日はありがとう」

「リーナ、どうしたの?」

「こういうのって、あんまり無かったから……ソラも、気を利かせてくれたのかな」

「そうかも。でも、やっとそのままの笑顔になったね」

「え?」

「リーナはその方が可愛いよ」

「え、え?」

「いつものリーナは、なんか固くなってるような感じがするから。それが無くなる時って少ないよね。やっぱり、王族としての責務とか、そんなのがあるのかな」

「それは、その……性分よ」

「そうかもね。でも、嬉しいよ」

「え?」

「俺の前では素直になってくれる。そうでしょ?」

「う……それは反則よ」

「ごめん。でも、本心だから」

「だったら、その……仕方ないわね」


顔を赤くしながらも、2人は正対する。


「こうすると、ちょっと恥ずかしいかな」

「もう……今さら駄目よ?」

「分かってるから」


腕を回し、体を密着させる。


「リーナ……」

「ジュン……」


そして、2人の顔が近づいていき……


「あー、疲れたー!」

「もうさー、さっさと帰んねぇか?」

「駄目だぞ、まだ集計が山ほどある」

「ちぇ」

「「っ‼︎⁉︎」」


慌てて顔を離す。急な乱入者3人組を睨みつけつつ、恥ずかしがって互いの顔を見ようとしない。若干微妙な雰囲気となった屋上だが、学生達は察せなかったようだ。


「え、誰だ?」

「もしかして不審者?」

「いや、そんなわけ無いだろ」

「えっと、その……」

「警備として依頼を受けた冒険者です。問題は無いようなので失礼します。リーナ、行くよ」

「あ、ちょっと待ってよ、ジュン」

「ん?」

「何だったんだ?」


慌てて出て行くジュンとリーナを見て、首をかしげる学生達。それをやり過ごしたソラ達は追いかけ、2人の背後を取った。


「あ〜あ、残念だったね」

「ああ。あと少しだったのにな」

「あんな所で邪魔が入るなんてね。私達が止めれば良かったわ」

「って、え‼︎」

「み、見てたの⁉︎」

「ああ、最初からな」

「それって、あの、ニホンの……」

「いや、今日の最初からだ」

「え?……ってストーカーですよ⁉︎」

「バレなければ問題無い」

「そういう問題じゃないですから!」


……案外、これで2人の気が紛れたりしたのかもしれない。なお、はぐれたトオイチ達が合流できたのは、学園の出口付近であった。











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